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〜幼少期編〜
第17話 悪役令嬢、パーティに招待される
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「第三王子の誕生日パーティ?」
父上に書斎に呼ばれ、出された紅茶の入ったカップを口元に傾けながら父上の言葉を反復する。
「そうだ、和親の印に王家の側室として嫁がれたアヤ・セーレム様のご子息。そしてこの国の第三王子であらせられるカリム・ディシュタイン殿下の7歳の誕生日パーティだ。」
うっ、説明口調で言ってくるということは(お前ここまで言えば何が言いたいかわかるな?)っていう父上からの無言の圧。
ゲームをプレイしてなくともこの2年でだいぶこの国についても調べ学んだ。
ディシュタイン王国の西側にある隣国。
セーレム皇国
緑豊かなディシュタイン王国とは違い、広大な砂漠の中にあるオアシスを主な首都として置いている皇国だ。
10年ほど前にセーレム皇国とディシュタイン王国は和平を結び悪かった仲を取り成した。
その時に和平の証としてセーレム皇国はアヤ皇女をディシュタイン王国に嫁がせたのだ。
しかし、王には既に王妃がいたため側室として置くこととなった。
当時はそのことで物議を醸したが送り返すことも出来ずにいたため側室という地位に落ち着かせた。
そして、カリム王子が生まれた。
まだ姫であったらこんなにも矢面に立つことはなかったのだろうが。
産まれてくる性別など誰も決めることが出来る訳では無い。
王室での彼の待遇は考えずともわかるだろう、、、
そんな王子の誕生日パーティに行け、ということは父上はセーレム皇国と交流がしたいとかそんな所だろうか。
それか少数の第三王子派閥の貴族の中で注視したい者がいるとか。
とはいえ、王子のパーティには何もセーレムをよく思っていない派閥も来るはずだ。
カリム王子に近づけという意味か、深く介入するべきでは無いのか。
セーレム皇国を敵に回して困るのは誰か。
早速父上から課題を出されたな。
「旦那様も急におひとりでパーティに行くよう申し付けられるなんて。お嬢様はまだ9歳だというのに。」
馬車の向かいの席に座っている黒の長髪を横に結っているメガネの燕尾服の男がメガネを整えながら眉をひそめている。
彼はロラン。私が父上に執事をつけて欲しいと頼み彼に白羽の矢を立てた。
いつも余裕そうに見えて意外と心配性なため小言のようなものを聞かされるばかりだ。
「最近お嬢様は大人っぽくなられた、、、とはいえ。」
「父上は政務で地方に赴いていらっしゃる。それに7歳の王子の誕生日パーティだというのに招待客が少ないと貴族の間で話題になっていたらしい。」
「お嬢様が招待を受けられると聞いて様々な貴族が一気に招待を受けられたようですね。」
「ま、その方が私にも都合がいい。」
「旦那様の言いつけとはいえあまり無理をなさらぬよう。」
ロランの瞳が曇るのを視線の端で確認をすると再び窓の外に視線を戻して思わず口角が上がった。
「何を言う、同時に私の目的も達成されるかもしれないのに。」
「お嬢様?」
「カリム・ディシュタイン王子、、、か。」
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌃
父上に書斎に呼ばれ、出された紅茶の入ったカップを口元に傾けながら父上の言葉を反復する。
「そうだ、和親の印に王家の側室として嫁がれたアヤ・セーレム様のご子息。そしてこの国の第三王子であらせられるカリム・ディシュタイン殿下の7歳の誕生日パーティだ。」
うっ、説明口調で言ってくるということは(お前ここまで言えば何が言いたいかわかるな?)っていう父上からの無言の圧。
ゲームをプレイしてなくともこの2年でだいぶこの国についても調べ学んだ。
ディシュタイン王国の西側にある隣国。
セーレム皇国
緑豊かなディシュタイン王国とは違い、広大な砂漠の中にあるオアシスを主な首都として置いている皇国だ。
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しかし、王には既に王妃がいたため側室として置くこととなった。
当時はそのことで物議を醸したが送り返すことも出来ずにいたため側室という地位に落ち着かせた。
そして、カリム王子が生まれた。
まだ姫であったらこんなにも矢面に立つことはなかったのだろうが。
産まれてくる性別など誰も決めることが出来る訳では無い。
王室での彼の待遇は考えずともわかるだろう、、、
そんな王子の誕生日パーティに行け、ということは父上はセーレム皇国と交流がしたいとかそんな所だろうか。
それか少数の第三王子派閥の貴族の中で注視したい者がいるとか。
とはいえ、王子のパーティには何もセーレムをよく思っていない派閥も来るはずだ。
カリム王子に近づけという意味か、深く介入するべきでは無いのか。
セーレム皇国を敵に回して困るのは誰か。
早速父上から課題を出されたな。
「旦那様も急におひとりでパーティに行くよう申し付けられるなんて。お嬢様はまだ9歳だというのに。」
馬車の向かいの席に座っている黒の長髪を横に結っているメガネの燕尾服の男がメガネを整えながら眉をひそめている。
彼はロラン。私が父上に執事をつけて欲しいと頼み彼に白羽の矢を立てた。
いつも余裕そうに見えて意外と心配性なため小言のようなものを聞かされるばかりだ。
「最近お嬢様は大人っぽくなられた、、、とはいえ。」
「父上は政務で地方に赴いていらっしゃる。それに7歳の王子の誕生日パーティだというのに招待客が少ないと貴族の間で話題になっていたらしい。」
「お嬢様が招待を受けられると聞いて様々な貴族が一気に招待を受けられたようですね。」
「ま、その方が私にも都合がいい。」
「旦那様の言いつけとはいえあまり無理をなさらぬよう。」
ロランの瞳が曇るのを視線の端で確認をすると再び窓の外に視線を戻して思わず口角が上がった。
「何を言う、同時に私の目的も達成されるかもしれないのに。」
「お嬢様?」
「カリム・ディシュタイン王子、、、か。」
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