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”日常その肆”
【示現流】
しおりを挟む佐々木は腕を折り、右半身に沿うようにして木刀を縦に構えている。
この構え・・・・・・
「ヌハハ・・・・・・さしもの芥川も驚いているようだな」
いつの間にやら新樹・セツナに並んで壁際に立っている山崎。
「あの・・・・・・なんか見たことのない構え方ですね」
「む? ああ、大臣の息子君か・・・・・・アレはな『示現流』だ」
「示現流?」
「九州は薩摩藩に連綿と伝えられ他言無用として護られてきた秘伝奥義・・・・・・それが『薩摩示現流』だ」
「・・・・・・それを真似してるんですか?」
「何を言う! 六の家系はな、代々薩摩藩に仕えてきた藩士なのだ。初代佐々木家当主は、戦国大名でお馴染みの島津の家臣だった由緒ある家柄だよ」
「じゃあ・・・・・・」
「ああ・・・・・・文献やらネットやらで得た、生兵法じゃない・・・・・・本物の、薩摩の示現流だ」
佐々木から、尋常ではないオーラが漂ってくる。
「示現流の特徴って?」
「・・・・・・普通の剣術には『二の太刀』『三の太刀』と次の流れとその形がある・・・・・・が・・・・・・示現流にはソレがない!」
「ない!?」
「示現流のモットーは、一の太刀で斬る・・・・・・実にシンプルにして、実に難しい高等技術だ」
山崎は語る。
「かの、新選組・・・・・・そして明治政府が恐れたと言われるこの『示現流』・・・・・・一の太刀で相手を一刀両断ッッ!! その恐ろしさと強さたるや・・・・・・ッッ!!」
「でも、それって刀があった時代の話しですよね?」
「バカにするな。六はな、まさしく正統派の『示現流』の遣い手よ・・・・・・」
「じゃあ、試合とかでも・・・・・・」
「その通り! 二振り目を、俺自身今だ見たことない!! ヌハハハ!!」
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