19 / 108
魔法屋
しおりを挟む支払った金はまだあと4日分もある。
「なぁんか買い物も飽きたわね」
とルビー、ボン婆も、
「そうじゃの、いい酒もあまりないでのぉ」
(結局金貨1枚の酒を買っておいて言う言葉かよ)
「…まだボン婆に教えてもらってない魔法はあるか?」
「おう、そうじゃったの!儂ができんのはその教えてない魔法じゃ。重力魔法、空間魔法、時魔法、あとは古代魔法じゃ」
「…重力はなんとなくわかるけど」
「そうじゃの。魔術書が売っとるはずじゃで買いに行くか」
と言うことでみんなで買い物に出かけると魔法屋というところがあった。
「いらっしゃいって、多いわね」
「邪魔するよ」
「え。ボン婆??」
「なんじゃ。メリッサじゃないか?」
「わぁ、久しぶりねぇ!」
知り合いだったらしい。
「なになに?どうして王都へ?」
「儂達の村が潰されてのぅ、奴隷として売られそうなところを助けてもらったんじゃよ」
「え?村がなくなったって?み、みんなは?」
「儂とシン以外は」
「そ、そんな」
メリッサは泣き出してしまった。それを優しく頭を撫でるボン婆。
「し、失礼したわね。もう大丈夫。それよりあの小さかったシンがねえ」
「何年経ってると思ってるの?」
「そうよね。私も歳をとるわけだわ。あ、そう言えば魔法屋に用があってきたんでしょ?」
「おう、そうじゃったの!これはケントじゃ儂らを助けてくれた、今は仲間じゃな」
「へぇ、いい男ね」
「こりゃ!ダメじゃぞ?で、ケントは全属性持ちじゃ」
「…へ?うそよ?そんな人いるわけないわ?!」
「ケント、手を持ってみてくれんか?」
「…あぁ」
「…うそ、本当にそうなの?凄いわね貴方!」
「そうじゃろ!って、手を離さんかい!」
と言って手を離される。
「あぁ、それで魔法屋ね?」
「そうじゃ、魔法書はあるかい?魔導書でもいいんじゃがの?」
「うちは品揃えがいいのよ!魔導書は時魔法まで置いてあるわよ?」
「おお!いいじゃないか、あと覚えてないのが重力、空間、時魔法、古代魔法じゃ」
「いいの?あまりマケてやれないけど?」
「金払いもピカイチじゃぞ?」
「じゃあ、重力が金貨15、空間と時魔法が20枚よ。全部で金貨55枚もするのよ?」
「…これでいいか?」
金貨を55枚支払うと、
「…私の旦那にならない?」
「ダメに決まっとるじゃろうが!」
ペシっと手を叩かれるメリッサ。
「じょ、冗談よ!今持ってくるわね」
三冊の魔導書が置かれた。
「これは魔導書じゃで、適性があれば開くだけで覚えられるぞ」
「あぁ、一度生活魔法の魔導書は読んだことがある」
「それはよかった、じゃあ読んでみるがいいのじゃ」
まず重力から順に捲っていく。
パラパラと全て捲り終わるとパタンと閉じて消えてしまう。
三冊全部終わったので頭の中はパンク寸前なのかキシキシ痛むな。
「本当に全部覚えちゃったのね」
「わ、私に火の魔導書下さい」
とまだ火の魔法が得意ではないルビー。結局、火の魔法を覚えるために買っていた。
少し落ち着いてきた。
「大丈夫かえ?まだゆっくりしとくがいいのじゃ」
「そうよ、三冊いっぺんに、それも難しい本だからね?」
と言われて早く言って欲しかったと思うところもあるが、まぁ、痛みがなくなってきたのでなんとかなるか。
ルビーも魔導書を読んだようで多少混乱しているようだ。
「「大丈夫?」」
ネアとノアが?膝に乗ると頭をさすってくれる。
「…あぁ。大丈夫だ」
ようやく頭がスッキリしてきた。
重力で使えるのは重力弾、グラビディ、ウェイトライト、の三種類。
空間魔法は、収納、断絶、テレポートの三種類。
時魔法は、アクセル、ストップ、の二種類。
そして空間魔法と時魔法を覚えた俺だけが使える時空間魔法が、少し先の未来が見えるビジョン、空間を停止させるスペースタイムの二つの魔法。
「…凄いな」
「そりゃ凄いさね」
ボン婆も興奮している。
「はぁ、私もこの店がなかったらついて行ってるとこだよ!」
「あんたは魔法屋頑張んなよ!」
「まぁね!」
魔法屋から出るとみんなでワイワイしながら街を練り歩く。
都会なだけあっていろんなものが売っているがガラクタも紛れ込んでいる。
(これは黒鉄の剣より遥かに強いのか…)
「おぉ、兄さんお目が高い!そりゃ掘り出しモンだよ」
「…いくらだ?」
「そうだな、金貨100枚ってとこかな」
「ではよしておこう」
「そりゃないぜ!じゃ、じゃあ、金貨20枚でどうだ?」
「あまり値切ってもな…これでいいか」
「毎度!ありがとう!ありがとうございます!」
(ミスリルソードか、後で武器屋にだすか)
「あー、そんなもの買って!ボロじゃん!」
「…これでいいんだ」
「あっそ、あ、これよさそう!」
「それはガラクタだ」
「な、なんでわかるのよ?」
「鑑定があるからな」
「な、鑑定持ってたの?なら早く言ってよ!」
「じゃあその剣は?」
「…ミスリルソードだ」
「うぉ!まじで?」
とそれから見るもの全て鑑定させられる。
「はぁ、そんなに掘り出し物はないのね?」
「…まだよかったじゃないか」
「あぁ、これ?デザインが趣味じゃないけどいいものだしね」
ルビーはベルトを買った、単純にスピードが上がるダブルベルトだ。
「にへへ」
案外気に入ってるじゃないか。
いまは邪魔だからミスリルソードはとりあえず収納に入れておく。その内武器屋に出さないとな。
25
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる