16 / 18
第十六節 東京湾沿いでの戦い
しおりを挟む
「ゾムビーの住処は、宇宙に在った」
ゾムビー撲滅協会の会議中、真剣な眼差しで、一同は会議に臨んでいる。
「そのゾムビーに関する何かを、米国が手にし、持ち帰ったことから地球でゾムビーが発生する様になった」
「おのれ米国め……」
「余計な事をしてくれたな」
「さて、地球でのゾムビーの縄張りは、薄汚れた場所や、湿った場所。何故かは分らんが、ゾムビーはそういった場所に出て来る」
「そうと分かれば!」
「探索が必要だな」
この週にはゾムビー対策組織(仮)が動き出した。
組織は元公安部の人員で構成されており銃器の扱いに特化していた。そんなゾムビー対策組織(仮)は、東京湾の汚染された場所へ、ゾムビー探索に出た。その探索に、爆破と身体も加わっていた。車で現場に辿り着く一同。身体は爆破を見るなり、声を掛けに行った。
「爆破さん!」
「! なんだスグルか。……ところでその恰好はどうした? コスプレか何かか?」
「ああ、これですか? これは身体能力を上げる特殊スーツです。まだ開発段階ですが、ゾムビー対策組織(仮)がつくったものです」
「そうか……なら今回からお前も戦うんだな?」
「はい!! 防衛大の演習で、好成績を残したので!」
「成程、ゾムビーが出てきたら頼むぞ」
「はい!! 全力を尽くします!!」
探索が始まる。
――。
20分もかからないうちに、ゾムビーが現れた。
「4体、か……よくもぞろぞろと……バース……」
「待って下さい!」
「!」
バーストをお見舞いしようとする爆破に、身体が制止する形で話し掛ける。
「特殊スーツの性能と、自分の実力を確かめたいのです。一番左の一体、やらせてください」
ふーと、息をつき、爆破は言う。
「分かった、行ってこい」
「ありがとうございます!」
ジリ、とゾムビーと対峙する身体。
呼吸を整えて、
「ダッ!!」
走り出す。
「はあアアアアアア!!」
拳を握りしめ
「ドッ!!」
右ストレートをゾムビーの頭部にヒットさせる。
「バシャアアアアアアア」
ゾムビーの頭部は破裂した。
「ハァ……ハァ……」
緊張していた所為か、息が上がっている身体。
「やりましたよ!」
身体は爆破の方へ振り向き、グッと拳を上げた。
「ボッ!!」
頭部が無くなっていたゾムビーの残骸が、爆発した。
「!」
身体は少し驚いた。爆破は言う。
「ナイスだ。良くやった」
「ありがとうございます!」
身体は返した。
次の瞬間、
「タタタタタタタ!!」
ゾムビー対策組織(仮)の隊員が銃器を使い、ゾムビーに応戦し始めた。
足、腹部、胸部、頭と、下から被弾していったゾムビーは蜂の巣になっていった。
「おお……」
身体は息を呑んだ。爆破は只々、それを見つめていた。残りの3体のゾムビーが処理された。
そこからまた、探索が始まった。
東京湾西部か始まった探索は、北部、東部と推移していく。
東京湾北部にて――、
ビルの物陰からゾムビーが2体、見つかった。
「出たな、化け物め!」
身体が身構える。そこへスッと爆破が右腕で身体を制止する。
「今度は私の番だ」
「! ……はい」
ゾムビーに狙いを定め、左腕をかざす爆破。
「バースト……!」
「ゾ?」
「ボッ!!」
ゾムビーの1体は跡形も無く爆発した。
「俺達も行くぞ」
ゾムビー対策組織(仮)の隊員が銃器を構え、ゾムビーに狙撃していった。
「タタタタタタタ!!」
「ゾゾォ……」
ゾムビーは蜂の巣になり、撃退された。
「後は東部だけだな」
隊員たちは爆破、身体を引き連れて、東京湾東部を目指した。
「それにしても、結構な数が居るな」
