死が二人を分かつまで

”アイドル篇”

【ひと味違う】

「ダッセーなてめえら」



　ツーブロックの北斗が、準備運動をしながら敗北したイブキ・神風に向かって悪態をついた。



「ガキになに負けてンだよ」


「お前･･････舐めてかからない方がいいぜ･･････」


「ウン･･････マジでヤバい」


「だーかーらー･･････それはお前ら二人が弱えってことよ」


「ンだと？　おいゴラァ北斗ォ！！」


「そんなゴロじゃぁ、仁侠会に入れたとしても高が知れてらぁ･･････極道が今どき素手スデゴロしてくれると思ってンのかよ？」


「チィ･･････」


「ケッ、見せてやるよ･･････ケンカじゃねえ･･････本気の度胸ってヤツをよぉ」



　北斗は三人の中では一番、背が小さい。



　にもかかわらず、三人の中で最も恐れられている。



　それは怪力無双イブキ・不意討ち上等神風を超える･･････殺意のあるケンカゆえだ。



「向かい合って！！」



　道着姿のゴウはすでに中央で待っている。



　あとは、北斗が開始線に来れば･･････



　のそ･･････のそ･･････



　身体を揺らし、大股で歩いてくる北斗。



　この日、芥川が唯一、いつでも介入できるように準備した試合だ。



（･･････隠している）



　のそり･･････のそり･･････



　北斗の持つオーラが･･････常人では持てない資質を表している。



　それは何か？



　殺すつもり･･････



　ではない･･････つもりではない･･････



　彼のケンカは･･････殺しにかかるのだ。



　セツナが固唾を飲んで見守る。



　ゴウは構えているが、相手の出方を待っている。



　とーーーー