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――Fifteen years ago.

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 オレの夢は触れられるのじゃないかと思うほどに現実味を帯びている。今も、ありし日の思い出をそのままになぞっている。オレの後悔、そして心残りの場面を……。

「ダントン様~!」

 訓練用の木剣ぼっけんを手に、ハリーがこちらへ走ってくるところからそれは始まる。あの日、青いきれに辟易へきえきしながらも木陰に寝転び、午睡ごすいを決め込もうとしていた矢先のことだった。

「ダントン様、稽古つけてください!」
「え~、面倒くせぇなあ」
「そんなぁ、お願いしますよぅ」

 ごろりと反対側に体ごと寝転ぶオレを揺すぶって、ハリーが甘えた声を出す。まるで女みたいに華奢きゃしゃな美少年だった。いや、今も、か。
 ハリのある黒髪は真っ直ぐだが硬くはなく、日に焼けない白い肌は柔らかくスベスベで触れると心地好い。青い瞳は極上の碧玉サファイアのように濃く、長い睫毛に囲まれていた。
 オレは、ハリーの子どもらしい短いズボンから覗くすらっとした足を見た。日に当たりさらに増す白さに劣情れつじょうを掻き立てられる。

 この頃のオレは、父親の護衛騎士の一人から男色だんしょくの好さを教わり、味をしめていたんだった。あれからオレの食指が動くのは男ばかり、しかも騎士服姿の若い男が良い。そういえばオレを無理矢理に犯した騎士も若くて、どちらかといえば線の細い優男だったな。

 抱かれるのも悪くなかったが、オレはどちらかと言うと抱いてみたかったから、四つ年下で十五になったばかりのハリーに目をつけていた。ハリーならオレの護衛騎士になる予定でちょうど良かったし、オレを慕っていたから抵抗しないだろうと勝手に思っていたわけだ。

「僕、次の騎士への推挙すいきょ試験、受けて良いって言われたんですよ」
「へぇ、よく許してもらえたな」
「むぅ。いくら僕が細いって言っても、成人してるんですからね!」
「いや、冬まで待てって言われるかと思ってたんだって。悪かったよ」
「ああ! それは僕もちょっと考えました」
「だろ?」
「でも酷いですよ! 僕は早くダントン様の騎士になりたいのに……」
「はいはい、とにかくオメデトさん!」
「へへ、ありがとうございます」

 照れ笑いするハリーの頭をくしゃくしゃと掻き回す。随分日に当たっていたのだろう、髪の毛が熱かったことを今も鮮明に覚えている。

「なぁ、ハリー。オレのことが好きか?」
「はい!」
「そっか。じゃあ、どんなとこが好きだ?」
「んー、ダントン様は乗馬が出来るし、剣が強い! あと、父上が僕はダントン様の騎士だって言ってました」
「そっかそっか」
「ねぇ、それより稽古をつけてくださいよ。僕はもっと強くなって、貴方をお守りしたいんです」
「おう。うんじゃ、まず、体をほぐそうか」
「えー、またそれ? さっきから剣振るってたから必要ないのに……」
「いいから」

 オレはハリーの二の腕や太ももに手を這わせた。しっかり、念入りに揉む。弾力のある筋肉が手に瑞々みずみずしい若さを伝えてくる。

「これなら、大丈夫かな」
「ダントン様、くすぐったい……!」

 ハリーの小鳥のような笑い声が耳に心地よい。二の腕を擦る手を止めることなく、半ば開いた唇に舌を這わせた。

「んっ……ふぁ……」
「ん……ハリー、キス巧くなったな」
「やった! 嬉しいな。騎士学校で自慢できますかね!」
「ハリー、オレ以外の男とはキスするなよ」
「え? どうしてですか?」
「そりゃ……、オレが師匠でお前が弟子だからだ」
「ん? はーい」
「そのうち、他にも色々遊びを教えてやる」
「本当ですか!?」
「ああ、本当だ」

 オレの言葉にハリーは嬉しそうに笑った。可愛いなぁ、ハリーは。こんな風に何でもオレの言うことを聞いて、何でも受け入れてくれるから、オレは勘違いをしちまってたのさ。ハリーもオレのことを好きだってな。




 視界は暗転し、場面が変わった。季節は冬に……

「ダントン様ぁ!」
「ハリー。推挙試験、受かったのか!」

 駆け寄ってきたハリーを抱き止めると、真新しい騎士の制服に袖を通したばかりなのだろう、嗅ぎ慣れない匂いがした。

「えへへ、頑張りました! これで秋から僕も騎士学校生ですよ」
「うんうん、制服が良く似合ってるぞ」
「やった! あ、そうだ。合格祝い、期待してますよ?」
「ああ、約束だからな。……ハリー、なあ、ハリー」

