冷血公爵は呪われし美女を溺愛する

契約結婚

プロローグ

むかしむかし、ある王国に美しいお姫様がおりました。
心の優しいお姫様は誰に対しても笑顔でお話をされていました。
ある嵐の夜、お姫様のお城に一人の老婆が尋ねてきました。
老婆は薔薇を差し出しながらしゃがれた声で

｢どうか一晩泊めてくださらんか？｣

とお姫様に請いました。

優しいお姫様はすぐさま老婆をお城の中に入れ、暖炉の前に案内されました。

すると老婆はニヤリと口元を歪ませると

｢優しいねぇ｣

とお姫様を褒め、お姫様に一輪の薔薇をお礼だと言い渡しました。

｢その薔薇を無くしてはいけないよ？｣

お姫様がその言葉に不思議そうに首を傾けられると老婆は金色の光に包まれ、とても美しい魔女の姿のなった。

｢その薔薇の花びらが全て落ちるとき、お前の命は終わる。美しさの代償だ。｣

そういって姿を消した。

残されたお姫様の傍らにはガラスケースの中に浮く一輪の薔薇があったという。

それからというもの、お姫様は笑わなくなられた。

そして、ついにはお城の中からお出になることは無くなったという。

一体、どうしてお姫様にそのような呪いがかけられたのだろうか。

その呪いが解かれる日は来るのであろうか。