「k県に出るソムビーは大体が東京湾から出没しているのかも知れんな」
隊員達は会話を交わしながら進む。一方の爆破と身体は無言で東部を目指す。爆破は無言ながら、何か思う事がある様だった。
(何故だ……? 妙な胸騒ぎがする。気の所為ならいいが……)
東京湾東部に辿り着いた。
そこには2体のゾムビーと、普通のゾムビーより1.5倍くらいの大きさの、大型のゾムビーが居た。
「ゾゾォ……」
大型のゾムビーは不気味に呻き声を上げる。
「何だ!? あの大きさのゾムビーは!」
隊員の一人は驚愕した。
(胸騒ぎの正体はこれか……! どうする? 様子を見てみるか……)
爆破は思いを巡らせる。
「チッ、しかしやる事は変わらん」
隊員達は銃器を構える。
「くたばれ!!」
「タタタタタタタ!!」
「ゾ……」
「ゾム……」
2体のゾムビーは蜂の巣になる。
しかし――、
「ゾゾォ……」
大型のゾムビーは攻撃を受けるも、ズンズンとこちらへ近付いて来た。大型のゾムビーに対し、銃弾の口径が小さすぎたのだ。遂にはゾムビー対策組織(仮)の隊員の目の前まで、大型のゾムビーは迫って来た。
「ゾム……」
「くっ、来るなぁ!!」
必死の抵抗を見せる隊員達。
しかし、
「ゾムバァアア!!」
大型のゾムビーは体液を吐き出し、隊員達が装備していた銃を腐敗させた。
「な!? 銃器が……!」
「ゾムバァアア!!」
更に大型のゾムビーは攻撃の手を休めない。今度は隊員たち自身に体液を吐き出していく!
「ぐあぁああ!! ……ゾ……ゾム……」
「! ……(しまった! 最早様子見している暇はない!!)」
爆破は左手をかざす。
「バースト……!」
「ボッ!!」
「ボッ!!」
ゾムビー化した2体の元隊員が葬られた。
「何という事だ……」
「クッ……」
残りの隊員たちは呆然と立ち尽くす。それを見ていた身体は思う。
(ダメだ……完全に戦意を喪失している……)
全身に力をこめる身体。
(俺がやるしか……ない!)
大型のゾムビー目掛け、突進していく身体。右ストレートを食らわせる。
「ゴッ!!」
しかし――、
「ゾ……?」
大型のゾムビーにはダメージが入らず、
「ゾゾォ!」
「ガッ!」
身体は逆に、腹部に殴打を食らう。
「ガッ……ゴッ……ドサ」
二度三度地面を跳ね、うずくまる身体。
「がはっ! ああ!」
腹部を抑え、悶え苦しむ。
「大丈夫か!? スグル!!」
「は……はい、骨はやられてません」
身体は何とか爆破の声掛けに答える。
(特殊スーツ、改善の余地がありそうだな……)
身体はそっと思い、沈黙した。
視線を身体から大型のゾムビーに移す爆破。
(私がやるしか、無い様だな)
目をキッとさせて、左手をかざす。
「バースト……!」
「ボッ!」
大型のゾムビーの頭部が爆発した――、
様に見えた。
「シュー……」
爆発の後の煙が消えた時、大型のゾムビーは姿を顕わにした。
そう、無傷で――。
「! 何!? 手応えはあったハズだ!」
「ゾゾォ……」
驚愕した爆破にお構いなく、大型のゾムビーは爆破に近付いていった。
「くっ、バースト!!」
「ボッ! ボッ!」
脚、腕と爆破は大型のゾムビーを爆発させていく。
しかし――、
「ゾゾォ……」
敵は無傷のままだった。
「くっ、どうすれば……」
その時――、
『やあ。手こずってるね、スマシ』
どこからともなく、声が聞こえてきた。
「この声は……好実……?」
ゾムビー撲滅協会の会議中、真剣な眼差しで、一同は会議に臨んでいる。
「そのゾムビーに関する何かを、米国が手にし、持ち帰ったことから地球でゾムビーが発生する様になった」
「おのれ米国め……」
