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青春イベント盛り合わせ(9月)
夏休み明けのマツダくんたち
しおりを挟むバサッ バサッ
「夢にまで見た下駄箱ラブレターきたーーーー!」
2学期初日、朝練が終わり昇降口で智裕が靴箱を開けた途端、結構な数の封筒が落ちてきた。歓喜の声をあげると、一緒にいた野村、増田、川瀬、香山が覗き込む。
「すごいね。俺初めて見たかも。」
「うえー、すげー量だな。」
「いーなースタメン様はー。」
みんなが呆れていると、反対側の2年1組の靴箱からもバサバサと紙の落ちる音がした。
「……はぁ。」
深くため息をついたのは疲れ果てた清田だった。
「なんなんだよこれ…。」
「何だよ清田もかよ。」
「松田や赤松なら理解出来るんだが、何で俺まで。」
呆れたように言うと、その声を聞いていた増田が答えた。
「仲間のために負傷してまでスライディングした姿が取り上げられているみたいだよ。ほら。」
増田が手にしていたのは「別冊 ene」という女性向け野球雑誌の特装版だった。
「異例の重版だってこの雑誌。昨日やっと届いたんだよね。」
「へー…あとで読んでもいい?」
「いいよー。」
野村はその雑誌に興味を示した。清田は「うえぇ」と顔を青くした。
バサバサッ
少し離れた場所から同様に紙が雪崩れる音、そして男子たちの「うおおお」という声が聞こえた。
智裕たちは靴を履き替えて、声のする方へ向かった。
「のわあぁぁぉぉ!」
「これはこれは……。」
「やばい…元々イケメンはレベル違ぇ…。」
「浮かれた自分が恥ずかしい…。」
「すごいわね……初めて見たわ…。」
音源は直倫の靴箱から智裕の何倍にもなる封筒や便箋の落ちるものだった。勿論直倫はため息をついた。それすら1年の野球部員たちでさえ惚れてしまいそうなほど美しい顔だった。
「アイツ…やっぱ大竹なんかより良い奴と付き合えるよ。」
「眼科行けばいいのにな…。」
「そこだけ残念だよね赤松くん。」
「紳士後輩×ツンデレ先輩…まぁありっちゃアリ。」
2年生たちに気がついた1年生は「お疲れ様です」と挨拶をする。
「赤松ー、お前スッゲーな…。」
「はぁ…でも裕也さん以外にモテても意味無いですよ。」
「そこは喜べよ赤松、嫌味にしか聞こえねーぞ。」
1通も貰ってない川瀬はラブレターを拾いながら冷たく言い放つ。
「松田先輩、俺も次の秋季大会でレギュラー入りしたらモテモテになれますか?」
智裕の隣に来て羨ましそうに直倫を見つめる175cmと野球部の中では少し細身な体格の1年、弥栄仁司が質問する。
「さぁな…赤松のおこぼれ程度にはモテるんじゃね?」
「マジっすか!俺絶対ベンチ入りします!」
「おうおう、まず清田の構えるところにしっかり投げれるようになれよ。」
智裕は弥栄の癖っ毛をグシャグシャと撫でた。
***
朝、続々と教室にクラスメートが登校してくる。智裕と野村と増田が固まって雑誌を読んでいたら、自然と人が集まり出した。
「“高校野球大好き女子1000人に聞きました♪恋人にしたい高校球児ランキング☆”…ねぇ。」
「1位、馬橋学院3年・松田八良クン。」
「2位、馬橋学院3年・中川駿太クン。」
「3位、聖斎学園3年・赤松直能クン。」
「4位、第四高校1年・赤松直倫クン。」
「5位、隈筑中央3年・後藤礼央クン。」
「トップ5中4人は10月にアメリカ・フロリダで開催される“U-18世界選手権”に出場する日本代表選手………だってさ、智裕。」
女子たちが嫌みたらしく音読するランキング結果に智裕は大ダメージを受けた。
「あ、でもほら、こっちの“カッコよかった場面ランキング”の5位!“第四高校エース・松田智裕、神奈川県大会決勝戦で圧倒的な完封勝利”だって!」
心の優しい女子生徒がフォローしてくれ、智裕の顔がパアッと明るくなった。
「“涙したランキング”、3位に“第四高校の要・清田恭介、決死のヘッドスライディングで負傷退場”…惜しくもランク外で“第四高校エース・満身創痍で無念の降板”……。」
「“胸キュンした場面ランキング”、1位は“赤松兄弟、弟が兄を超えた瞬間、兄から人生初のホームラン”。」
「なぁなぁなぁ!俺めっちゃ頑張ったんだけど!甲子園の後から病院行ったくらいボロボロになったんだけど!何がダメなの⁉︎」
智裕は半泣きになりながら訴えた。そして女子たちは真っ直ぐ智裕を見ながら答えた。
「顔。」
石のように固まった智裕をたまたま隣にいた一起が支えて慰めた。
「江川っちーーーー!」
「しょうがねーよ、顔は。」
「チキショー!世の中のイケメン滅びろぉぉぉぉぉぉ!」
一起に抱きついた智裕は赤子のようにあやされた。
「しっかし、大竹よ。これ大丈夫か?」
「あ?何が?」
「顔だけ系のランキング、お前の彼氏ほぼランクインしてるぞ。初戦敗退の高校でこれはやべーって。」
男子たちが指摘する通り、先ほどの「付き合いたい」をはじめとする「顔が良い」「芸能界でやっていける」等のランキングで兄との相乗効果なのか直倫はトップ5にほぼ入っていた。
「“次回、秋季大会で注目する選手ランキング”、あ、良かったじゃん、智裕入ってるよ。」
「マジで⁉︎」
高梨に言われて雑誌を覗き込むが、智裕は2位だった。その上に1位で載っていたのは「第四高校・赤松直倫(1年)」の文字。
「やっぱ世の中顔かよぉぉぉぉぉぉ!」
智裕は床に伏して絶望した。
裕也はそのページを見ても、何の感情もわかなかった。どこかでこうなることを覚悟出来ていたのかもしれない。
「赤松くん、ラブレターの量凄かったよねー。今時かなり古典的だけど。」
今朝見た光景を野村が伝えると、男子たちは驚愕し羨望する。そこでやっと裕也の胸に何かが刺さった。
(まぁ…普通、だよな…。)
横目で裕也を見ていた一起はその裕也の心境の変化に気が付いたが、気付かぬフリをして「はぁ」とため息を吐いて絶望している智裕の介抱に回った。
***
今日は午前中で放課になったが、部活動や居残り学習で残る生徒も多く購買部は営業されていた。裕也は最近お気に入りのミックス・オレを買いに向かった。
「おばちゃん、ミックス・オレ。」
「すいません、ミックス・オレを下さい。」
裕也と同時に同じ物を注文する声がしたので、そちらを向くと制服姿の直倫だった。
「裕也さん!」
「え、お前ジュース飲むの?」
裕也が知る限り直倫はスポーツドリンク、プロテイン、豆乳、炭酸水、水、麦茶しか飲まないストイックな生活を送っているはずだった。
購買のおばちゃんに「2人とも100円。」と言われて100円玉を渡してミックス・オレを受け取ると自然と2人並んでその場を離れた。
「はい、裕也さん。」
「え?」
「今日は昼休みもないからせめて裕也さんが好きな飲み物を買って会いに行こうと思ってたんです。でもここで会えて良かったです。」
相変わらずの爽やかスマイルから裕也は少しだけ目を逸らした。するとそんな直倫を通りすがりで見かけた女子たちが「カッコいいー」などと呟くのが聞こえた。
「お、おーおー…お前すっげーなー!超モテモテじゃん!」
「え?」
「カッちゃんから聞いたぜー、今朝なんかラブレターで靴箱埋まってたらしいじゃん!トモが赤松に負けたーとかすっげ落ち込んでたぜ、マジ笑ったわー。」
「裕也さん?」
「あとなんだっけ?彼氏にしたい高校球児ランキング?あれで4位とか入ってたぞー。先輩たち差し置いてやるじゃねーか!」
裕也はそう笑って直倫の背中をからかうようにバンバン叩いた。
「せっかくだけど、ミックス・オレそんなに飲めねーからお前飲めよ。これ近年稀に見る傑作だから!な!」
裕也は「じゃあな!」と駆け足で直倫のそばから逃げた。
「裕也さん⁉︎」
直倫はあとを追いかけようとしたが、それは阻まれてしまった。
「赤松くん…あの、ちょっといいですか?」
多分これから直倫に告白しようとしている女子とその友人たちによって。
***
裕也は教室とは違う方向に逃げのびた。振り返って直倫の気配が無いことが分かると、足を止めて「はぁ」と溜息を吐いた。
「どーすればいいんだろ……ほっとけばいいの分かってんだけどさぁ。」
「うーん…難しいね……。」
近くから聞き覚えのある声がして、何となくその方向に向かう。階段の踊り場で智裕と拓海が談笑をしているようだった。何となく裕也は気付かれたくなくて階段下に身を潜めて会話に耳を傾けた。
「でも俺は、智裕くんのお父さんの言う通りだと思うよ。決めるのは本人次第だし…俺だって高校から先の進路はやっぱり自己責任だなぁって……大学でこの街に来たことや、まーちゃんを育てるって決めたこと、大学も頑張って卒業するって決めたこと…全部俺が決めたことなんだから。」
「…そっか……やっぱ俺が口出しするのもおかしな話だよな。」
「その子は単純に赤松くんのことが好きで寂しいのかもしれないよ?ずっとやって来た仲間なら、そう思いたくなるものじゃないかな?」
(これって直倫のこと、なのか?)
「ついでに言うと赤松の兄貴にも、赤松を聖斎に返してって言われた。あいつの将来考えたら四高にいちゃいけないのは分かってんだ。赤松がもし聖斎だったら多分日本代表になってた……だけどなぁ…。」
(直倫の将来……?)
「あー!もう!俺だって自分のことでいっぱいいっぱいなのに何で赤松如きのことで悩まなきゃいけねーんだよ!ツワブキ先生!俺に癒しを下さい!」
「ちょ、ダメだよ!まだ…学校だってばぁ……。」
「大丈夫だって、3分だけ…ね?」
「そんな、の……んん……んむ…。」
(あいつバカじゃねーの⁉︎こんな踊り場で盛りやがって!)
幼馴染の濃厚なキスシーンを聞きたくなくて耳を塞ぎながら裕也はその場を忍び足で離れた。
***
ゆっくりと遠回りして裕也は自分の教室に戻ると、クラスの運動部の男子たちがそれぞれ部活に向けて着替えて準備していた。
「よぉ大竹、まだ帰ってなかったのかよ。」
「あー…購買行ってた。」
何となく返事をしながら、自分の荷物をまとめる。
(家帰って飲も。)
パックのミックス・オレを鞄に仕舞い、それを持って教室を出て行こうとした。すると「ピンポンパンポーン」と校内放送のチャイムが鳴った。
『2年5組の大竹裕也、宮西椋丞、まだ校内に残っていたら至急職員室へ。繰り返す、2年5組の大竹裕也、宮西椋丞、まだ校内に残っていたら至急職員室へ、駆け足!』
声の主は担任の星野だった。そしてその声に殺気がこもっているようで裕也は顔を青くした。
「え?お、俺、公民の課題、だ、出した、よな?」
挙動不審に周りのクラスメートに質問するが冷たくあしらわれる。
「知らねーよ。とっとと行った方がいいんじゃね?」
「椋丞は⁉︎あいつもだろ⁉︎」
「宮西はとっくに帰ったんじゃねーの?」
「なんだよあいつ!俺だけじゃ…。」
「俺も逃げる!」と宣言し廊下に出ると、里崎と一起の委員長ズに確保された宮西がいた。
「逃げても無駄よ、椋丞。」
「観念しろ、宮西。」
「チッ、グルかよ。」
裕也も逃げ場を失った。
***
拓海に悩み相談のついでに濃厚なキスを交わして満足した智裕はヘラヘラした面構えでグラウンドに向かった。
「松田、顔。」
「あ、あぁ…悪いな。」
清田に指摘されて、クッと表情筋を締める。清田と香山が整列する部員たちの前に立つ。
「今日から新たなチームで、もう一度甲子園に向けて活動する。2年は4人だけ、ベンチ入りの経験者も合わせて5人しかいない、1から築き上げる厳しい状況だが…だからこそ他所の100倍努力して完全勝利を目指し、今度こそ馬橋学院をぶっ潰す!いいな!」
はい!
今日から正式に主将に清田、副主将に香山をおいての新体制で動き出す。
「松田、川瀬、そして赤松。お前らは夏の悔しさ、怖さを経験している。だからこそお前らに他の部員はついていく、その自覚を持って練習に励めよ、いいな!」
「うっす!」
「おう!」
「はいっ!」
「今日はランニング5周、アップ運動ののち、野手は素振りとティー、投手はキャッチボール。特に投手陣は来週にはローテーションを決定する、気をぬくなよ!」
はいっ!
堀と比べ数倍厳しい主将・清田の声に部員たちも背筋を正して一層声を出した。
(後藤先輩といい清田といい、キャッチャーって悪魔に魂でも売ってんのか?)
