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88 マルリカの実④ ※
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ゆっくりと目が覚めた。
頭の中に浮かんだのは、「また意識を失っちゃったんだな」って考えで、恥ずかしいような申し訳ないような気持ちで身体を起こそうとして
「え……うそ……」
まったく力が入らなかった。
「ど、どうしよう……」
思い出すのは昨晩の事。
確かにいつもよりは…………その、えっと……で、でも、別に無理やりされたわけじゃやないし、僕自身だって……そうされて、う、嬉しかったし……
昨日と同じように自室のベッドに寝かされていて、身体も綺麗になっている。今回も兄様がしてくれたのかなって思うとやっぱり恥ずかしくて申し訳なく思った。
「アル……?」
小さな声で名前を呼んでみた。
でも返事はない。それがどうしてだかものすごく悲しくて、淋しくて、僕はもう一度その名前を口にする。
「アル……ぁ、アル! どこ? アル!」
姿が見えなくて不安になるなんて小さな子供みたいだけど、どうしていいのか分からない。
「エディ⁉」
入ってきた兄様になんとか動かせた手だけを伸ばすと、そのままギュッと抱きしめてくれた。
「ごめんなさい……」
「どうして謝るの? 私の方こそ一人にしてごめんね。大丈夫だよ。不安になるのはマルリカのせいらしい」
「マルリカの?」
「一緒にいたくなるらしいね。離れたくないという気持ちになる。私としては嬉しいばかりだけど。身体の方はどうかな。どこか痛むところはある?」
兄様はそう言ってうっすらと涙が滲んでしまった目元にそっと口づけを落とした。
「…………起き上がれません」
「ああ、ごめんね。途中から加減が出来なくなっていたかもしれない。マリー達も心配していた。だけど、エディが私を探していたように、私もエディの事を誰にも会わせたくないんだ。お腹はすいた?」
「あんまり……。あの。今は何時ですか?」
「十時少し前かな。じゃあ、一緒にお風呂に入ろうか。一応クリーンはしたんだけど温まると少しお腹がすくかもしれないよ? あまり疲れが酷いようならポーションを」
「! や、ポーションは嫌……」
「エディ?」
「だって、だって、ポーションで何かあったら……」
だってもしかしたらもうお腹の中には赤ちゃんのタネみたいなものがあるのかもしれない。もしもポーションを飲む事でそれが消えてしまったら、というか、さっきクリーンをしたって言っていたけど、お腹の中のものがなくなっていたらどうしよう。昨日はベッドをクリーンしたって言っていたと思う。今日は…………身体も?
「ク、クリーンも大丈夫なのかな。どうしよう……」
「落ち着いてエディ。それもちゃんと聞いているよ。体力を回復させるような初級のポーションは問題ないんだ。それよりも体力が落ちる方が困る。これは叔父上たちにも確認している。それとクリーンもね。必要な魔力や、マルリカの力は一晩で吸収されてしまう。大丈夫だよ。それよりもエディが心配をしたり、慌てたりする方が身体にも良くない。きちんと体力を戻して、子供が無事に来てくれるのを待とう」
「はい……慌ててしまってすみませんでした」
「うん。じゃあ、どうする? とりあえず何か食べないとマリーとレオラに叱られてしまうな」
珍しく困ったような顔をする兄様に僕はようやく笑みを浮かべた。
「お風呂に入ります」
「分かった。じゃあ、ゆっくりつかって、温まってから何か食べられそうなものを食べて体力を戻すポーションを飲もうね。エディには今日もう一晩、頑張ってもらわないと」
そう言ってもう一度今度は額に落ちた口づけに、僕は顔を赤くしながら「はい」と答えた。
兄様は笑って、軽々と僕の身体を抱き上げた。
◆ ◆ ◆
いよいよ三日目の晩だ。
最後のマルリカの実が僕達の前にある。
夕食の時も二人きりだった。
兄様は本当にこの三日間、僕を誰にも会わせなかった。そして僕も兄様がいてくれたらそれで良かった。
実を食べただけでこんな風になるなんて不思議だな。
身体も熱くなるし、香油もなしで受け入れる事が出来るみたいだ。何より「欲しい」って思う自分が恥ずかしいけれど、それでいいって思うんだもの。
「今日は半分づつだ」
「はい」
いつもより食事は食べられなかったけど、でもポーションのお陰で体力は戻っているし、魔力量もちゃんとある。
