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第9章 幸せになります
【電子書籍化記念 好きな食べ物】
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「ぱてぃかーさま。きょうのまかろんはちょっとあじがちがいます」
パティ母様が誘って下さったお茶の時間。綺麗に並べられたお菓子の中から赤いマカロンをとって一口齧った僕はおもわずそう言って母様を見た。
「ふふふ、分かったの? すごいわね、エディ。今日はねイチゴのマカロンじゃなくてラズベリーのマカロンなのよ。ほら少しだけいつものマカロンと色が違うでしょう?」
母様は楽しそうにそう言ってメイドの一人に声をかけた。すると少ししてメイドが器を持ってきた。
「ほら、これよ。これがラズベリー。今王都ではこの果物を使ったお菓子が流行り出しているんですって」
「らずべりー……ちいさいつぶつぶが、ぎゅってしています」
「そうね。食べてみる?」
「ここここのまま、たべられるのですか?」
僕は器の中にある赤いつぶつぶしたラズベリーをじっと見つめてしまった。
「イチゴよりも少し酸っぱいかもしれないけれど、これも美味しいのよ」
そう言って母様は一粒つまんで口に入れてしまった。
「わぁ!」
「ふふふ、ちょっとお行儀が悪いけど、内緒にしてね」
「は、はい!」
母様はそう言って楽しそうに笑った。
お口の中に消えたラズベリー。母様はとても美味しそうに食べてしまった。
「……いただきます」
「召し上がれ」
僕はそっとラズベリーを摘んで口に入れた。
「わぁ、イチゴとはちょっとちがうけど、ちょっとすっぱいけど、ふしぎなかんじです」
「ふふふ、エディにはまだちょっと早かったかしらね。じゃあこっちで口直しをして? バタークッキーにラズベリーのソースがかかっているの」
「らずべりーそーす」
母様の言葉を繰り返しながら僕は真ん中が赤くなっていてお花みたいなクッキーを口に入れた。
「! おいしいです! あまくて、ほろほろしててすごくおいしい!」
「それなら良かった。エディの好きな食べ物が増えていくのは嬉しいわ」
「はい! あかいまかろんもすきだけど、このらずべりーそーすのくっきーもすきです! ぱてぃかーさま、ありがとうございます」
残りのクッキーを口に入れて僕はぺこりとお辞儀をした。すると2階からお勉強が終わったアル兄様が下りてきた。
「嬉しそうなエディの声が聞こえたよ? いい事があったのかな」
兄様はニコニコしながら僕たちの方にやってきた。
「アルにーさま、ぱてぃかーさまから、らずべりーそーすのくっきーをいただきました。アルにーさまもめしあがってください!」
「へぇ、ラズベリーソースのクッキーか。ああ、お花みたいで可愛いね」
「!!」
兄様は僕がさっき思った事を口にして隣に座ると、サッと手を拭いてクッキーを一つ口にした。
「ふふふ、甘くて美味しいね」
「はい! すきなものが、ふえました!」
僕がそういうと母様と兄様は嬉しそうに笑った。
「エディの好きなものが増えていくのは嬉しいわ。沢山増やしていきましょうね。まだ沢山あるからいっぱい食べなさい。好きな物だけでなくお肉も増やしていかないとね」
母様にそう言われて僕はちょっとお腹を押さえた。お茶を飲んでマカロンを食べて、クッキーも食べたからこれ以上食べちゃうと夜のご飯が食べられなくなっちゃう。
「は、あ、えっと……」
「エディ、僕と半分こにしない? それくらいなら食べられるかな?」
「は、はい!」
すごいな。兄様は何でも分かっちゃうみたい。
兄様はラズベリーソースのクッキーを上手に半分にしてくれた。
「はい。エディ」
「ありがとうございます! ふふふ、おいしいです」
口の中に広がるラズベリーの甘さ。
そんな僕の顔を見ながら母様が「さあ、次は何を好きになってもらおうかしら」って楽しそうに呟いた。
-----------
沢山の応援ありがとうございます。
本日から電子書籍での販売も開始されました。
記念に母様の「エディの好きな食べ物を増やしていきましょう計画」(笑)