 ハリーは不穏な空気を感じたのか、オレの腕の中で身動みじろぎした。

「ダントン様……?」
「お祝いに今から好いことしてやるよ……。勿論、プレゼントは別に用意してやるからさ」
「え……、なに? ちょ、ダントン……様……」
「はぁ……、ハリー、可愛い」
「んむ……ぁ……はぁ……」

 唇に舌を這わせると、ハリーは自分から舌を絡めてきた。オレは甘露かんろを味わい尽くすように何度も何度も角度を変えて責め立てた。ハリーの喘ぎも熱を帯びてきて、オレの上衣を握り締めて震えていたっけ……。

 欲望がたぎって抑えきれなくなったオレは、ハリーの脚が覚束おぼつかないのを良いことに木陰に押し倒した。

「ハリー、大人しくしてな」
「あ……」

 頬を染めてオレを見上げるハリーの濡れた青い瞳は、期待に潤んでいるようにオレには思えた。ベルトを外し、ズボンを引き抜いた。

「ふぁ……! や、ダントン様!」

 ハリーが弱々しく両手で前を隠そうとし、オレはそうさせなかった。ハリーの未熟な雄は既に天を向いていた。キスだけで勃たせるなんて、本当に初心な少年だった。

「だめ……だめぇ!」

 オレはハリーの可愛いところを慰めてやるために両手で緩く握った。ハリーの腰がビクンと跳ねる。そのままゆっくりしごくと嬌声きょうせいが上がった。親指で裏筋うらすじをぐにぐにと刺激してやると先端からトロリと透明な涙が垂れた。

「ふぅ~~、あ、あぁ、だめ……! やぁ……!」
「大丈夫だ、我慢せずに出しちまえよ」
「ああっ! くぅ……! はな、して……ぇ!!」
「ほらほら」

 鈴口も先走りを広げてぬるぬると円を描くように撫でてやると嬌声がすすり泣きに変わる。手だけだといっても自分でするのと誰かにしてもらうのとじゃ全然違うもんだ。口でしてやっても良かった筈だが、あの頃はオレも若くて、思いきりも配慮も足りなかった。

「イケよ、ハリー。イッたら次はオレを好くしてもらうからさ……」
「やだぁ……怖いぃ……!」
「大丈夫だって。すぐに気持ち好くなるから」
「あっ、あっ、らめぇ!!」

 オレはしごきを早くして射精感を高めてやった。ハリーの体は面白いくらい素直に反応して白濁液を撒き散らす。その熱いほとばしりを手で受け止めたが、全部は止められなかった。
 ぱたぱたっと着たままのハリーの新しい制服に飛び散るそれが、いやらしい染みを作った。

「おっ、いっぱい出たな。どうだった?」
「……っ、あー……」

 ちゅくちゅくと最後まで絞り出すように根元からストロークしてやると、ハリーはぐったりして脚を投げ出したままとろけていた。
 オレは今のうちにとハリーの吐き出した精を潤滑油代わりに秘められたつぼみへ指を添えた。

「や……めて……」
「お前だけ気持ち好くなっちゃダメだろ、ハリー。ちゃんとオレにもご奉仕するんだぞ……」
「ふぁ……? 意味、わかんな……」

 オレはハリーの右足を高く持ち上げ、秘部を晒した。まだ脱力しているのか、ハリーの反応は鈍い。オレは蕾の周りをよく濡らして擦り上げた。いきなり指をれて掻き回したりはしない、まず大事なのは入り口のここをよく解すことだ。カリが通るまで慣らしてやれば後の部分の挿入はスムースだ。

「ああっ! ダメ、やめてくださっ……!?」
「何がダメなんだよ~」

 中指で皺を伸ばすようにグリグリしてやれば、ハリーの好さそうな喘ぎ声が返ってきた。ハリーが抵抗しないのを良いことに、オレはどんどんそこを解していった。まずは一本からと指を入れて感触を確かめる。ハリーは口では嫌だと言いながらも暴れたりはしなかった。指が二本も挿入はいるようになったので、オレはベルトを緩めてズボンをずり下げた。

 ハリーの蕾にオレの雄の丸い切っ先を宛がったとき、複数の男らが制止する声がして、オレとハリーは引き離された。……あれからもう十五年かぁ。
 まるで昨日のことのように覚えている。ほとぼりが冷めるまでと三年も国外にやられた。その後二年間、アウストラル中を探し回ったが……ハリーは、どこにも居なかった。
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