悪役令嬢の心変わり

アストルム騎士団創立編

第30話 悪役令嬢町に出る2

ドレスもあらかた決まり支払いを済ませると領収書をみてヒナが青ざめていた。
その歳でこの金額の凄さがわかるとは。
使用人の娘として今まで育てられていたことはあるな。
最初は私も青ざめてました！
だから分からなくもない。

「だ、、、ダリア様、こんな、、」

「公爵家としてこれはお小遣い程度だよ」

うーん、、、それにしても。

「ダリア様はドレスを買われたのですか？」

「いや、、私はあまりドレスを着ない。」

「そ、そうなのですね。」

店を出ると街並みを目を輝かせて見ているヒナに「少しくらい、いいか」と思い街を歩こうと提案した。
反応はとても良かったので喜んでいたのだと思う。
ヒナがいた田舎とは比べ物にならないくらいの大きい街だから興奮しているのだろう。

「ダリア様、あれはなんのお店ですか？」

「ダリア様！あそこに大きな噴水が！」

うん、、、、まぁ。

リアーナたちも護衛が大変だな。

やはり遠慮深くなってしまっているとはいえ子供だな。

ぐぅ～～

こういう所が。

ヒナのお腹から容赦なく空腹のサイレンがけたたましく鳴り響く。
顔を真っ赤にして一生懸命お腹を抑えているがお腹は容赦なく鳴る。
レストランの料理には体調的にまだ早いかと思ったが外でこれだけはしゃげるほどには元気になったと考えていいか。

「仕方ない、レストランでも入るか。」

ロランに手配を頼むと、街でいちばん大きいホテルに向かった。

街と言っているが規模はまるで都市だ。
だが都市と言うには周りの自然が溢れていて王都となるとこの数倍はある。
だが他の貴族に比べれば我がクロウリー家の領地は国の3分の1以上を占めているので恐ろしい。

ホテルに着くと早速食事を頼むがヒナにとっては初めてのフルコース、緊張するのも無理は無い。
食べ方もマナーとして勉強はしているが実践は初めてだ。

「あ、あの、、こんなに高そうなところで良かったのですか？私はもっと普通の食事でも。」

「言ってるだろう、私たちは公爵家の令嬢だ。それに、お忍びで来ているならまだしも今日は公爵家としてこの街に出向いている。」

緊張と震えで上手く肉が切れないのか焦燥で顔が青ざめていくヒナ。
別に咎めるつもりは無いが元の家とこちらの家でいびられた結果だろう。
私は無言でヒナの皿を寄せると食べやすいように1口サイズに切り分けていく。
切り分けた肉を1つフォークで刺してヒナの口元へ差し出す。

「ほら、食べてみろ。」

「は、はい。、、、、お、おいふぃです。」

「大きさはこれで問題ないな。ほら」

大きさを確認して皿をヒナの方へ戻す。

「明日からレーナ殿とお前は私たちと食事を囲むからな。ここで存分に練習しろ。」

「は、はひ！」

食事を済ませると馬車で屋敷に戻った。

馬車から降りるとヒナは私に向かってモジモジしながら何かを言おうとしていた。

「どうした？」

「あ、あの、、、今日はありがとうございました！！」

「礼はいいよ、これは私のためでもあるから。」

義理とはいえ妹を自分の代わりに聖女候補選抜に出そうとしてるのだから。

「あ、、、あの！」

「ん？」




「お兄様と呼んでもよろしいでしょうか！」






へ？





𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌃