61 / 66
小さき呪い
第六十話
しおりを挟む
リアムの呪いがどんどん強くなっていく一方でローズの身にも不思議なことが起きていた。
ローズに語り掛けたという謎の声。
その声はローズを死へと導いた。
これもローズにかかっている呪いのひとつなのだろうか。
それとも、、、、
あの一件から数日後、、、
専属メイドであるリリーがローズの元に戻りシエルも騎士としての執務をこなすようになってきた。
リアムは相変わらずローズに対して過保護ではあるがリリーとシエルを共につけるのならば外出も許可した。
外出ができるようになってからリアムがドレスや宝石を買うように持たせたお金を持ってありとあらゆる本屋を駆け巡り本を買い付けていた。
「奥様?ドレスやお花はいかがです?せっかく旦那様が外出を許されたのですから、、、」
「ドレスならリアムが帝都に赴く度に買ってくるではないですか。もう十分ですよ。本当は本を買って欲しいのですが、、、」
「奥様はとてもお美しい上にまだお若いのですから色んなドレスがお似合いなんですよ?」
「ドレスより知識の方が貴重ですよリリー。」
主従関係があるもののまるで友人のように会話を楽しむ二人を見てシエルは思わずクスリと笑ってしまった。
「シエルの服を買いに行きましょ?騎士とはいえ女の子です!ドレスも必要になるでしょう!」
「え?いや、奥様わたしは大丈夫ですから。」
「何を言います、いつか気になる殿方が出来たらその格好で会うわけにはいかないでしょう。」
そういうとリリーとローズはシエルの手を引っ張って呉服屋に入っていく。
しばらくシエルは二人からあれやこれやと色んなドレスを着せられたとか、、、
帰りの馬車の中、ローズは流れゆく景色を眺めながら呪いのことについて考えていた。
解くことが難しくとも緩和させることは可能なのでは無いのかと。
いつも月が明るく天に昇っている時にリアムは変身をする。
天体が関係しているのであればとローズは天文学についての書物をかき集めていた。
「私の残り時間は僅かだと言うのに、もっと共にと願ってしまった。欲張ってしまった。この心が私にはとても怖い。」
【花が散るとき全てが元の姿に戻るだろう。どんな呪いも解くことが出来る万能薬であるから。】
城に戻るとちょうどリアムが中央大階段でローズを出迎えていた。
「ローズ、おかえり。」
「ただいま戻りました。」
リアムは優しくローズを抱きしめると額にキスを落とす。
ローズはそっと瞳を閉じるとか細い声で
「大丈夫、、、きっと、、」
リアムはその言葉を聞き取れず聞き返すが「なんでもない」と首を振るローズ。
【愛してしまったから運命は変わった。愛さなければ、流れる川のように。今までと同じであっただろう。】
第六章 小さき呪い ~完~
ローズに語り掛けたという謎の声。
その声はローズを死へと導いた。
これもローズにかかっている呪いのひとつなのだろうか。
それとも、、、、
あの一件から数日後、、、
専属メイドであるリリーがローズの元に戻りシエルも騎士としての執務をこなすようになってきた。
リアムは相変わらずローズに対して過保護ではあるがリリーとシエルを共につけるのならば外出も許可した。
外出ができるようになってからリアムがドレスや宝石を買うように持たせたお金を持ってありとあらゆる本屋を駆け巡り本を買い付けていた。
「奥様?ドレスやお花はいかがです?せっかく旦那様が外出を許されたのですから、、、」
「ドレスならリアムが帝都に赴く度に買ってくるではないですか。もう十分ですよ。本当は本を買って欲しいのですが、、、」
「奥様はとてもお美しい上にまだお若いのですから色んなドレスがお似合いなんですよ?」
「ドレスより知識の方が貴重ですよリリー。」
主従関係があるもののまるで友人のように会話を楽しむ二人を見てシエルは思わずクスリと笑ってしまった。
「シエルの服を買いに行きましょ?騎士とはいえ女の子です!ドレスも必要になるでしょう!」
「え?いや、奥様わたしは大丈夫ですから。」
「何を言います、いつか気になる殿方が出来たらその格好で会うわけにはいかないでしょう。」
そういうとリリーとローズはシエルの手を引っ張って呉服屋に入っていく。
しばらくシエルは二人からあれやこれやと色んなドレスを着せられたとか、、、
帰りの馬車の中、ローズは流れゆく景色を眺めながら呪いのことについて考えていた。
解くことが難しくとも緩和させることは可能なのでは無いのかと。
いつも月が明るく天に昇っている時にリアムは変身をする。
天体が関係しているのであればとローズは天文学についての書物をかき集めていた。
「私の残り時間は僅かだと言うのに、もっと共にと願ってしまった。欲張ってしまった。この心が私にはとても怖い。」
【花が散るとき全てが元の姿に戻るだろう。どんな呪いも解くことが出来る万能薬であるから。】
城に戻るとちょうどリアムが中央大階段でローズを出迎えていた。
「ローズ、おかえり。」
「ただいま戻りました。」
リアムは優しくローズを抱きしめると額にキスを落とす。
ローズはそっと瞳を閉じるとか細い声で
「大丈夫、、、きっと、、」
リアムはその言葉を聞き取れず聞き返すが「なんでもない」と首を振るローズ。
【愛してしまったから運命は変わった。愛さなければ、流れる川のように。今までと同じであっただろう。】
第六章 小さき呪い ~完~
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【取り下げ予定】アマレッタの第二の人生
ごろごろみかん。
恋愛
『僕らは、恋をするんだ。お互いに』
彼がそう言ったから。
アマレッタは彼に恋をした。厳しい王太子妃教育にも耐え、誰もが認める妃になろうと励んだ。
だけどある日、婚約者に呼び出されて言われた言葉は、彼女の想像を裏切るものだった。
「きみは第二妃となって、エミリアを支えてやって欲しい」
その瞬間、アマレッタは思い出した。
この世界が、恋愛小説の世界であること。
そこで彼女は、悪役として処刑されてしまうこと──。
アマレッタの恋心を、彼は利用しようと言うのだ。誰からの理解も得られず、深い裏切りを受けた彼女は、国を出ることにした。
一方、彼女が去った後。国は、緩やかに破滅の道を辿ることになる。
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
もふきゅな
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
【完結】野蛮な辺境の令嬢ですので。
❄️冬は つとめて
恋愛
その日は国王主催の舞踏会で、アルテミスは兄のエスコートで会場入りをした。兄が離れたその隙に、とんでもない事が起こるとは彼女は思いもよらなかった。
それは、婚約破棄&女の戦い?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる