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第9章 幸せになります
402.皆の色で
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書簡が来た翌日、僕と兄様は母様を訪ねた。
「少しはゆっくりしていけるの?」
「はい、学園もあとは卒業式というような感じですし、グリーンベリーも人手が増えましたので」
「そう。それなら良かったわ。体調の管理も大切な仕事ですよ。無理のないようにね。アルは?」
「私はエディの服の確認をしたら王都に戻ります」
そう答えた兄様に僕はびっくりして「ご用事があったのですね?」って聞いてしまった。だって用事があるのに服の確認だけに来るなんて、いくら転送陣があっても申し訳ない。
「私が一緒にいたかっただけだからエディは気にしないで。楽しみにしていたんだよ」
「そうよ、エディ。アルはエディの事はなんでも自分で確認をしておきたいのだから好きにさせてあげなさい。じゃあお茶は後にして洋服の試着をしましょう」
母様の言葉で僕達は、着替えのために小サロンに移動をした。
「わあ!」
部屋に入った途端僕は思わず声を上げてしまった。そこには大きめのフードとゆったりとしたドレープが印象的なブルーグレイのローブコートがあった。中のシャツは少し光沢のある淡いピンクアメジストのスタンドカラー。フリルは少なめだが上品なジャボにはアクアマリンのブローチが留められている。スラックスとブーツは黒なので、この三色が際立つ仕上がりになっていた。
「すごい!父様と母様と兄様、皆の色ですね」
「ふふふ、卒業式で呼ばれる名前はグリーンベリーですが、フィンレーの後ろ盾をしっかりと示さないとね」
「ありがとうございます! 試着してもよろしいですか?」
「勿論よ。ついでに写真も撮っておきましょう」
僕はマリーたちに手伝ってもらって着替えをした。ローブコートは膝下より少し長めくらいあるので重いかなと思ったけれど、驚くほど軽くて暖かいし、ローブのゆったりとしたドレープがとても綺麗だ。袖口も広めで、折り返した所は少しだけ色合いの異なるブルーグレイでそれもすごく素敵。これなら卒業した後も羽織って外出出来るななんて思いながら、僕はコートの滑らな手触りを楽しんでいた。
「袖の切り替えが今の流行りらしいわ。ゆったりはしているけれど、ブカブカな印象はないし、なんだか大人っぽ見えるわね!」
「ふふふ、そうですか? 壇上に上がる時にローブを踏まないように気をつけなきゃ」
「そうね。それにしても時間が経つのは早いわ。小さかったエディがもう学園を卒業するのね」
母様は思い出すようにそう言って笑った。それから写真を撮った、兄様や母様、そしてマリー達とも沢山写真を撮った。
兄様が帰る前に「どうでしたか?」って聞いたら「とても良く似合っていたけれど、理由が分かっていてもエディが他の人の色を着ているっていうのはなんだか落ち着かないね」って笑って言ったので、僕はちょっとテレッてなって、それを聞いていた母様は「アルは本当にブレないわね」って言っていた。
そうして時間は過ぎていき、卒業式の日がやってきた。
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短めですが、アップします。
「少しはゆっくりしていけるの?」
「はい、学園もあとは卒業式というような感じですし、グリーンベリーも人手が増えましたので」
「そう。それなら良かったわ。体調の管理も大切な仕事ですよ。無理のないようにね。アルは?」
「私はエディの服の確認をしたら王都に戻ります」
そう答えた兄様に僕はびっくりして「ご用事があったのですね?」って聞いてしまった。だって用事があるのに服の確認だけに来るなんて、いくら転送陣があっても申し訳ない。
「私が一緒にいたかっただけだからエディは気にしないで。楽しみにしていたんだよ」
「そうよ、エディ。アルはエディの事はなんでも自分で確認をしておきたいのだから好きにさせてあげなさい。じゃあお茶は後にして洋服の試着をしましょう」
母様の言葉で僕達は、着替えのために小サロンに移動をした。
「わあ!」
部屋に入った途端僕は思わず声を上げてしまった。そこには大きめのフードとゆったりとしたドレープが印象的なブルーグレイのローブコートがあった。中のシャツは少し光沢のある淡いピンクアメジストのスタンドカラー。フリルは少なめだが上品なジャボにはアクアマリンのブローチが留められている。スラックスとブーツは黒なので、この三色が際立つ仕上がりになっていた。
「すごい!父様と母様と兄様、皆の色ですね」
「ふふふ、卒業式で呼ばれる名前はグリーンベリーですが、フィンレーの後ろ盾をしっかりと示さないとね」
「ありがとうございます! 試着してもよろしいですか?」
「勿論よ。ついでに写真も撮っておきましょう」
僕はマリーたちに手伝ってもらって着替えをした。ローブコートは膝下より少し長めくらいあるので重いかなと思ったけれど、驚くほど軽くて暖かいし、ローブのゆったりとしたドレープがとても綺麗だ。袖口も広めで、折り返した所は少しだけ色合いの異なるブルーグレイでそれもすごく素敵。これなら卒業した後も羽織って外出出来るななんて思いながら、僕はコートの滑らな手触りを楽しんでいた。
「袖の切り替えが今の流行りらしいわ。ゆったりはしているけれど、ブカブカな印象はないし、なんだか大人っぽ見えるわね!」
「ふふふ、そうですか? 壇上に上がる時にローブを踏まないように気をつけなきゃ」
「そうね。それにしても時間が経つのは早いわ。小さかったエディがもう学園を卒業するのね」
母様は思い出すようにそう言って笑った。それから写真を撮った、兄様や母様、そしてマリー達とも沢山写真を撮った。
兄様が帰る前に「どうでしたか?」って聞いたら「とても良く似合っていたけれど、理由が分かっていてもエディが他の人の色を着ているっていうのはなんだか落ち着かないね」って笑って言ったので、僕はちょっとテレッてなって、それを聞いていた母様は「アルは本当にブレないわね」って言っていた。
そうして時間は過ぎていき、卒業式の日がやってきた。
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