ほのぼのしていただけたら幸せです。
こちらの話はしばらくしたら1章の方に移動させます。
パティ母様が誘って下さったお茶の時間。綺麗に並べられたお菓子の中から赤いマカロンをとって一口齧った僕はおもわずそう言って母様を見た。
「ふふふ、分かったの? すごいわね、エディ。今日はねイチゴのマカロンじゃなくてラズベリーのマカロンなのよ。ほら少しだけいつものマカロンと色が違うでしょう?」
母様は楽しそうにそう言ってメイドの一人に声をかけた。すると少ししてメイドが器を持ってきた。
「ほら、これよ。これがラズベリー。今王都ではこの果物を使ったお菓子が流行り出しているんですって」
「らずべりー……ちいさいつぶつぶが、ぎゅってしています」
「そうね。食べてみる?」
「ここここのまま、たべられるのですか?」
僕は器の中にある赤いつぶつぶしたラズベリーをじっと見つめてしまった。
「イチゴよりも少し酸っぱいかもしれないけれど、これも美味しいのよ」
そう言って母様は一粒つまんで口に入れてしまった。
「わぁ!」
「ふふふ、ちょっとお行儀が悪いけど、内緒にしてね」
「は、はい!」
母様はそう言って楽しそうに笑った。
お口の中に消えたラズベリー。母様はとても美味しそうに食べてしまった。
「……いただきます」
「召し上がれ」
僕はそっとラズベリーを摘んで口に入れた。
「わぁ、イチゴとはちょっとちがうけど、ちょっとすっぱいけど、ふしぎなかんじです」
「ふふふ、エディにはまだちょっと早かったかしらね。じゃあこっちで口直しをして? バタークッキーにラズベリーのソースがかかっているの」
「らずべりーそーす」
母様の言葉を繰り返しながら僕は真ん中が赤くなっていてお花みたいなクッキーを口に入れた。
「! おいしいです! あまくて、ほろほろしててすごくおいしい!」
「それなら良かった。エディの好きな食べ物が増えていくのは嬉しいわ」
「はい! あかいまかろんもすきだけど、このらずべりーそーすのくっきーもすきです! ぱてぃかーさま、ありがとうございます」
残りのクッキーを口に入れて僕はぺこりとお辞儀をした。すると2階からお勉強が終わったアル兄様が下りてきた。
「嬉しそうなエディの声が聞こえたよ? いい事があったのかな」
兄様はニコニコしながら僕たちの方にやってきた。
「アルにーさま、ぱてぃかーさまから、らずべりーそーすのくっきーをいただきました。アルにーさまもめしあがってください!」
「へぇ、ラズベリーソースのクッキーか。ああ、お花みたいで可愛いね」
「!!」
兄様は僕がさっき思った事を口にして隣に座ると、サッと手を拭いてクッキーを一つ口にした。
「ふふふ、甘くて美味しいね」
「はい! すきなものが、ふえました!」
僕がそういうと母様と兄様は嬉しそうに笑った。
「エディの好きなものが増えていくのは嬉しいわ。沢山増やしていきましょうね。まだ沢山あるからいっぱい食べなさい。好きな物だけでなくお肉も増やしていかないとね」
母様にそう言われて僕はちょっとお腹を押さえた。お茶を飲んでマカロンを食べて、クッキーも食べたからこれ以上食べちゃうと夜のご飯が食べられなくなっちゃう。
「は、あ、えっと……」
「エディ、僕と半分こにしない? それくらいなら食べられるかな?」
「は、はい!」
すごいな。兄様は何でも分かっちゃうみたい。
兄様はラズベリーソースのクッキーを上手に半分にしてくれた。
「はい。エディ」
「ありがとうございます! ふふふ、おいしいです」
口の中に広がるラズベリーの甘さ。
そんな僕の顔を見ながら母様が「さあ、次は何を好きになってもらおうかしら」って楽しそうに呟いた。
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沢山の応援ありがとうございます。
本日から電子書籍での販売も開始されました。
記念に母様の「エディの好きな食べ物を増やしていきましょう計画」(笑)
ほのぼのしていただけたら幸せです。
こちらの話はしばらくしたら1章の方に移動させます。
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