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17、ルヒンキー侯爵家令嬢の抗議
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ウィンリーナはパンッと自分の頬を気合を入れるために叩いた。
今日はいよいよ二回目の選考会だ。
とうとう人数は五人にまで減っている。選考を通過するためには、さらに難度が上がるだろう。
一体どんな問題が待っているのか不安だったが、何も対策はできないので、良く食べて良く寝て健康的に過ごした。
つまり、何もしていない。
唯一、殿下の論文を読了したくらいだ。
髪の色が同じ場合、瞳の色が上位色のほうが魔力が強いと書かれていた。
すると、黒髪碧眼の殿下や金髪碧眼の姉より、黒髪黒目のウィンリーナのほうが魔力が強いことになる。
(でも、そんなこと、すぐに信じられないわ――)
アグニス国であれほど最上色を崇められていたのは、魔力が強いからである。それゆえに強い結界を自分の領地に張れるので、魔物の脅威は著しく低くなる。それほど貴重な存在なのだ。
フィルトが魔法具で魔力を測定してくれると言っていたので、きっとそれで確認できるはずである。
「さぁ、リナ様。ついに時間になりましたよ。行きましょうか」
「分かったわ」
アニスが声を掛けてくれたので、ウィンリーナは椅子から立ち上がり、部屋を出た。
前回と同じ選考会場に案内されて向かうと、なにやら入り口で騒がしかった。
金髪の女性が殿下の部下たちに食って掛かっていた。
以前、ルヒンキー侯爵家と名乗って落選を抗議していた令嬢だ。
(ルヒンキー侯爵家? もしかして、メルシルンが言っていた例の家と同じかしら?)
メルシルンの姉は、侯爵令嬢に呼ばれて仕事で屋敷に出向き、そこで襲われたのだ。凶悪な行為に手を貸したのは、この令嬢なのだろうか。そう考えただけで背筋が思わず寒くなった。
入り口に侯爵令嬢が侍女を引き連れて立ち塞がっているので、ウィンリーナは中に入れず廊下で立ち往生だ。つい盗み聞きする気はなくとも、彼女たちの会話が聞こえてくる。
「前回の選考会の結果には納得できません。別の審査で再選考してください」
令嬢が堂々と要求を口にしている。それを殿下の側近ゼロンが真正面から対応していた。彼の背後にはフィルトもいた。ウィンリーナに気づいたらしく、目線をこちらに向けて一瞬笑顔を浮かべる。
「結果に変更はございません。お帰りいただけますか」
「あなた、なんの権利があって、わたくしの言葉を軽んじるの!」
ゼロンが全く動じないので、ついに令嬢が切れた。
「私は殿下に今回の選考会の全ての権限を委任されております。つまり、今回の選考会での私の決定は殿下のご意志と同じです。また、殿下も選考の決定に変更はないとおっしゃられておりました。ご理解いただけましたか?」
「殿下ご本人を出してもらえないと、納得できませんわ!」
話が通じなくてゼロンは困ったのか眉をひそめた。すると、隣にいたフィルトが一歩前に出た。
「お帰りください。衛兵を呼びますよ」
「無礼な! ルヒンキー侯爵家の娘であるわたくしを軽んじるなんて、あとで後悔しても知らないわよ!」
令嬢はフィルトにも威嚇するように責め立てる。
「殿下の決定をこれ以上無視されるなら、無礼ととりますがよろしいのですね?」
フィルトにとどめの台詞を吐かれたあと、侯爵令嬢は何も言い返せなくなったようだ。彼女が悔しそうな顔をして側近たちから顔を背けたとき、運悪くウィンリーナは彼女と目が合ってしまった。頭のてっぺんからつま先まで見定めるようにウィンリーナは瞬時に観察された。
それから射殺すような勢いで睨まれる。
「こんな下級貴族風情が残って、わたくしが帰されるなんて、許されないわ。黒色がまだ不吉と考える人もいる中では、わたしくの実家の援助が必要なのではないかしら?」
ウィンリーナの身なりから、だいたいの階級が推測できたみたいだ。
「五年前、デビュタントのときに殿下に対して魔力が合わないとおっしゃられて断られたのは、あなたでしょう。私も殿下とご一緒していたので、よく覚えておりますよ」
ゼロンの言葉に侯爵令嬢は血相を変えて慌て出した。
「あれは、あのとき殿下の黒い髪が、魔力が強い証拠だと知らなかったからですわ。それにわたくしの家では、現在そんな魔力の相性など関係がなくなる魔法具を開発しておりますのよ。けれども、このような心ない対応をされては、王家とのお付き合いについてお父様に考え直していただいた方がいいですわね」
侯爵令嬢はついに脅しを口にしていた。
「それは、あなたの一存で、王家との取引を止めると?」
フィルトが不快そうに眉をひそめる。すると、侯爵令嬢は少し怯んだような様子を見せた。もしかして親の威光を利用しただけなのかもしれない。
「お、お父様も同じようにお考えですわ。よくお考えになってくださいませ」
そう侯爵令嬢は吐き捨てると、フィルトたちから離れていく。
