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第3章「果てしなき世界へ」
旅立ち
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†
夜が明けて、旅立ちの日がやってきた。
未知は、ふと三年前の入学式を思い出した。同級生は小学校の持ち上がりで知っている人ばかりだったが、中学校の厳かな雰囲気に緊張して、尻込みしたものだった。小学校は私服で、中学生になってから初めて制服を着た。ばりっとした着古していない制服だ。あの日のように、今日も制服――旅人の装いといえば良いのだろうか――を着ている。
「未知、下を見てごらん」
未知は、五日前と同じように、アーサーとエルスタンの三人で神魔羅殿の前に立っていた。
「あんたさんは神殿に入る前にこれを見ていたね」
覚えている。この石畳には、方位が刻まれ、東西南北に合わせて四体の動物が彫られている。
「私は、昨日あんたさんに旅立ちなさいと言った。あの時は、あんたさんに旅の目的を告げなかった。今、これを間近で見て、肝に銘じてほしいと思ってね」
昨晩考えていた道中の不安、どこに向かえば良いのか。旅の目的がようやく明かされる。
「ここに四体の聖獣が描いてある」
聖なる獣。五日前に初めてこの石畳を見た時から密かに気になっていた。
「東の方角に描いてある一角獣はユニコーン、南の鳥はフェニックス、西の龍はポセラドル、北の獣をグリフォンという」
神話に出てくる獣達もこのような名前だっただろうか。中には初めて耳にする名前もある。しかし、方角ごとに位置付けられているという話は聞いたことがなかった。
「彼らは『四聖獣』といい、光の女神リュークの加護を受け、世界を守護しておる。太古に世界を救った勇者は、四聖獣の力を借りて魔王に立ち向かったという」
動物の彫られた石畳の左上に悪魔の紋章が見える。先日、エルスタンが立って扉を開けた場所だ。
「サレプスは我々がこうしている間にも、己の全ての封印を解こうと画策しておる。このまま奴が完全に復活し、世界を征服させてたまるかい! 神に選ばれし者――未知、あんたさんにはやるべきことがある」
未知は、耳の裏が熱くなるのが分かった。無意識のうちに、直立不動の姿勢になる。
「世界を巡り、四聖獣の力を借りよ。その身に、剣に加護を受けるのじゃ」
背中には、鞘に収めた剣がベルトに固定してある。何となくリュックサックを背負っている感覚と似ている。
「未知、あんたさんはここから西にワットリー山脈を越えた所にあるニャッカ王国に向かう。そして、東の四聖獣ユニコーンに会うのじゃ」
夜が明けて、旅立ちの日がやってきた。
未知は、ふと三年前の入学式を思い出した。同級生は小学校の持ち上がりで知っている人ばかりだったが、中学校の厳かな雰囲気に緊張して、尻込みしたものだった。小学校は私服で、中学生になってから初めて制服を着た。ばりっとした着古していない制服だ。あの日のように、今日も制服――旅人の装いといえば良いのだろうか――を着ている。
「未知、下を見てごらん」
未知は、五日前と同じように、アーサーとエルスタンの三人で神魔羅殿の前に立っていた。
「あんたさんは神殿に入る前にこれを見ていたね」
覚えている。この石畳には、方位が刻まれ、東西南北に合わせて四体の動物が彫られている。
「私は、昨日あんたさんに旅立ちなさいと言った。あの時は、あんたさんに旅の目的を告げなかった。今、これを間近で見て、肝に銘じてほしいと思ってね」
昨晩考えていた道中の不安、どこに向かえば良いのか。旅の目的がようやく明かされる。
「ここに四体の聖獣が描いてある」
聖なる獣。五日前に初めてこの石畳を見た時から密かに気になっていた。
「東の方角に描いてある一角獣はユニコーン、南の鳥はフェニックス、西の龍はポセラドル、北の獣をグリフォンという」
神話に出てくる獣達もこのような名前だっただろうか。中には初めて耳にする名前もある。しかし、方角ごとに位置付けられているという話は聞いたことがなかった。
「彼らは『四聖獣』といい、光の女神リュークの加護を受け、世界を守護しておる。太古に世界を救った勇者は、四聖獣の力を借りて魔王に立ち向かったという」
動物の彫られた石畳の左上に悪魔の紋章が見える。先日、エルスタンが立って扉を開けた場所だ。
「サレプスは我々がこうしている間にも、己の全ての封印を解こうと画策しておる。このまま奴が完全に復活し、世界を征服させてたまるかい! 神に選ばれし者――未知、あんたさんにはやるべきことがある」
未知は、耳の裏が熱くなるのが分かった。無意識のうちに、直立不動の姿勢になる。
「世界を巡り、四聖獣の力を借りよ。その身に、剣に加護を受けるのじゃ」
背中には、鞘に収めた剣がベルトに固定してある。何となくリュックサックを背負っている感覚と似ている。
「未知、あんたさんはここから西にワットリー山脈を越えた所にあるニャッカ王国に向かう。そして、東の四聖獣ユニコーンに会うのじゃ」
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