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46 仕事納めとその後と
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お仕事が最後の日に行った慰労会は昨年同様、とても好評だった。
パイ包みは王都では最近流行っているようだけど、定番のお料理になっている領もあるんだって。
だけど今回メインの一つとして作った香草とシカのお肉のパイ包みは臭みも全くなく、肉も柔らかくてとても美味しかった。公爵領の森で狩ったそうだけどお祖父様には本当に感謝だ。勿論お祖父様にもお届けしたよ。
そしてもう一つのメインである、フィンレーの精霊の森ではない東の国側の森に流れている川で獲れるサーモンも本当に美味しくて、チーズクリームともとても良く合っていた。どちらもフィンレー産だものね。ダンジョン産のブラウンのマッシュルームの事を教えてくれたのはスティーブ君。さすが色々なものを取り扱っているオックス領。スティーブ君のお陰で良いものを手に入れられた。
その他にも沢山の定番のお料理や新しいお料理が並んで、勿論ミッチェル君の大好きなデザートの新作も沢山並んだよ。
領都の役所に勤めている人たちは皆参加。そして主要な街の知事や役職の人は招待をしている。使ったのはお披露目会をしたホールのある建物だ。
去年から作り始めたワインも好評だった。良かった。
そうして皆はそれぞれに「お疲れさまでした」と「ありがとうございました」、そして「来年もよろしくお願いします」と口にして帰って行った。
◇ ◇ ◇
「皆が喜んでくれて良かった。シェフにも沢山お礼を言わなきゃ。ああ、準備をしてくれた皆にですね」
「そうだね。お疲れ様、エディ」
廊下を歩きながら僕と兄様は何だかウキウキとした気持ちのまま話をしていた。
「ありがとうございます。でもアルのお陰です。パイ包み本当に美味しかった」
「うん。色々と応用がききそうだから、きっとシェフがその内変わったパイ包みを出してくると思うよ。この前フィンレーでも試食をしただろう? きっとあちらのシェフも何か考えそうだよね」
「確かに! ふふふ、楽しみです!」
何だろう。どんなパイ包みが出てくるかな。でも毎日パイ包みが出てきたらそれはちょっと困っちゃうかもしれないな。
「アップルパイのようなデザートのようなものも母上や双子たちが喜びそうだ」
「! 確かに! 年明けにご挨拶に行く時に何か持っていきましょう」
そうだよね。今回はお食事のパイ包みだったけど、デザートのパイ包みがあってもいいよね。何にしようか、白いイチゴとか、ああ、ベリー系を色々入れてもいいかもしれないな。そんな事を考えていたら兄様がふわりと僕を抱き上げた。
「わぁぁ!」
「今日はもう考えるのはおしまい。今年の仕事は終わりだよ、エディ」
「はい……でも、母様へのお土産は仕事じゃないですよ?」
お姫様みたいに横抱きをされたままそう言うと兄様はニッコリと笑ってほっぺたにチュッて口づけてきた。
「そうだね。でもそれは明日考えよう。休みの日にゆっくりと、温室を回りながら一緒に考えよう?」
覗き込んでくる大好きな空色のブルーの瞳。兄様ってやっぱりすごい。僕が考えるよりももっと素敵な事をパッと考えられちゃうんだもの。
「はい。そうします。そうですね。温室を見ながら考えた方がいいですよね。よろしくお願いします」
「うん。じゃあ、明日ね。だから今からの時間は私にくれるかな?」
「…………はい」
何を言われたのか、勿論分かった。だって僕は兄様の奥さんだから。
「でも、お風呂、入りますから……」
「一緒に?」
「のぼせるのはダメです!」
「了解」
「あと、重いから下ろしてください、アル」
「軽いから大丈夫」
そうして抱きかかえられたまま口づけられて、そのままお風呂につれていかれて、後はただ、甘い時間になったんだ。
------------
やだ、なんか甘いのが楽しくなってきたwww
パイ包みは王都では最近流行っているようだけど、定番のお料理になっている領もあるんだって。
だけど今回メインの一つとして作った香草とシカのお肉のパイ包みは臭みも全くなく、肉も柔らかくてとても美味しかった。公爵領の森で狩ったそうだけどお祖父様には本当に感謝だ。勿論お祖父様にもお届けしたよ。
そしてもう一つのメインである、フィンレーの精霊の森ではない東の国側の森に流れている川で獲れるサーモンも本当に美味しくて、チーズクリームともとても良く合っていた。どちらもフィンレー産だものね。ダンジョン産のブラウンのマッシュルームの事を教えてくれたのはスティーブ君。さすが色々なものを取り扱っているオックス領。スティーブ君のお陰で良いものを手に入れられた。
その他にも沢山の定番のお料理や新しいお料理が並んで、勿論ミッチェル君の大好きなデザートの新作も沢山並んだよ。
領都の役所に勤めている人たちは皆参加。そして主要な街の知事や役職の人は招待をしている。使ったのはお披露目会をしたホールのある建物だ。
去年から作り始めたワインも好評だった。良かった。
そうして皆はそれぞれに「お疲れさまでした」と「ありがとうございました」、そして「来年もよろしくお願いします」と口にして帰って行った。
◇ ◇ ◇
「皆が喜んでくれて良かった。シェフにも沢山お礼を言わなきゃ。ああ、準備をしてくれた皆にですね」
「そうだね。お疲れ様、エディ」
廊下を歩きながら僕と兄様は何だかウキウキとした気持ちのまま話をしていた。
「ありがとうございます。でもアルのお陰です。パイ包み本当に美味しかった」
「うん。色々と応用がききそうだから、きっとシェフがその内変わったパイ包みを出してくると思うよ。この前フィンレーでも試食をしただろう? きっとあちらのシェフも何か考えそうだよね」
「確かに! ふふふ、楽しみです!」
何だろう。どんなパイ包みが出てくるかな。でも毎日パイ包みが出てきたらそれはちょっと困っちゃうかもしれないな。
「アップルパイのようなデザートのようなものも母上や双子たちが喜びそうだ」
「! 確かに! 年明けにご挨拶に行く時に何か持っていきましょう」
そうだよね。今回はお食事のパイ包みだったけど、デザートのパイ包みがあってもいいよね。何にしようか、白いイチゴとか、ああ、ベリー系を色々入れてもいいかもしれないな。そんな事を考えていたら兄様がふわりと僕を抱き上げた。
「わぁぁ!」
「今日はもう考えるのはおしまい。今年の仕事は終わりだよ、エディ」
「はい……でも、母様へのお土産は仕事じゃないですよ?」
お姫様みたいに横抱きをされたままそう言うと兄様はニッコリと笑ってほっぺたにチュッて口づけてきた。
「そうだね。でもそれは明日考えよう。休みの日にゆっくりと、温室を回りながら一緒に考えよう?」
覗き込んでくる大好きな空色のブルーの瞳。兄様ってやっぱりすごい。僕が考えるよりももっと素敵な事をパッと考えられちゃうんだもの。
「はい。そうします。そうですね。温室を見ながら考えた方がいいですよね。よろしくお願いします」
「うん。じゃあ、明日ね。だから今からの時間は私にくれるかな?」
「…………はい」
何を言われたのか、勿論分かった。だって僕は兄様の奥さんだから。
「でも、お風呂、入りますから……」
「一緒に?」
「のぼせるのはダメです!」
「了解」
「あと、重いから下ろしてください、アル」
「軽いから大丈夫」
そうして抱きかかえられたまま口づけられて、そのままお風呂につれていかれて、後はただ、甘い時間になったんだ。
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やだ、なんか甘いのが楽しくなってきたwww
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