ウィンリーナの横を通り過ぎるとき、なぜか彼女は立ち止まり、こちらを鋭い眼差しで見つめる。
今日はいよいよ二回目の選考会だ。
とうとう人数は五人にまで減っている。選考を通過するためには、さらに難度が上がるだろう。
一体どんな問題が待っているのか不安だったが、何も対策はできないので、良く食べて良く寝て健康的に過ごした。
つまり、何もしていない。
唯一、殿下の論文を読了したくらいだ。
髪の色が同じ場合、瞳の色が上位色のほうが魔力が強いと書かれていた。
すると、黒髪碧眼の殿下や金髪碧眼の姉より、黒髪黒目のウィンリーナのほうが魔力が強いことになる。
(でも、そんなこと、すぐに信じられないわ――)
アグニス国であれほど最上色を崇められていたのは、魔力が強いからである。それゆえに強い結界を自分の領地に張れるので、魔物の脅威は著しく低くなる。それほど貴重な存在なのだ。
フィルトが魔法具で魔力を測定してくれると言っていたので、きっとそれで確認できるはずである。
「さぁ、リナ様。ついに時間になりましたよ。行きましょうか」
「分かったわ」
アニスが声を掛けてくれたので、ウィンリーナは椅子から立ち上がり、部屋を出た。
前回と同じ選考会場に案内されて向かうと、なにやら入り口で騒がしかった。
金髪の女性が殿下の部下たちに食って掛かっていた。
以前、ルヒンキー侯爵家と名乗って落選を抗議していた令嬢だ。
(ルヒンキー侯爵家? もしかして、メルシルンが言っていた例の家と同じかしら?)
メルシルンの姉は、侯爵令嬢に呼ばれて仕事で屋敷に出向き、そこで襲われたのだ。凶悪な行為に手を貸したのは、この令嬢なのだろうか。そう考えただけで背筋が思わず寒くなった。
入り口に侯爵令嬢が侍女を引き連れて立ち塞がっているので、ウィンリーナは中に入れず廊下で立ち往生だ。つい盗み聞きする気はなくとも、彼女たちの会話が聞こえてくる。
「前回の選考会の結果には納得できません。別の審査で再選考してください」
令嬢が堂々と要求を口にしている。それを殿下の側近ゼロンが真正面から対応していた。彼の背後にはフィルトもいた。ウィンリーナに気づいたらしく、目線をこちらに向けて一瞬笑顔を浮かべる。
「結果に変更はございません。お帰りいただけますか」
「あなた、なんの権利があって、わたくしの言葉を軽んじるの!」
ゼロンが全く動じないので、ついに令嬢が切れた。
「私は殿下に今回の選考会の全ての権限を委任されております。つまり、今回の選考会での私の決定は殿下のご意志と同じです。また、殿下も選考の決定に変更はないとおっしゃられておりました。ご理解いただけましたか?」
「殿下ご本人を出してもらえないと、納得できませんわ!」
話が通じなくてゼロンは困ったのか眉をひそめた。すると、隣にいたフィルトが一歩前に出た。
「お帰りください。衛兵を呼びますよ」
「無礼な! ルヒンキー侯爵家の娘であるわたくしを軽んじるなんて、あとで後悔しても知らないわよ!」
令嬢はフィルトにも威嚇するように責め立てる。
「殿下の決定をこれ以上無視されるなら、無礼ととりますがよろしいのですね?」
フィルトにとどめの台詞を吐かれたあと、侯爵令嬢は何も言い返せなくなったようだ。彼女が悔しそうな顔をして側近たちから顔を背けたとき、運悪くウィンリーナは彼女と目が合ってしまった。頭のてっぺんからつま先まで見定めるようにウィンリーナは瞬時に観察された。
それから射殺すような勢いで睨まれる。
「こんな下級貴族風情が残って、わたくしが帰されるなんて、許されないわ。黒色がまだ不吉と考える人もいる中では、わたしくの実家の援助が必要なのではないかしら?」
ウィンリーナの身なりから、だいたいの階級が推測できたみたいだ。
「五年前、デビュタントのときに殿下に対して魔力が合わないとおっしゃられて断られたのは、あなたでしょう。私も殿下とご一緒していたので、よく覚えておりますよ」
ゼロンの言葉に侯爵令嬢は血相を変えて慌て出した。
「あれは、あのとき殿下の黒い髪が、魔力が強い証拠だと知らなかったからですわ。それにわたくしの家では、現在そんな魔力の相性など関係がなくなる魔法具を開発しておりますのよ。けれども、このような心ない対応をされては、王家とのお付き合いについてお父様に考え直していただいた方がいいですわね」
侯爵令嬢はついに脅しを口にしていた。
「それは、あなたの一存で、王家との取引を止めると?」
フィルトが不快そうに眉をひそめる。すると、侯爵令嬢は少し怯んだような様子を見せた。もしかして親の威光を利用しただけなのかもしれない。
「お、お父様も同じようにお考えですわ。よくお考えになってくださいませ」
そう侯爵令嬢は吐き捨てると、フィルトたちから離れていく。
ウィンリーナの横を通り過ぎるとき、なぜか彼女は立ち止まり、こちらを鋭い眼差しで見つめる。
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