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冬支度
しおりを挟むエンとダラーを見送ると、今度はノーマだな。
「…ノーマ」
「はい!」
「此処に商会でも建てるか?ノーマには人材確保をしてもらっていいか?」
「はい!人材確保なら任せてください!」
「俺は奴隷も普通の人間も区別しない!」
「分かっております!セイクリッド、此処は楽園です!私はこれから人国に行って人材確保をしてきます」
「人国か、ならちょっとまってくれ、第三師団団長のアシュレイって人に手紙を渡してもらえるか?」
「はい!分かりました」
近くでペンと紙をもらい手紙を書く。
「頼んだぞ?護衛は?」
「それはこちらで手配します」
「あとは金がいるだろう!これを」
「いえ、帰ってからで構いません」
「そうか?」
「はい!これは私の天命ですので!」
と言って二つの馬車は競い合う様に出て行った。
どちらも無事に帰ってくることを願おう。
セイクリッドの城下町は凄い勢いで建物が立っていっている。まだ外敵も少ないので中の街づくりを頑張っているのだろう。
『人間よ!我はどこに居を構えれば良い?』
「うおっ!フェンリル、早かったな」
『あぁ、場所を決めねば蒼月花も移せないのでな』
「そうか、まぁどこでもいいぞ?眺めがいいところなんていいんじゃないかな?」
『そうだな、ではあの森の奥に我は住むことにしよう』
おお、森ができてるな。どんどんセイクリッドは蘇ってきてるみたいだ。
「分かった」
『何かあれば我を呼ぶがいい』
と言って風と共に消えた。
「さ、さっきのって?」
「ルビーか、フェンリルだ」
「フェンリル?!」
「…繋がりがあってな、セイクリッドに住むことになった」
「へ、へぇ」
「それより他のみんなはどうだ?」
「1人はパン屋をやってたらしいの、だから街のパン屋をしてもらうことにしたわ。あとは王城勤めね」
「…パン屋か、いいな」
「あと、オン爺が畑をどこに作るのかって騒いでいたわよ?」
「街の外側になると思うがガンツに聞いてからだな。街はガンツに任せっきりだからな」
「そうね!そうする様に言ってくるわ!」
王城からのメインストリートはもう出来上がってると言ってもいいだろうな。そしてフェンリルが城の奥にある森に居を構える。
この街ができたら漁港でも作ってもらうか!魚が食べたいな。
ちょっと森に散策に行ってみるか。
「ダウン」
「うっす!」
「森ができてるから行ってみないか?」
「そうっすね、行きましょう!」
「私も行きます!」
とウィンが言ってくるので3人で森に行くことにした。
「…へぇ、静かなもんだな」
「ですね、いい森です」
「…ここにフェンリルが住むそうだ」
「そりゃいいっすね!じゃあ、フェンリルの森っすね」
「…そうだな」
中に入って行くと湖があった。
「うぉ!綺麗な湖っすね」
「あぁ、ここはいいな」
「ッシ!」
「オラァ!」
と声が聞こえるのでそっちに行くとミイとスィがファングボアを倒していた。
「あ、ケント様!」
「あれ、ダウンも」
「…狩りの途中だったか」
「いえ、仕留めたので大丈夫です」
「あはは、お前ら強くなったな!」
「ダウンがいなくても平気よ!」
と言ってファングボアをマジックバッグに入れる。
「…これからこの森はフェンリルの森だからな」
「え、それじゃあこの森で狩りは?」
「あぁ、ちゃんと言っておくから大丈夫だ、だけどあまり奥に行くなよ?」
「はい!」
5人で森から出る。
すると遠くの方で牛を使って土を耕しているオン爺達が見える。男どもが率先してやってるみたいだな。
寒さも感じないくらい熱気に溢れている街はこれからまた本格的な冬に向けて今のうちにやるべきことをやっているのだろう。
そうだ、薪を買ってきたから配らないとな。
街のメインストリートに行くとセイランの店やクオンの店、あと宿屋も出来てるな。
「ダウン、薪を此処に出すからみんなに取りに来てもらいたい」
「わかったっす」
「私も言ってきます!」
薪を大量に出していると、
「おお!大量ですね」
「セイランか、欲しい分だけ持っていきなよ」
「はい!それより、スーツ出来ましたよ」
「おっ、わかった、これが終わったら行くよ」
「はい!」
「こら!薪は私達もいるのよ?ちゃんと王城の分も取ってあるの?」
「…忘れてた」
「三分の一は王城ね」
「おう」
収納し直す。ルビーには敵わないな。
「ルビー、他には何かあるか?」
「そうね、服はある程度統一したのを買ってきたから王城で働く子には渡してあるわ、まだ南の方だからいいけど冬は厳しそうね」
「…そうだな。雪も降りそうだしな」
「まぁ、みんなに冬支度する様に言っておくわ!とくに異世界のクオン、セイラン、イサム、カオリにはよく言っておかないとね」
「そうだな、ガンツ達も雪が降ったら休みだろうし家がない奴らは王城だな」
「うっす!言ってきましたから大丈夫っす」
とダウンが帰ってくる。
よし、セイランのとこにいくか。
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