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アストルム騎士団創立編
第31話 悪役令嬢 兄になる
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「あ、、、あの、、お兄様とお呼びしてもよろしいでしょうか!」
おにい?私女やぞ。
「、、、私は女だ。」
「わ、わかってます!ただ、お姉様と及ぶするより。も、もちろんダリア様はお綺麗ですしドレスをお召になったらお美しいと思います!でも、、、」
あー、いつも屋敷では。というか公的な場でない限り私は男みたいな格好してるからな。
それに髪も短いし、姉と呼ぶよりか兄と呼んだ方がしっくり来るのだろう。
まぁ、別に構わないか。困る訳でもないしな。
ドレス着て変な男が寄ってくるよりマシか。
「いいよ、お前の好きにしな。でも、父上や母上の前では言うんじゃないぞ?」
「は、はい!」
まぁ、兄でも姉でも家族だと思ってくれるならどちらでも構わないか。
これから公爵家の娘として自覚を持って聖女候補選抜に挑んで欲しいのだから。
その日からヒナは度々私の元へ訪れるようになった。
新しく与えられた執務室にいるときや乗馬訓練、戦闘訓練の時も見学だと言って見に来ていた。
だが騒ぐことなくただそこにいるだけだった。
執務室に来る時は本を持って読みながら私の用事が終わるのを待っていた。
コンコン、
「お嬢様、ヒナお嬢様がお見えになっています。」
「通していいよ。」
「お兄様っ!」
報告に来ていたキースとリアーナが驚いた表情でゆっくりとこちらを見る。
まるで「なんて呼ばせてんだ」とでも言うかのような目で。
「そんな目で見るな。ヒナが勝手に呼んでるんだ。」
「か、勝手にではございません、、、」
少し落ち込みながら俯くヒナに溜息をつきながら言葉を訂正した。
「ヒナが呼びたいと言うから許可したんだ。お姉様という柄でもないしな。」
「な、なるほど。」
「お前、そんなことより魔法の練習はどうした?」
「先生の都合で午前に練習の時間を取りまして、これからマナー指導を受けるところです。」
私は2ヶ月後には与えられた領地に赴かなければならない。
それまでにヒナをある程度この貴族社会に慣れさせなければ。
「そうか、、、」
ヒナは私の前まで歩むと不安そうな表情で問いかける。
「このヒナが選抜で聖女候補に選ばれればお兄様のお役に立てるのですよね?」
こんなことを言ってくれるほど懐いてくれていたとは。
懐かれるほど優しくしているつもりは無いんだけどな。
「あぁ、そうだな。私のためにも公爵家のためにもなる。レッスンに励め。」
「はい!お兄様!それでは失礼致します。」
ヒナが嬉しそうに部屋を出た扉を唖然とした表情で見つめながらゆっくりとこちらに振り向く2人。
うるさい視線に私の眉毛がぴくりと動く。
「なんだ。」
「い、いえ。ただダリア様は凄いなと。」
リアーナの苦笑いになんのことを言っているのか分からずに首を傾げていると感心したかのように語り始める。
「ヒナお嬢様を屋敷でお見かけする時はいつも浮かない表情で歩いていらっしゃいます。ダリア様が使用人を変えたとはいえ奥様の厳しいお言葉はご健在のようで。」
「この屋敷を1歩でも踏み出せばヒナのことを悪く言う連中など虫のように湧いてでるだろう。いつも一緒にいれる訳では無いんだ。この程度鼻で笑って無礼だと威厳を示せるようにならないと意味が無い。」
「ダリア様は相変わらずお厳しいですね。」
キースの言葉に私は視線だけを向けてすぐに伏せる。
「私たちが子供だと舐められているウチに事を終わらせたい。私の妹ならば着いてきてもらわなければ困るんだ。」
「近いうちに王宮にご挨拶しなければなりませんからね。」
「そうだ、全てを完璧にしないとな。」
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌃
おにい?私女やぞ。
「、、、私は女だ。」
「わ、わかってます!ただ、お姉様と及ぶするより。も、もちろんダリア様はお綺麗ですしドレスをお召になったらお美しいと思います!でも、、、」
あー、いつも屋敷では。というか公的な場でない限り私は男みたいな格好してるからな。
それに髪も短いし、姉と呼ぶよりか兄と呼んだ方がしっくり来るのだろう。
まぁ、別に構わないか。困る訳でもないしな。
ドレス着て変な男が寄ってくるよりマシか。
「いいよ、お前の好きにしな。でも、父上や母上の前では言うんじゃないぞ?」
「は、はい!」
まぁ、兄でも姉でも家族だと思ってくれるならどちらでも構わないか。
これから公爵家の娘として自覚を持って聖女候補選抜に挑んで欲しいのだから。
その日からヒナは度々私の元へ訪れるようになった。
新しく与えられた執務室にいるときや乗馬訓練、戦闘訓練の時も見学だと言って見に来ていた。
だが騒ぐことなくただそこにいるだけだった。
執務室に来る時は本を持って読みながら私の用事が終わるのを待っていた。
コンコン、
「お嬢様、ヒナお嬢様がお見えになっています。」
「通していいよ。」
「お兄様っ!」
報告に来ていたキースとリアーナが驚いた表情でゆっくりとこちらを見る。
まるで「なんて呼ばせてんだ」とでも言うかのような目で。
「そんな目で見るな。ヒナが勝手に呼んでるんだ。」
「か、勝手にではございません、、、」
少し落ち込みながら俯くヒナに溜息をつきながら言葉を訂正した。
「ヒナが呼びたいと言うから許可したんだ。お姉様という柄でもないしな。」
「な、なるほど。」
「お前、そんなことより魔法の練習はどうした?」
「先生の都合で午前に練習の時間を取りまして、これからマナー指導を受けるところです。」
私は2ヶ月後には与えられた領地に赴かなければならない。
それまでにヒナをある程度この貴族社会に慣れさせなければ。
「そうか、、、」
ヒナは私の前まで歩むと不安そうな表情で問いかける。
「このヒナが選抜で聖女候補に選ばれればお兄様のお役に立てるのですよね?」
こんなことを言ってくれるほど懐いてくれていたとは。
懐かれるほど優しくしているつもりは無いんだけどな。
「あぁ、そうだな。私のためにも公爵家のためにもなる。レッスンに励め。」
「はい!お兄様!それでは失礼致します。」
ヒナが嬉しそうに部屋を出た扉を唖然とした表情で見つめながらゆっくりとこちらに振り向く2人。
うるさい視線に私の眉毛がぴくりと動く。
「なんだ。」
「い、いえ。ただダリア様は凄いなと。」
リアーナの苦笑いになんのことを言っているのか分からずに首を傾げていると感心したかのように語り始める。
「ヒナお嬢様を屋敷でお見かけする時はいつも浮かない表情で歩いていらっしゃいます。ダリア様が使用人を変えたとはいえ奥様の厳しいお言葉はご健在のようで。」
「この屋敷を1歩でも踏み出せばヒナのことを悪く言う連中など虫のように湧いてでるだろう。いつも一緒にいれる訳では無いんだ。この程度鼻で笑って無礼だと威厳を示せるようにならないと意味が無い。」
「ダリア様は相変わらずお厳しいですね。」
キースの言葉に私は視線だけを向けてすぐに伏せる。
「私たちが子供だと舐められているウチに事を終わらせたい。私の妹ならば着いてきてもらわなければ困るんだ。」
「近いうちに王宮にご挨拶しなければなりませんからね。」
「そうだ、全てを完璧にしないとな。」
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