死が二人を分かつまで

KAI

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”もうひとりの門下生”

【挑戦】

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「・・・・・・ぼ、僕が・・・・・・先生の仇を取る!!」


「・・・・・・」



 セツナをキッと睨みつけて、噛みつかんばかりだ。



「・・・・・・その心は?」


「僕の意志だ・・・・・・釈迦しゃか説法せっぽうでしょうが・・・・・・僕の余計なお世話のついでです」



 などと余裕ぶっているが、額には汗をかき、ぎゅっと握った拳は震えている。



「・・・・・・一応言っておきますが、貴方あなたは一年間という時間を私の弟子として費やしてきた。一方でセツナさんは、何のバトルスキルもない」



 芥川は静かに続ける。



「この、上辺だけ見ると不公平極まる戦いの、・・・・・・ご理解でいらっしゃいますか?」


「・・・・・・はいっ!」


「穏やかに暮らせたはずの一年・・・・・・三六五日を捧げた貴方がもしも負けるようなことがあれば・・・・・・貴方の貴重な時間が崩壊します」


「はい」


「それだけじゃない・・・・・・この芥川が練った『東山ひがしやま 新樹あらき』という人間の武が不完全だという証明方法にもなってしまう。シンプルに言えば、私の看板を背負うことになるのですが・・・・・・覚悟は?」


「あります!!」


「・・・・・・セツナさん」



 芥川は視線を移した。



「この勝負、受けずとも良い。貴女はまだ私から学んではいない。不利で不都合な条件です」


「・・・・・・」


「新樹さんのことを気にして戦うつもりならやめておきなさい。彼の怒りは、私が師匠として責任を持ち、抑えます」



 キュキュッ・・・・・・



『やる』


「・・・・・・本心を言うならば・・・・・・」



 ニヤリと芥川。



「見てみたかった・・・・・・それではお二人とも、道着にお着替え下さい。セツナさんには新しい女性用の道着をご用意しております」



 本日二度目の、戦いが始まる。


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