「余計な事をしてくれたな」
「さて、地球でのゾムビーの縄張りは、薄汚れた場所や、湿った場所。何故かは分らんが、ゾムビーはそういった場所に出て来る」
「そうと分かれば!」
「探索が必要だな」
この週にはゾムビー対策組織(仮)が動き出した。
組織は元公安部の人員で構成されており銃器の扱いに特化していた。そんなゾムビー対策組織(仮)は、東京湾の汚染された場所へ、ゾムビー探索に出た。その探索に、爆破と身体も加わっていた。車で現場に辿り着く一同。身体は爆破を見るなり、声を掛けに行った。
「爆破さん!」
「! なんだスグルか。……ところでその恰好はどうした? コスプレか何かか?」
「ああ、これですか? これは身体能力を上げる特殊スーツです。まだ開発段階ですが、ゾムビー対策組織(仮)がつくったものです」
「そうか……なら今回からお前も戦うんだな?」
「はい!! 防衛大の演習で、好成績を残したので!」
「成程、ゾムビーが出てきたら頼むぞ」
「はい!! 全力を尽くします!!」
探索が始まる。
――。
20分もかからないうちに、ゾムビーが現れた。
「4体、か……よくもぞろぞろと……バース……」
「待って下さい!」
「!」
バーストをお見舞いしようとする爆破に、身体が制止する形で話し掛ける。
「特殊スーツの性能と、自分の実力を確かめたいのです。一番左の一体、やらせてください」
ふーと、息をつき、爆破は言う。
「分かった、行ってこい」
「ありがとうございます!」
ジリ、とゾムビーと対峙する身体。
呼吸を整えて、
「ダッ!!」
走り出す。
「はあアアアアアア!!」
拳を握りしめ
「ドッ!!」
右ストレートをゾムビーの頭部にヒットさせる。
「バシャアアアアアアア」
ゾムビーの頭部は破裂した。
「ハァ……ハァ……」
緊張していた所為か、息が上がっている身体。
「やりましたよ!」
身体は爆破の方へ振り向き、グッと拳を上げた。
「ボッ!!」
頭部が無くなっていたゾムビーの残骸が、爆発した。
「!」
身体は少し驚いた。爆破は言う。
「ナイスだ。良くやった」
「ありがとうございます!」
身体は返した。
次の瞬間、
「タタタタタタタ!!」
ゾムビー対策組織(仮)の隊員が銃器を使い、ゾムビーに応戦し始めた。
足、腹部、胸部、頭と、下から被弾していったゾムビーは蜂の巣になっていった。
「おお……」
身体は息を呑んだ。爆破は只々、それを見つめていた。残りの3体のゾムビーが処理された。
そこからまた、探索が始まった。
東京湾西部か始まった探索は、北部、東部と推移していく。
東京湾北部にて――、
ビルの物陰からゾムビーが2体、見つかった。
「出たな、化け物め!」
身体が身構える。そこへスッと爆破が右腕で身体を制止する。
「今度は私の番だ」
「! ……はい」
ゾムビーに狙いを定め、左腕をかざす爆破。
「バースト……!」
「ゾ?」
「ボッ!!」
ゾムビーの1体は跡形も無く爆発した。
「俺達も行くぞ」
ゾムビー対策組織(仮)の隊員が銃器を構え、ゾムビーに狙撃していった。
「タタタタタタタ!!」
「ゾゾォ……」
ゾムビーは蜂の巣になり、撃退された。
「後は東部だけだな」
隊員たちは爆破、身体を引き連れて、東京湾東部を目指した。
「それにしても、結構な数が居るな」
「k県に出るソムビーは大体が東京湾から出没しているのかも知れんな」
隊員達は会話を交わしながら進む。一方の爆破と身体は無言で東部を目指す。爆破は無言ながら、何か思う事がある様だった。
(何故だ……? 妙な胸騒ぎがする。気の所為ならいいが……)
東京湾東部に辿り着いた。