兄様が慣れた手つきでマルリカの実を割って、四つの房を二つづつ食べた。
マルリカの実の魔力が身体の中にゆっくりと広がっていく。
「よろしくお願いします」
「ふふふ、こちらこそよろしくね、エディ」
僕達は笑いながらベッドの上に転がった。そうして幾度も口づけを交わした。
口づけるたびに広がっていく甘い何か。
「あ、ふ……っ……」
身体が熱くなっていく。どんどん、溶けていく。
「このまま、ゆっくり来られる?」
「……は……い……」
対面で座ったままの兄様の上に腰に添えられた手に導かれるようにして身体を落とす。
「あ、あ、あぁん!……っ……」
「……っ……もう少し、そう……」
向かい合って顔を見て、お互いの身体を抱き締めた。
ゆっくりと揺さぶられる身体。
奥に届く熱。
繰り返される口づけ。
「あぁぁ……や……でちゃう……」
言ったそばからお腹の間で熱が弾けて顔が熱くなった。
「沢山出していいよ」
「あ……アルも……」
「うん。ありがとう、愛しているよ、エディ」
「あ、あ、あん、僕も、ぼ……あ……おなか……あつぃぃ……」
座ったまま突き上げられて、身も世もなく声を上げた。
背中を反らせた拍子にそのままベッドに倒れて、噴き出すように笑った。
「アル、はなれちゃ……だめ……は、ぁ、ああ、ああぁ」
肩に担がれた足がゆらゆらと揺れている。
奥に広がる熱が嬉しくて、なぜか涙が滲んだ。
「す……き……ぁ……すき……」
「エディ、煽らないで」
「だ……ぃすき……」
「うん。私も大好きだ。エディの事が一番、誰よりも大好き」
「はい……アル」
こうして最後の日も僕は意識を飛ばした。
マルリカの実が、僕達のもとに愛おしい命を授けてくれる事を信じて…………
----------------
書き切った、気がする( ;∀;)
下品にならないように、あまり執着した感じならないように、したつもり~~~~_( _=ω=)_…バタッ
頭の中に浮かんだのは、「また意識を失っちゃったんだな」って考えで、恥ずかしいような申し訳ないような気持ちで身体を起こそうとして
「え……うそ……」
まったく力が入らなかった。
「ど、どうしよう……」
思い出すのは昨晩の事。
確かにいつもよりは…………その、えっと……で、でも、別に無理やりされたわけじゃやないし、僕自身だって……そうされて、う、嬉しかったし……
昨日と同じように自室のベッドに寝かされていて、身体も綺麗になっている。今回も兄様がしてくれたのかなって思うとやっぱり恥ずかしくて申し訳なく思った。
「アル……?」
小さな声で名前を呼んでみた。
でも返事はない。それがどうしてだかものすごく悲しくて、淋しくて、僕はもう一度その名前を口にする。
「アル……ぁ、アル! どこ? アル!」
姿が見えなくて不安になるなんて小さな子供みたいだけど、どうしていいのか分からない。
「エディ⁉」
入ってきた兄様になんとか動かせた手だけを伸ばすと、そのままギュッと抱きしめてくれた。
「ごめんなさい……」
「どうして謝るの? 私の方こそ一人にしてごめんね。大丈夫だよ。不安になるのはマルリカのせいらしい」
「マルリカの?」
「一緒にいたくなるらしいね。離れたくないという気持ちになる。私としては嬉しいばかりだけど。身体の方はどうかな。どこか痛むところはある?」
兄様はそう言ってうっすらと涙が滲んでしまった目元にそっと口づけを落とした。
「…………起き上がれません」
「ああ、ごめんね。途中から加減が出来なくなっていたかもしれない。マリー達も心配していた。だけど、エディが私を探していたように、私もエディの事を誰にも会わせたくないんだ。お腹はすいた?」
「あんまり……。あの。今は何時ですか?」
「十時少し前かな。じゃあ、一緒にお風呂に入ろうか。一応クリーンはしたんだけど温まると少しお腹がすくかもしれないよ? あまり疲れが酷いようならポーションを」
「! や、ポーションは嫌……」
「エディ?」
「だって、だって、ポーションで何かあったら……」
だってもしかしたらもうお腹の中には赤ちゃんのタネみたいなものがあるのかもしれない。もしもポーションを飲む事でそれが消えてしまったら、というか、さっきクリーンをしたって言っていたけど、お腹の中のものがなくなっていたらどうしよう。昨日はベッドをクリーンしたって言っていたと思う。今日は…………身体も?
「ク、クリーンも大丈夫なのかな。どうしよう……」
「落ち着いてエディ。それもちゃんと聞いているよ。体力を回復させるような初級のポーションは問題ないんだ。それよりも体力が落ちる方が困る。これは叔父上たちにも確認している。それとクリーンもね。必要な魔力や、マルリカの力は一晩で吸収されてしまう。大丈夫だよ。それよりもエディが心配をしたり、慌てたりする方が身体にも良くない。きちんと体力を戻して、子供が無事に来てくれるのを待とう」
「はい……慌ててしまってすみませんでした」
「うん。じゃあ、どうする? とりあえず何か食べないとマリーとレオラに叱られてしまうな」
珍しく困ったような顔をする兄様に僕はようやく笑みを浮かべた。
「お風呂に入ります」
「分かった。じゃあ、ゆっくりつかって、温まってから何か食べられそうなものを食べて体力を戻すポーションを飲もうね。エディには今日もう一晩、頑張ってもらわないと」
そう言ってもう一度今度は額に落ちた口づけに、僕は顔を赤くしながら「はい」と答えた。
兄様は笑って、軽々と僕の身体を抱き上げた。
◆ ◆ ◆
いよいよ三日目の晩だ。
最後のマルリカの実が僕達の前にある。
夕食の時も二人きりだった。
兄様は本当にこの三日間、僕を誰にも会わせなかった。そして僕も兄様がいてくれたらそれで良かった。
実を食べただけでこんな風になるなんて不思議だな。
身体も熱くなるし、香油もなしで受け入れる事が出来るみたいだ。何より「欲しい」って思う自分が恥ずかしいけれど、それでいいって思うんだもの。
「今日は半分づつだ」
「はい」
いつもより食事は食べられなかったけど、でもポーションのお陰で体力は戻っているし、魔力量もちゃんとある。
兄様が慣れた手つきでマルリカの実を割って、四つの房を二つづつ食べた。
マルリカの実の魔力が身体の中にゆっくりと広がっていく。
「よろしくお願いします」
「ふふふ、こちらこそよろしくね、エディ」
僕達は笑いながらベッドの上に転がった。そうして幾度も口づけを交わした。
口づけるたびに広がっていく甘い何か。
「あ、ふ……っ……」
身体が熱くなっていく。どんどん、溶けていく。
「このまま、ゆっくり来られる?」
「……は……い……」
対面で座ったままの兄様の上に腰に添えられた手に導かれるようにして身体を落とす。
「あ、あ、あぁん!……っ……」
「……っ……もう少し、そう……」
向かい合って顔を見て、お互いの身体を抱き締めた。
ゆっくりと揺さぶられる身体。
奥に届く熱。
繰り返される口づけ。
「あぁぁ……や……でちゃう……」
言ったそばからお腹の間で熱が弾けて顔が熱くなった。
「沢山出していいよ」
「あ……アルも……」
「うん。ありがとう、愛しているよ、エディ」
「あ、あ、あん、僕も、ぼ……あ……おなか……あつぃぃ……」
座ったまま突き上げられて、身も世もなく声を上げた。
背中を反らせた拍子にそのままベッドに倒れて、噴き出すように笑った。
「アル、はなれちゃ……だめ……は、ぁ、ああ、ああぁ」
肩に担がれた足がゆらゆらと揺れている。
奥に広がる熱が嬉しくて、なぜか涙が滲んだ。
「す……き……ぁ……すき……」
「エディ、煽らないで」
「だ……ぃすき……」
「うん。私も大好きだ。エディの事が一番、誰よりも大好き」
「はい……アル」
こうして最後の日も僕は意識を飛ばした。
マルリカの実が、僕達のもとに愛おしい命を授けてくれる事を信じて…………
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書き切った、気がする( ;∀;)
下品にならないように、あまり執着した感じならないように、したつもり~~~~_( _=ω=)_…バタッ
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