そんな疑問を抱きつつ、智裕もランニングを下半身強化を意識して開始した。
ランニングを終えると智裕は直倫に教わったプロテインスポーツドリンクで水分補給をした。
「うぅ……まっじぃ…。」
数日経っても慣れない味に顔をしかめていると、そばにいた投手チームの1年が「それ何ですか?」などと訊ねてきた。
「弥栄、お前飲んでみろよ。」
「何で俺なんですか!」
「視界に入ったから。」
「松田先輩酷すぎます!」
先輩命令に逆らえない弥栄は一口だけ智裕の水分を口に含んだ。やはり智裕同様にしかめた顔をする。
「絶妙なマズさっすね……何でこんなもん飲んでるんスか?」
「あと8キロ増やさねーとダメなんだよ…ははは。これでも10日間で3キロ近くは増やしたんだぜ?」
「はいはい、愚痴をこぼす暇があったらどんどん筋肉に摂取させるよ松田くん。」
「うぅ……。」
野村は智裕の腕に付いているヘルスメーターを確認し、ショートブレッドを手渡した。智裕はプロテインドリンクと共にそれを胃に流し込んだ。
「日本代表って大変っすね。俺の弟トライアウト落ちたんスけど、受かったら受かったで過酷っすね。」
「え?弥栄、弟いんの?つーか日本代表?U-15?」
「いえ、双子なんでU-18っす!弟の高校は福岡の隈筑中央っす!」
「く……ま……!」
「弟、仁紀っていうんですよー。俺と1文字違いでややこしいっすよねー。」
智裕と香田は続々と出てくる1年の新情報の量で、チームを作り上げるのに足りないものが見え始めていた。
「ブルペンチームは今日はキャッチボールやめ!全員円になって座れ!あ、松田は話聞こえるところで筋トレな。」
「お、おう!」
***
一方、野手チームは清田の檄が飛びながら森監督もバッティング練習を厳しく見守っていた。
「赤松。」
「はい。」
「次の練習試合からお前は3番だ。」
「は…はい!」
「これがどう言う意味かわかるよな?」
森監督の突然の指名に直倫は戸惑った。今までは1番でゴロだろうが自分が出塁すれば良かった。だがクリーンアップになるということは違う。
「長打力、ですよね。」
「そうだ。お前の打ち方は確実だが一発を見込めない。それは分かっているだろう。」
「はい。」
「今月中にフォームの見直しをする。俺も見てやるが自分なりに考えろ、いいな。」
「はい!」
そのやり取りを聞いていた野村は、すぐにポケットに入れていたメモに記入した。
「克樹くん、何してるの?」
丁度、ドリンクの用意を終えて野村の隣に来た増田は不思議そうにメモを覗き込んだ。そこにはビッシリと文字が書かれていた。
「清田くんは部をまとめて士気を乱さないことに必死だし、投手は香山くんと松田くんがいるからどうにかなるけど……野手の細かいデータはこうして俺がフォローしないと、ね。」
「そっかぁ…2年生、私を入れても6人しかいないもんね。それに松田くんはそれどころじゃないだろうし。」
「投手も…秋季大会直前まで松田くんは使えないから先発投手を立てることが急務だけど、まずは部員を知らなければって感じだね。俺たち3年生がいてくれたからのんびりし過ぎてたな。」
「堀先輩たちって、本当にすごかったんだね。」
3年生がいなくなった空虚を埋めることに、2年生は焦りを感じていた。
「1年生の捕手は三輪くんだけ……か…もう1人くらいいて欲しいところだけど……。」
(本当にそうなった時に、俺はもう一度ユニフォームに腕を通せるかな?)
「なーんてね。」
「ん?どしたの克樹くん?」
「何でもないよ、さ、そろそろ野手チームが休憩だから準備しよう。」
新体制に戸惑う野球部を、少し離れた場所から見る人があった。
「公立高校でここまで士気が高いチームは素晴らしいですね。」
「ええ、やはり甲子園に行ったことが彼等の自信になったのかと。」
「そのようですね、ただ……あの赤松選手と松田投手は…本当に勿体ない。」
「由比さん、お言葉ですがあの2人は我が校の看板選手ですが…勿体ない?」
「ええ、松田投手はもっと上を目指せる為の指導者がいない、赤松選手は公立高校にいるというだけでチャンスが潰れている…。」
「は、はぁ…。」
「入校許可書」を提げた日本代表コーチの由比の言葉に案内役の教頭と校長は見上げて戸惑うしかなかった。
「こんな宝物を、私は潰したくはないですね。」
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