そこには2体のゾムビーと、普通のゾムビーより1.5倍くらいの大きさの、大型のゾムビーが居た。
「ゾゾォ……」
大型のゾムビーは不気味に呻き声を上げる。
「何だ!? あの大きさのゾムビーは!」
隊員の一人は驚愕した。
(胸騒ぎの正体はこれか……! どうする? 様子を見てみるか……)
爆破は思いを巡らせる。
「チッ、しかしやる事は変わらん」
隊員達は銃器を構える。
「くたばれ!!」
「タタタタタタタ!!」
「ゾ……」
「ゾム……」
2体のゾムビーは蜂の巣になる。
しかし――、
「ゾゾォ……」
大型のゾムビーは攻撃を受けるも、ズンズンとこちらへ近付いて来た。大型のゾムビーに対し、銃弾の口径が小さすぎたのだ。遂にはゾムビー対策組織(仮)の隊員の目の前まで、大型のゾムビーは迫って来た。
「ゾム……」
「くっ、来るなぁ!!」
必死の抵抗を見せる隊員達。
しかし、
「ゾムバァアア!!」
大型のゾムビーは体液を吐き出し、隊員達が装備していた銃を腐敗させた。
「な!? 銃器が……!」
「ゾムバァアア!!」
更に大型のゾムビーは攻撃の手を休めない。今度は隊員たち自身に体液を吐き出していく!
「ぐあぁああ!! ……ゾ……ゾム……」
「! ……(しまった! 最早様子見している暇はない!!)」
爆破は左手をかざす。
「バースト……!」
「ボッ!!」
「ボッ!!」
ゾムビー化した2体の元隊員が葬られた。
「何という事だ……」
「クッ……」
残りの隊員たちは呆然と立ち尽くす。それを見ていた身体は思う。
(ダメだ……完全に戦意を喪失している……)
全身に力をこめる身体。
(俺がやるしか……ない!)
大型のゾムビー目掛け、突進していく身体。右ストレートを食らわせる。
「ゴッ!!」
しかし――、
「ゾ……?」
大型のゾムビーにはダメージが入らず、
「ゾゾォ!」
「ガッ!」
身体は逆に、腹部に殴打を食らう。
「ガッ……ゴッ……ドサ」
二度三度地面を跳ね、うずくまる身体。
「がはっ! ああ!」
腹部を抑え、悶え苦しむ。
「大丈夫か!? スグル!!」
「は……はい、骨はやられてません」
身体は何とか爆破の声掛けに答える。
(特殊スーツ、改善の余地がありそうだな……)
身体はそっと思い、沈黙した。
視線を身体から大型のゾムビーに移す爆破。
(私がやるしか、無い様だな)
目をキッとさせて、左手をかざす。
「バースト……!」
「ボッ!」
大型のゾムビーの頭部が爆発した――、
様に見えた。
「シュー……」
爆発の後の煙が消えた時、大型のゾムビーは姿を顕わにした。
そう、無傷で――。
「! 何!? 手応えはあったハズだ!」
「ゾゾォ……」
驚愕した爆破にお構いなく、大型のゾムビーは爆破に近付いていった。
「くっ、バースト!!」
「ボッ! ボッ!」
脚、腕と爆破は大型のゾムビーを爆発させていく。
しかし――、
「ゾゾォ……」
敵は無傷のままだった。
「くっ、どうすれば……」
その時――、
『やあ。手こずってるね、スマシ』
どこからともなく、声が聞こえてきた。
「この声は……好実……?」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
エッチな方程式
放射朗
SF
燃料をぎりぎりしか積んでいない宇宙船で、密航者が見つかる。
密航者の分、総質量が重くなった船は加速が足りずにワープ領域に入れないから、密航者はただちに船外に追放することになっていた。
密航して見つかった主人公は、どうにかして助かる方法を探す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる