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望まれない結婚
第四十五話
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各自テーブルに座りお茶会が始まった。
テーブルの上には様々な菓子が置かれており、茶葉の香り立つ紅茶は湯気を上品に香りと共に上へと登っていく。
シエルはローズの後ろに控え立ち、紅茶や菓子をテキパキと用意していく。
「シエル殿は執事の才能がおありのようですね!テキパキとこなしていかれますもの。」
一人の貴婦人の言葉に一礼し礼を言うシエル。
「旦那様と奥様の教育の賜物でございます。」
「将来はやはりアベル子爵邸に戻られるのかしら?」
シエルがその答えに迷っているとローズがカップを置きながら答える。
「どちらでも選べるようにしてあげたいと今は考えております。」
「まぁまぁ!さすがは未来の公爵夫人ですわ!」
感嘆のため息をこぼす一方でアデル率いる貴婦人たちは嫌味の言葉をこぼす。
「5年間も城に籠られていたのに随分と教養がおありですわね?」
「でもあの5年前の事件は本当に恐ろしかったですわね。」
「あの場にいなくて良かったと心から思うばかりでございますわ。」
するとアデルが「あら?」とローズに目だけをやりながらわざとらしい声を上げる。
「あら、でも案外平気そうではありませんか、、、悲劇の姫君なんてお呼ばれになってそんなに物が言えるんですもの。」
アデルは扇子の下で口元をにやりと歪ませながら目を細めた。
「あの事件は実は無かった、、、、とか?」
その言葉にローズは目を見開く、、、、
するとシエルがローズとアデルの席の間に立ち入りローズを隠すようにする。
「申し訳ありません、奥様はまだ体調が本調子ではないようです。先に失礼させて頂くご無礼をお許しください。」
そう言ってお辞儀をしローズを立たせようとするとアデルが勢いよく立ち上がりカップを持ってローズの元に駆け寄る。
「まぁ!お気を悪くしたなら許してくださいな!そうですわよね、体も弱いとお噂でお伺いしましたわ?アグノエル嬢、ご結婚前に倒れられたら大変だわ!ささ、こちらを飲んで落ち着いてくださいな!」
シエルは立ち上がる際にカップに何かを入れるアデルを見逃さなかった。
「皇女様!奥様は私が淹れたものしか口には出来ぬようになっておられます。」
「あら、5年前の毒殺未遂での恐怖でも蘇りますか?」
アデルはシエルを睨みつけるがシエルも負けじとカップを抑え込む。
「奥様に代わりわたしがいただきます!」
「今更あなたをどうこうする者なんていませんよアグノエル嬢?未来の公爵夫人となられる方ですもの。公爵様の仕返しが怖くてできませんわ、ね?そうでしょう?」
ローズはアデルの圧を感じながらシエルをそっと制しカップを手にする。
「皇女様のご厚意は無下にできませんわ。有難く頂戴します。」
ゆっくりとカップを口元に持っていくローズ、、、あと数ミリで紅茶が唇に触れようかという時。
召使いの言葉が空間に響き渡った。
「リアム・ヴェルグラ公爵様のおなりでございます!」
次回に続く!
46~50話まで今しばらくお待ちください!
テーブルの上には様々な菓子が置かれており、茶葉の香り立つ紅茶は湯気を上品に香りと共に上へと登っていく。
シエルはローズの後ろに控え立ち、紅茶や菓子をテキパキと用意していく。
「シエル殿は執事の才能がおありのようですね!テキパキとこなしていかれますもの。」
一人の貴婦人の言葉に一礼し礼を言うシエル。
「旦那様と奥様の教育の賜物でございます。」
「将来はやはりアベル子爵邸に戻られるのかしら?」
シエルがその答えに迷っているとローズがカップを置きながら答える。
「どちらでも選べるようにしてあげたいと今は考えております。」
「まぁまぁ!さすがは未来の公爵夫人ですわ!」
感嘆のため息をこぼす一方でアデル率いる貴婦人たちは嫌味の言葉をこぼす。
「5年間も城に籠られていたのに随分と教養がおありですわね?」
「でもあの5年前の事件は本当に恐ろしかったですわね。」
「あの場にいなくて良かったと心から思うばかりでございますわ。」
するとアデルが「あら?」とローズに目だけをやりながらわざとらしい声を上げる。
「あら、でも案外平気そうではありませんか、、、悲劇の姫君なんてお呼ばれになってそんなに物が言えるんですもの。」
アデルは扇子の下で口元をにやりと歪ませながら目を細めた。
「あの事件は実は無かった、、、、とか?」
その言葉にローズは目を見開く、、、、
するとシエルがローズとアデルの席の間に立ち入りローズを隠すようにする。
「申し訳ありません、奥様はまだ体調が本調子ではないようです。先に失礼させて頂くご無礼をお許しください。」
そう言ってお辞儀をしローズを立たせようとするとアデルが勢いよく立ち上がりカップを持ってローズの元に駆け寄る。
「まぁ!お気を悪くしたなら許してくださいな!そうですわよね、体も弱いとお噂でお伺いしましたわ?アグノエル嬢、ご結婚前に倒れられたら大変だわ!ささ、こちらを飲んで落ち着いてくださいな!」
シエルは立ち上がる際にカップに何かを入れるアデルを見逃さなかった。
「皇女様!奥様は私が淹れたものしか口には出来ぬようになっておられます。」
「あら、5年前の毒殺未遂での恐怖でも蘇りますか?」
アデルはシエルを睨みつけるがシエルも負けじとカップを抑え込む。
「奥様に代わりわたしがいただきます!」
「今更あなたをどうこうする者なんていませんよアグノエル嬢?未来の公爵夫人となられる方ですもの。公爵様の仕返しが怖くてできませんわ、ね?そうでしょう?」
ローズはアデルの圧を感じながらシエルをそっと制しカップを手にする。
「皇女様のご厚意は無下にできませんわ。有難く頂戴します。」
ゆっくりとカップを口元に持っていくローズ、、、あと数ミリで紅茶が唇に触れようかという時。
召使いの言葉が空間に響き渡った。
「リアム・ヴェルグラ公爵様のおなりでございます!」
次回に続く!
46~50話まで今しばらくお待ちください!
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