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第3章
【千石組本部】
しおりを挟むビルの中はもっと圧巻だった。
大理石が柱や床に使われており、広々とした空間にはシャンデリアまでぶら下がっている。
「おつとめご苦労様です!!」
龍敏がなんやと視線を動かすと、そこには口を開けているエレベーターと、脇に立っている若い衆。
なんとエレベーター専門の若衆までいるのだから驚きだ。
「親分たちと御一統様が最上階でお待ちでございます。どうぞ」
「あ、ああ・・・・・・ご苦労さん」
エレベーターのドアがぴしゃりと閉まったのと同時に、龍敏はクインにグイッと近づいた。
「なぁ・・・・・・何がどうなっとるのかそろそろ説明してくれてもええんとちゃうか?」
「まだまだ」
「・・・・・・ワレ、面会に来んかったのの仕返しか?」
「さあてね」
「このっ」
チンッ
ドアが開くと、そこは結婚式場顔負けの大きな空間だった。
大理石もシャンデリアもそうなのだが、各箇所にある絵画などとうてい、過去の千石組の資産では手に届かないものばかり。
おまけにかなり人数の人間がいるにもかかわらず、部屋の玉座とも呼ぶべき立派な椅子に座っている男がハッキリと見える。
だが、そんな古狸よりも、龍敏の目を奪った・・・・・・いや、五感全てを奪ったのは料理だ。
戦でもするのかと疑うほどの、豪華なビュッフェ。
ローストビーフなどを見た日にはよだれが止まらない。これも、ムショの余韻なのだろう。
「「「おつとめご苦労様です!! 若!!」」」
またか・・・・・・そろそろ龍敏の耳もキンキンと痛くなってくる。
だが、そこに並ぶ顔ぶれに、一抹の懐かしさを感じた。
「柴田の叔父貴!!」
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