72 / 263
”記憶に残る一日篇”
【悪魔の美貌】
しおりを挟む女神のごとき女・・・・・・
美しすぎて・・・・・・眩しいくらいだ。
しかし、むしろ完璧すぎて不気味だ。
そして、たたえている笑みも、妖しい。
「うふふ・・・・・・可愛いじゃない」
「・・・・・・」
匂う・・・・・・
香水?
体臭?
違う・・・・・・血の臭気だ・・・・・・
セツナの脳裏に浮かんだのは、紛れもない肉食獣。
牙を生やしてヨダレを垂らし、得物の香りを愉しむ猛獣。
「ふ~ん・・・・・・こんなかわい子ちゃんに、彼、目玉とられちゃったんだ」
彼・・・・・・芥川のこと?
「可愛さに目が眩んだのかしら・・・・・・それとも、本当に強さで?」
とーーーー
ザシュッッ!!
「!?」
身体に伝わった、確かな感覚ーーーー
斬られた。
それも、バッサリと。
女は動いていない。
もちろん、物理的にはなんの異常もない。
しかし・・・・・・ッッ!!
確実に一刀両断された・・・・・・!!
「・・・・・・」
「あら・・・・・・殺気に気がつくとはね・・・・・・まあ及第点ってとこかしら」
「はぁはぁ・・・・・・」
シュッッ!!
セツナの鞭のようなハイキックがーーーー
「あらあら・・・・・・ダメよ~ワンピースでキックなんてしたら、下着が見えちゃうじゃない」
簡単に止められた。
格が・・・・・・違う・・・・・・
「じゃあ、かわりばんこ・・・・・・私の番♪」
ジャッッ!!
セツナの心臓のちょうど上に、貫手が・・・・・・
「心臓、えぐっちゃった♪ 私の勝ちね♪」
勝てない・・・・・・
この時・・・・・・セツナの頭に浮かんだのは、意外な人物だった。
(新樹・・・・・・危ない・・・・・・!!)
ここは彼の家の前だ・・・・・・にしても、死守すべき相手として真っ先に思い浮かんだのが新樹であることに、セツナ自身も驚いていた。
「クンクン・・・・・・甘酸っぱい匂い♡」
「・・・・・・」
「まだ恋なんて言えない苗の感情ね。だけど、その感情があなたを強くするわ」
誰なんだ・・・・・・
この女は・・・・・・
「そんなに睨まなくてもいいじゃない・・・・・・私は冬紀。よろしくね♪」
「・・・・・・」
「あらら? 月君から聞いていない? 寂しいわね~」
芥川の知り合い?
確かに・・・・・・先ほどから感じる。
この女のどこかに、芥川と同じ気配がする。
「ねえ、あなた・・・・・・黒真会に来ない?」
「・・・・・・?」
「黒真会のことも知らされていないのね。月君、本当にあなたを強くするつもりがあるのかしら?」
どういう意味だ?
「ねえ・・・・・・男と女が惹かれ合う原因って、考えたことある?」
「・・・・・・」
「強い遺伝子を残すこと・・・・・・優秀な子孫を残すことよ」
「・・・・・・」
「その点、月君は合格ね。彼の優れた子種なら、喜んで受け取るわ♡」
こいつ・・・・・・何言ってるんだ・・・・・・?
「でも・・・・・・あの子犬さんに、その価値はあるのかしら?」
咄嗟に、新樹の顔が浮かんだ。
「お金持ちだしどうやら学歴もピカイチね。優秀よ。だけど、結局は強さの前では意味なんてない」
「・・・・・・」
「あんな雑種の子種よりも、芥川 月の種のほうがいいわ。そうは思わない?」
何を言ってるのか正直よく分からない・・・・・・
分からない・・・・・・が!!
ビュッ!!
新樹がバカにされていることは、分かる!!
パシィ!!
「う~ん・・・・・・イイパンチね。殺す気満々って感じ」
またもや、止められた。
「黒真会に来なさいよ・・・・・・もしくは、このまま連れて行っちゃおうかしら・・・・・・」
女が両腕を拡げる。
攫われる・・・・・・ッッ!!
あの夜の、色あせてくれない思い出が・・・・・・蘇る・・・・・・
誰か・・・・・・誰か!!
「そこまでよ!!」
二人は同時に声の主を見た。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。
アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。
捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!!
承諾してしまった真名に
「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。
【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました
桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて…
小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。
この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。
そして小さな治療院で働く普通の女性だ。
ただ普通ではなかったのは「性欲」
前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは…
その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。
こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。
もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。
特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。
もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ
中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。
※ 作品
「男装バレてイケメンに~」
「灼熱の砂丘」
「イケメンはずんどうぽっちゃり…」
こちらの作品を先にお読みください。
各、作品のファン様へ。
こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。
故に、本作品のイメージが崩れた!とか。
あのキャラにこんなことさせないで!とか。
その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)
おそらく、僕だけ違うゲームをしている。
不具 ジェフロイ
BL
ほとんどの社会活動を仮想空間で行うようになった現在。誰もが夢に見た「本物のような異世界」と言っても過言ではないリアリティを持った新作VRMMORPG『Arca Storia(アルカストーリア)』通称アルストがリリースされた。
読書中毒の遠野嗣治はこのゲームの宣伝を見て考えた。「そんなに作り込まれているなら独自の歴史、文化から生まれた本を読みまくれるのでは…?」と。モンスターとバトルをするでもなく、町から町へ渡り歩くような冒険をガン無視して最初の町のギルド資料室に入り浸り、町から出る気配が一切ない様子に徐々に困惑するNPC達。爆笑しながら見守るサポートAI。
ゲームの世界で好きなだけ読書をして、たまに資金調達の為に情報整理のバイト(※クエスト)をしてたらいつの間にかワケアリ男前傭兵に囲われていた遠野のゲームプレイ記。
※メインCPは固定。
※出会いは結構早いですが、くっつくのは少し時間かかるかもです。
※デスゲームとかログアウト不可とかではないです。
※まったり更新予定。
※主人公の見た目は完全に作者の性癖(小声)。
※ムーンライトノベルズでも掲載しております。
拾った龍になつかれてる
端木 子恭
ファンタジー
夏の日、藍は天にのぼれず落ちてきた子どもの龍の昊を拾った。
しばらく人間の世界にいてまた飛び立つ機会を待つ昊と、見守る藍と、そこに寄ってくる妖怪のお話。
【R18】お嫁さんスライム娘が、ショタお婿さんといちゃらぶ子作りする話
みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。
前話
【R18】通りかかったショタ冒険者に襲い掛かったスライム娘が、敗北して繁殖させられる話
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/384412801
ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
俺の相棒は元ワニ、今ドラゴン!?元飼育員の異世界スローライフ
ライカタイガ
ファンタジー
ワニ飼育員として働いていた俺は、ある日突然、異世界に転生することに。驚いたのはそれだけじゃない。俺の相棒である大好きなワニも一緒に転生していた!しかもそのワニ、異世界ではなんと、最強クラスのドラゴンになっていたのだ!
新たな世界でのんびりスローライフを楽しみたい俺と、圧倒的な力を誇るドラゴンに生まれ変わった相棒。しかし、異世界は一筋縄ではいかない。俺たちのスローライフには次々と騒動が巻き起こる…!?
異世界転生×ドラゴンのファンタジー!元飼育員と元ワニ(現ドラゴン)の絆を描く、まったり異世界ライフをお楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる