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望まれない結婚
第五十話
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結婚式まで一週間を切ったガロワ帝国 帝都では毎日お祭り騒ぎであった。
冷血無慈悲な公爵が穏やかで美しい姫を5年前の悲劇から救い、結婚をするのだと。
このラブロマンス溢れるカップルに帝国中が心躍らせた。
ヴェルグラ領、アグノエル領でも当然大規模な祭りが行われている。
最初にガロワ帝都、次にヴェルグラ領、アグノエル領といった順番で結婚式披露宴が行われるわけであるがガロワ帝都には既に新たな公爵夫人を人目見ようと全国から国民が集まっている。
部屋で一人、白い薔薇を見つめているとシエルが部屋を訪れる。
「奥様、公爵様の花嫁ともあろう方がそのような元気の無い表情ではなりません。」
「彼への想いが強くなっていく度に私は怖い。何かとても彼を傷付けてしまうのではないかと。そんな恐ろしいことがあるのではないかと。」
ドレスをキュッと掴む手に力が入る。
その手の上にシエルが優しく手を置くと、
「私たちがこうして兄妹として共に過ごすことができているのは奥様と旦那様のおかげでございます。そんなおふたりには幸せになっていただきたいと願い想うのが私たちの心のうちでございます。」
シエルはこのとき初めて優しく頬笑みを浮かべる。
「ノエルもレオや旦那様の元で懸命に勉学に励んでおります。ご安心ください、何があろうと私たちがお守りします。あなたがしてくれたように、、、」
ローズはシエルを抱き寄せると静かに涙を流した。
「ありがとう、、、ありがとう。」
『公爵様万歳!公爵夫人万歳!あぁ、喜ばしき結婚だ!幼くして親の温もりを失ったふたりが今日結ばれる!めでたきことかな!』
『見て!公爵様と夫人の慈愛で救われたアベル子爵のご子息よ!』
『新たな伯爵様万歳!テンプス伯爵万歳!』
結婚式当日、ヴェルグラ城から出てきた花嫁姿のローズ。
薄いピンクをグラデーションにしたオフショルダーのドレスを纏い白いモーニングコートを着たリアムの差し出された手をとる。
「綺麗だ、ローズ。」
「あ、あまり見られると、、、」
恥ずかしがるローズの頬にチュッと口付けを落としてみるとたちまち彼女の顔は林檎のように真っ赤になる。
「帝都へお前の美しさをみせつけてやれ」
馬車が帝都に入ると国民の歓声で溢れかえっていた。
馬車の窓からちらりと外を見るとローズの姿に湧き、少し手を振っただけでも騒がれる。
リアムも同様だ。
ローズは少し恥ずかしながらも嬉しく思った。
シエルとノエルは新しいテンプス伯爵としてヴェルグラ公爵家の騎士団長として馬に乗りながら馬車を護衛していた。
「テンプス伯爵お若いわァ、シエル様なんて麗しい乙女というではありませんか!」
「ノエル様はまた印象が違いますわね!お優しい笑顔ですわ!」
「まぁ!今チラッとローズ様が!お綺麗ですわ!」
「リアム様も表情が優しくていらっしゃる!」
教会に着くとリアムが先に出てローズに扉を開けてやり手を差し出す。
その手をとりながらゆっくりと降りる。
「行こう、ローズ。」
ローズは幸せそうに目を細め微笑みながら
「えぇ!」
と、2人で協会の中へと入っていった。
2人が再び協会の外へ出るとたくさんの祝福と花吹雪が彼らを包み込んだというのは少しあとの話である。
第五章 望まれない結婚 ~完~
次回 第六章 小さき呪い
いつもご愛読ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(_ _)m
冷血無慈悲な公爵が穏やかで美しい姫を5年前の悲劇から救い、結婚をするのだと。
このラブロマンス溢れるカップルに帝国中が心躍らせた。
ヴェルグラ領、アグノエル領でも当然大規模な祭りが行われている。
最初にガロワ帝都、次にヴェルグラ領、アグノエル領といった順番で結婚式披露宴が行われるわけであるがガロワ帝都には既に新たな公爵夫人を人目見ようと全国から国民が集まっている。
部屋で一人、白い薔薇を見つめているとシエルが部屋を訪れる。
「奥様、公爵様の花嫁ともあろう方がそのような元気の無い表情ではなりません。」
「彼への想いが強くなっていく度に私は怖い。何かとても彼を傷付けてしまうのではないかと。そんな恐ろしいことがあるのではないかと。」
ドレスをキュッと掴む手に力が入る。
その手の上にシエルが優しく手を置くと、
「私たちがこうして兄妹として共に過ごすことができているのは奥様と旦那様のおかげでございます。そんなおふたりには幸せになっていただきたいと願い想うのが私たちの心のうちでございます。」
シエルはこのとき初めて優しく頬笑みを浮かべる。
「ノエルもレオや旦那様の元で懸命に勉学に励んでおります。ご安心ください、何があろうと私たちがお守りします。あなたがしてくれたように、、、」
ローズはシエルを抱き寄せると静かに涙を流した。
「ありがとう、、、ありがとう。」
『公爵様万歳!公爵夫人万歳!あぁ、喜ばしき結婚だ!幼くして親の温もりを失ったふたりが今日結ばれる!めでたきことかな!』
『見て!公爵様と夫人の慈愛で救われたアベル子爵のご子息よ!』
『新たな伯爵様万歳!テンプス伯爵万歳!』
結婚式当日、ヴェルグラ城から出てきた花嫁姿のローズ。
薄いピンクをグラデーションにしたオフショルダーのドレスを纏い白いモーニングコートを着たリアムの差し出された手をとる。
「綺麗だ、ローズ。」
「あ、あまり見られると、、、」
恥ずかしがるローズの頬にチュッと口付けを落としてみるとたちまち彼女の顔は林檎のように真っ赤になる。
「帝都へお前の美しさをみせつけてやれ」
馬車が帝都に入ると国民の歓声で溢れかえっていた。
馬車の窓からちらりと外を見るとローズの姿に湧き、少し手を振っただけでも騒がれる。
リアムも同様だ。
ローズは少し恥ずかしながらも嬉しく思った。
シエルとノエルは新しいテンプス伯爵としてヴェルグラ公爵家の騎士団長として馬に乗りながら馬車を護衛していた。
「テンプス伯爵お若いわァ、シエル様なんて麗しい乙女というではありませんか!」
「ノエル様はまた印象が違いますわね!お優しい笑顔ですわ!」
「まぁ!今チラッとローズ様が!お綺麗ですわ!」
「リアム様も表情が優しくていらっしゃる!」
教会に着くとリアムが先に出てローズに扉を開けてやり手を差し出す。
その手をとりながらゆっくりと降りる。
「行こう、ローズ。」
ローズは幸せそうに目を細め微笑みながら
「えぇ!」
と、2人で協会の中へと入っていった。
2人が再び協会の外へ出るとたくさんの祝福と花吹雪が彼らを包み込んだというのは少しあとの話である。
第五章 望まれない結婚 ~完~
次回 第六章 小さき呪い
いつもご愛読ありがとうございます!これからもよろしくお願いしますm(_ _)m
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