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第9章 幸せになります
359. 学園の様子
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叙爵式の三日前、僕は久しぶりに学園に行った。
何だか今年は休む事が多くなってしまった。でもそろそろ前期の試験の事もあるからちゃんと通学しないといけないよね。
何となくジロジロと見られているような感じがしたので、久しぶりにルーカスに教室まで付いてきてもらった。
「おはようエディ」
教室から出てきてくれたのはトムとミッチェルだった。今日は学園に行くと書簡を送っていたので、待っていてくれたみたい。僕はルーカスに「ありがとう」と伝えて二人と一緒に教室の中に入った。
「おはようエディ。何だか色々大変そうだね」
「うん。でも大丈夫。自分で決めた事だから」
「ふふふ、エディはやっぱり強いな」
トーマス君がそう言って、僕達は二人顔を見合わせて笑った。
「でもトムの所も大変じゃない? かなり領地が広がるでしょう?」
「ああ、うん。そうだね。でも元々が管理領だったからね。それほど大変ではないみたいだよ。決める事は多いけど僕は何かあった時のお手伝いくらいかな」
そんな事を話しているとスティーブ君がすかさず遮音の魔道具を置いた。さすが。
「まぁ、一応ね。知らせは出ているけれど」
「そうだよね。スティーブも領地の拝領があるでしょう?」
「うん。だけどオックスの隣の領だから、実質はお祖父様たちが代行という形になるかな」
「そうなの?」
「うん。学生のうちにやれる事をやりたいと思って。下地は作ってくれるみたいだし。それにうちは元々は領地なしだったから父の方が張り切っているよ」
その言葉に僕たちは小さく笑った。
「あれ? 今日はルシルは来ないの? 書簡を出したら『行きたい』って返ってきたから来るかと思った。もしかしてずっと休み?」
「ああ、どうやらニールデン様に止められているみたいだよ」
ユージーン君が教えてくれた。
そうしているうちに講師の先生が来て、僕達は席についた。
やっぱりかなり進んでいるけれど、何とかなりそう。講義を聞きながら僕はあの日のルシルの顔を思い出して、うまくいっているといいなと思った。
「久しぶりだね、エディ」
「こんにちは、エディ」
昼休みはいつものように空き教室に皆で集まった。
レナード君とエリック君はもう来ていて、最後にクラウス君がやってきた。
「まずは改めて、レオン、子爵位と領地の拝領おめでとう。そしてスティーブ、男爵位と領地の拝領おめでとう」
「ありがとう。先に言われてしまったね。エディも伯爵位と領地の拝領おめでとうございます」
「ありがとうございます。他の皆も爵位を授かったり、領地が広がったり、領地替えになったり、おめでとうございます」
僕がそう言うと皆は笑顔でお辞儀をした。
「式典の準備で忙しいと思うけど、来てくれてありがとう。どうしても式の前に皆に会いたくて。準備とかはどう?」
「まぁ一応は終わっている感じかな」
クラウス君がそう言うとミッチェル君がクスクスと笑い出した。
「何だよ、ミッチェル」
「ふふふ、叙爵式が楽しみだよね。クラウスの貴族服って想像すると何となく笑える」
「うるさい。俺だって好き好んで正式な貴族服なんて来たくないんだよ。まったく」
「叙爵なんだから仕方ないよ。褒賞を受けるだけでも一応は貴族服だよ。王室の正式な式典だからね」
エリック君が苦笑しながらそう言うので僕は「え?」と言ってしまった。
「どうしたの? エディ」
「褒賞は騎士服だって……」
「それはお城に務めているからじゃない? アルフレッド様でしょう?」
「うん。この前、服を合わせに行ったら僕はヒラヒラの貴族服だったけど、兄様はすごくカッコいいマントと騎士服だったんだ」
「へぇ、そうなのか。俺も騎士服が良かったなぁ。でもマルコシアスの魔石が褒賞で戴けるらしいからそれは楽しみなんだ」
クラウス君がニコニコしながらそう言うと、ミッチェル君が「見せて!」とすかさず言っていた。さすがミッチェル君。魔物の事になると目の色が変わるね。
「魔石と言えばワイバーンの魔石を戴ける事になったよ」
「ええ! エリックすごい」
「見せてあげるよ。ミッチェル」
「ありがとう! いいなぁ。僕も褒賞は魔石が良かったなぁ。でも父上が何かもらって来てやるって言うからさ」
「ミッチェル、父様がワイバーンの魔石と素材を、兄様がフレイム・グレート・グリズリーの魔石を戴くみたいだからフィンレーにも見においでね」
「! ありがとう、エディ」
それからしばらくは服の事や褒章の事、それに領地の事なんかを話して、そろそろお昼休みも終わる頃に教室のドアが叩かれた。そして……
「遅くなってごめんね。やっぱりどうしてもみんなに会いたくて」
そう言ったのは、ルシルだった。
-----------------
お待たせした割に短くてごめんなさい!!
とりあえずこの続きは書いて明日更新しますが、大掃除をしましょうと家人に言われたので土日は大掃除します。
何だか今年は休む事が多くなってしまった。でもそろそろ前期の試験の事もあるからちゃんと通学しないといけないよね。
何となくジロジロと見られているような感じがしたので、久しぶりにルーカスに教室まで付いてきてもらった。
「おはようエディ」
教室から出てきてくれたのはトムとミッチェルだった。今日は学園に行くと書簡を送っていたので、待っていてくれたみたい。僕はルーカスに「ありがとう」と伝えて二人と一緒に教室の中に入った。
「おはようエディ。何だか色々大変そうだね」
「うん。でも大丈夫。自分で決めた事だから」
「ふふふ、エディはやっぱり強いな」
トーマス君がそう言って、僕達は二人顔を見合わせて笑った。
「でもトムの所も大変じゃない? かなり領地が広がるでしょう?」
「ああ、うん。そうだね。でも元々が管理領だったからね。それほど大変ではないみたいだよ。決める事は多いけど僕は何かあった時のお手伝いくらいかな」
そんな事を話しているとスティーブ君がすかさず遮音の魔道具を置いた。さすが。
「まぁ、一応ね。知らせは出ているけれど」
「そうだよね。スティーブも領地の拝領があるでしょう?」
「うん。だけどオックスの隣の領だから、実質はお祖父様たちが代行という形になるかな」
「そうなの?」
「うん。学生のうちにやれる事をやりたいと思って。下地は作ってくれるみたいだし。それにうちは元々は領地なしだったから父の方が張り切っているよ」
その言葉に僕たちは小さく笑った。
「あれ? 今日はルシルは来ないの? 書簡を出したら『行きたい』って返ってきたから来るかと思った。もしかしてずっと休み?」
「ああ、どうやらニールデン様に止められているみたいだよ」
ユージーン君が教えてくれた。
そうしているうちに講師の先生が来て、僕達は席についた。
やっぱりかなり進んでいるけれど、何とかなりそう。講義を聞きながら僕はあの日のルシルの顔を思い出して、うまくいっているといいなと思った。
「久しぶりだね、エディ」
「こんにちは、エディ」
昼休みはいつものように空き教室に皆で集まった。
レナード君とエリック君はもう来ていて、最後にクラウス君がやってきた。
「まずは改めて、レオン、子爵位と領地の拝領おめでとう。そしてスティーブ、男爵位と領地の拝領おめでとう」
「ありがとう。先に言われてしまったね。エディも伯爵位と領地の拝領おめでとうございます」
「ありがとうございます。他の皆も爵位を授かったり、領地が広がったり、領地替えになったり、おめでとうございます」
僕がそう言うと皆は笑顔でお辞儀をした。
「式典の準備で忙しいと思うけど、来てくれてありがとう。どうしても式の前に皆に会いたくて。準備とかはどう?」
「まぁ一応は終わっている感じかな」
クラウス君がそう言うとミッチェル君がクスクスと笑い出した。
「何だよ、ミッチェル」
「ふふふ、叙爵式が楽しみだよね。クラウスの貴族服って想像すると何となく笑える」
「うるさい。俺だって好き好んで正式な貴族服なんて来たくないんだよ。まったく」
「叙爵なんだから仕方ないよ。褒賞を受けるだけでも一応は貴族服だよ。王室の正式な式典だからね」
エリック君が苦笑しながらそう言うので僕は「え?」と言ってしまった。
「どうしたの? エディ」
「褒賞は騎士服だって……」
「それはお城に務めているからじゃない? アルフレッド様でしょう?」
「うん。この前、服を合わせに行ったら僕はヒラヒラの貴族服だったけど、兄様はすごくカッコいいマントと騎士服だったんだ」
「へぇ、そうなのか。俺も騎士服が良かったなぁ。でもマルコシアスの魔石が褒賞で戴けるらしいからそれは楽しみなんだ」
クラウス君がニコニコしながらそう言うと、ミッチェル君が「見せて!」とすかさず言っていた。さすがミッチェル君。魔物の事になると目の色が変わるね。
「魔石と言えばワイバーンの魔石を戴ける事になったよ」
「ええ! エリックすごい」
「見せてあげるよ。ミッチェル」
「ありがとう! いいなぁ。僕も褒賞は魔石が良かったなぁ。でも父上が何かもらって来てやるって言うからさ」
「ミッチェル、父様がワイバーンの魔石と素材を、兄様がフレイム・グレート・グリズリーの魔石を戴くみたいだからフィンレーにも見においでね」
「! ありがとう、エディ」
それからしばらくは服の事や褒章の事、それに領地の事なんかを話して、そろそろお昼休みも終わる頃に教室のドアが叩かれた。そして……
「遅くなってごめんね。やっぱりどうしてもみんなに会いたくて」
そう言ったのは、ルシルだった。
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お待たせした割に短くてごめんなさい!!
とりあえずこの続きは書いて明日更新しますが、大掃除をしましょうと家人に言われたので土日は大掃除します。
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