冷血公爵は呪われし美女を溺愛する

ナナスケ

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野獣

第三十四話

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この姿を見た母は悲鳴を上げて拒絶をした。

「こんなもの、私の息子などではない」

と。

人の姿をしている時の母はとても優しく、俺に愛を囁いた。

だが獣の姿になると人が変わったように軽蔑の言葉と視線を送り続け、挙句の果てには離れに塔を建ててそこに閉じ込めるようになった。
俺もそんな母から逃げるように塔に閉じこもるようになった。

変身も何ヶ月かに一度から今では一ヶ月に一度という早さになり、塔にいることが多くなった。

これが500年前に滅んだ獣人族の呪いであることは明白だ。

だが、そんなこと。誰が信じてくれると言うのだ。

もしこのことが公になっていたのなら母は悪魔を産み落とした魔女として火炙りにされていたであろう。
実際にそれを恐れていたのだ。

そして、、、この俺も。



そんなとき、あの自惚れジジィから結婚の催促がきた。

とりわけ自分の娘とでも結婚させたいのだろう。だが、こんなことで父が守ってきた国が滅びるのは本意ではないし。あんな高飛車な女も御免だ。


何をしても女は俺の容姿を見て賞賛の声を上げるが、、、もし、、、もし、獣の姿で同じようにしても果たして態度を変えないだろうか?

いや、、、、そんなはずない。

みんな、、、女はみんな、、母と同じだ。

美しいものにしか愛を示さない。

だから、、きっとお前も。

あぁ、闇だ。

闇の中に一人、、、、だが、、、この方がいい。

これがいいんだ。

だから、、、だから、、、、お前は。

「アム、、、、リ、、アム!、、、リアム様!」

「?!」

リアムが起きるとそこには息を切らしたローズが心配そうに彼の顔を覗き込んでいた。

[なんだ、、、、]

「うなされているようでしたので、、、」

ムクリと起き上がるとローズ偽を向けるようにして座る。

「あの、、、大変おこがましいのですが。」

恐る恐る話し始めるローズに背を向けたまま耳を傾けた。

「しばらく容態が安定するまでブラン城で過ごしませんか?」

[、、、、お前の城か?]

「少人数だけ連れて、なんなら私に昔から使えてきた執事だけでも。彼は料理もこなしますゆえ。」

リアムはローズの言動に戸惑っていた。

化け物を目の前にして「共に城で過ごそう」というのだ。

[、、、何故]

低く、短くそうつぶやくリアムにローズは照れくさそうに俯く。

「もうずっと塔におられて、、、あんな広い城に一人で。」

[シエルやノエルもいるだろう]

「もちろん、彼らといて楽しいです。ですが、、、私は、、、、あなたと。」



あぁ、、、希望を持ってもいいのだろうか。


共に在りたいと願ってもいいのだろうか。


お前も同じ気持ちなのだと、自惚れてもいいのだろうか。



次回に続く!







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