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第3章
【型にハマらない男】
しおりを挟む「ええっと・・・・・・ひぃふぅみぃ・・・・・・四五〇円や! どや!?」
「どやって・・・・・・どうするんだよ」
「これでラーメンでも食べてこようかのう」
「今のラーメンの値段知らないだろ? そんなんじゃカップラーメン一個買って終わりだ」
「マジか!?」
「ハァ・・・・・・天下の千石組の若頭が全財産四五〇円って・・・・・・」
「まま、ほんならそこら辺歩いとるヤツからカツアゲでもして・・・・・・」
「同じ日に出戻りする気か? まったく・・・・・・俺がいなくちゃしょうがないなぁ兄弟は」
そう言いながらクインの口角は上がっていた。
「なんや嬉しそうに・・・・・・」
「な、なんでもない! ほら!」
出てきたのは札束。帯がついているので、一〇〇万円。
「おおー!! 兄弟!!」
龍敏が場所柄もわきまえずに抱きしめてくるので、クインの脳内は沸騰寸前だった。
このまま遊びに行く・・・・・・かと思われた。
だが、
「これでワシの知っとる店行こ!」
「ええ? 二人で?」
「なんや? ワシの酒が飲めんのかい?」
「そんなことはないが・・・・・・」
「それじゃあ決まりや」
龍敏は、なんと自分のために集まってくれた全国のヤクザたちに簡単な挨拶をして、そのまま「兄弟水入らず」と言い残して消えてしまった。
もともと、こうした綺麗で清潔な高層ビルなど性に合わないので早く出たかったのである。
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