死が二人を分かつまで

”VS最強編”

【最強の証明】

　仰向けになった芥川は動かない。



　死んだようにぐったりとして、ピクリともしない。



　新樹もセツナも、固唾を飲んで見ていた。



　とんでもないことだ･･････



　あの『芥川　月』が･･････



　古今東西において強者と名を馳せた、芥川が、倒れている。



　信じられない･･････



　信じたくない･･････！！



「せ･･････先生･･････」


「･･････ゲツ」



　とーーーー



　ブラインの後ろから、オーナーが近づいてきた。



「もういいいだろうジャック」



　英語で諭し始める。



「充分だ･･････これ以上のファイトを認めるわけにはいかない」


「･･････オーナー」


「その拳で人を殺すつもりか？　神聖で、この世に二つしかない、究極の逸品を、血で穢すのか？」


「･･････まだだ」


「ジャック！　いい加減にしろ！！」



　オーナーは真剣な顔で叱る。



「お前が求めている『証明』はもう達成された！　伏している相手を殴るというのか！」


「･･････」


「ボクシングは地上最強･･････その証明のために、お前は今日まで戦い抜いた。どんな侮辱にも、無礼にも、拳で答えてきた･･････もういいだろう？　これ以上なにが必要だ！？」


「･･････分かっていないのか」


「なにっ！？」


「コイツは･･････とんだタヌキだぜ･･････アカデミー賞ものの演技だ」


「なんだと？」


「･･････ソウダロウ？　Mr.アクタガワ」


「･･････クックック」