DANCING・JAEGER

第1章

【テントウ虫】

「この惨劇はアナタが！？」


「そや！」


「動機は！？」


「任侠道に背いた腐れ外道を、ひとつ潰しただけや」


「川田組とは抗争に発展するんでしょうか！？」


「そこまで尻の穴の大きな男はもうおらん。世間の皆様にゃ、お騒がせしまして申し訳おまへん」


「なぜ、殺人にまで！？」


「外道を殺すのは外道を生きるワシらヤクザの役目だす。虫を食べる虫がおるやろ？　あ～アブラムシ食べるテントウムシ！　それと同じや！」


「撮影はそこまでだ！！　大人しく乗れ！！」



　警察官が背を押し、リポーターを阻む。



　喧噪の中で、女性キャスターは一番重要なことを尋ねるのだった。



「アナタは何者ですか！？」


「三代目千石組若頭！！　喧風けんぷう一家総長！！　千石龍敏や！！」



　ニカッと満面の笑みをカメラへ向ける龍敏は頭を抑えられ、無理矢理パトカーへ押し込まれる。



　そのまま、パトカーは急発進して管轄の警察署へ直行したのだった。



　その日、夜明け前にも関わらず千石組関連の事務所へ問答無用のガサ入れが入ったのは言うまでもない。



　重里組長の愚策によって戦準備をしており、いくつかの組からは日本刀や拳銃が見つかって逮捕者が出てしまった。



　千石組も終わり･･････だと誰もが思った･･････