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第9章 幸せになります
347. シェルバーネの公爵家
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何だかあれよあれよって言う間に時間がどんどん過ぎていく。
西の国、五の月からシェルバーネとの正式な国交が開始されるので、その前に使節団の人達は帰る事になっている。持ち寄った事柄をすり合わせて、二つの国にとってより良い形になるように考えて考えて、そうして調印をして、その後も何が足りないのかをまた考えて。
新しい事が始まるのって本当に大変な事なんだなって思ったよ。
そしていよいよ、ダリウス叔父様もシェルバーネに戻る事になった。
そう聞いてお別れの挨拶をする為にフィンレーに来たら…………
「初めまして。シェルバーネのエルグランド公爵家当主、ラヒーム・アマディ・エルグランドです。ダリウスより色々話を聞いて、国に帰る前に一度お会いしたかった。スタンピードの事シェルバーネにも伝わっています。貴方の事、素晴らしいと思います。その力は称賛されると同時に、守られるべきものです。フィンレー侯爵からもお話を伺いました。これからもよろしくお願いします。何か困った事がありましたら、遠慮なく声をかけて下さい」
流暢な王国の言葉でそう言われて、僕は驚きながらも慌ててお辞儀をした。
「丁寧なご挨拶、ありがとうございました。ルフェリット王国、フィンレー侯爵家次男の、エドワード・フィンレーです。ダリウス叔父様には色々なお話を聞かせていただきました。禍の事が判ったのも叔父様のお陰です。どうごこれからもよろしくお願い致します」
僕の挨拶にエルグランド公爵はニコニコと笑って頷いた。
「実はもう一人皆様に紹介したい人がいます。こちらに来る予定ではなかったのですが、来てしまいました。せっかくなので紹介をさせて下さい」
そういうと大柄の公爵様の後ろからスラリとした長身の男の人がやって来て、ゆっくりと頭を下げた。
「ご挨拶させていただきます。本来であればもっと早くにきちんとした挨拶をしなければならなかったのですが、何分国が開かれる事になりましたのがこれからの事ですのでご容赦くださいませ。エルグランド公爵家の嫡男、シャマル・アマディ・エルグランド。書類上ではダリウスの夫になります」
「……はぇ……」
思わず変な声が出てしまった僕を兄様がそっと引き寄せた。
「失礼いたしました。ご挨拶を頂きありがとうございます。フィンレー侯爵家嫡男のアルフレッド・グランデス・フィンレーです。私もダリウス叔父上には色々とお話して頂きまして、感謝をしております」
「私の伴侶がお役に立てたなら何よりです。私たちも皆様方のお話をお聞きして、色々と参考になりました。ありがとうございます」
え? ちょっと待って? え? 伴侶? 書類上の夫?
「おっと……」
「エドワード! 失礼いたしました」
父様が慌てて頭を下げて、兄様も苦笑をしながら僕を一歩後ろへ下げるようにして父様と同じように頭を下げた。
「ああ、いえ、驚かれるのは無理のない事です。シェルバーネはルフェリットよりも更に女性の数が少なく、同性婚は貴族の嫡男としても普通の事なのですよ」
そう言ってシャマル様は綺麗な笑みを浮かべた。
ルフェリットにはあまりない小麦色の肌とブラウンとオリーブを混ぜたような色合いの長い髪。瞳の色は兄様の空の色の青とは違う、濃いめの青い瞳。なんだっけ前にスティーブ君がくれた色の見本帳にあった、ああ、そうだ。ブルームーンそんな色の名前だった。
「失礼いたしました。シャマル様」
「いいえ。大丈夫ですよ。エドワード様もそろそろ正式にご婚約だとか。また改めてお祝いを届けさせていただきます」
「ありがとうございます」
僕たちのやりとりをダリウス叔父様は壁の方で苦笑に近い笑みを浮かべて聞いていた。
叔父様だけがいらっしゃると思ったのに、公爵様や、伴侶の方がいらっしゃるなんて始めに教えてくれれば良かったのにとつい思ってしまったよ。それにしても、そうなんだ。シェルバーネも同性婚が可能なんだね。というか普通なんだ。
「こちらは、親類となったご挨拶代わりという事で、お受け取りいただければ幸いです」
シャマル様がそう言うと、控えていた人がササッと近づいて来て、シャマル様に何かを渡した。
シャマル様は無言でそれを受け取って、兄様へ渡した。
「魔法が使えるルフェリットには不要なものかとは思いますが、以前星を映す魔道具を手に入れられたり、お二方で魔道具を作られた事もあったとか。こちらはダリウスが使っている書簡を送る魔道具を改良しているものです。どうぞお試しください」
ニッコリと笑ったシャマル様に、僕と兄様はありがとうございましたとお礼を言った。
きっとあの小さい叔父様が現れる書簡の魔道具だよね。あれ改良したってどうなったんだろう。楽しみ!
そう考えてついニコニコ笑顔になってしまった僕に、シャマル様は楽しそうな笑みを浮かべた。
「エドワード様は、本当に可愛らしいですね。私は兄弟がいないので可愛らしい弟がいるアルフレッド様が羨ましい。これからは叔父のダリウスと同じように、他国に義理の兄がいると思っていただければ嬉しいです。いつかシェルバーネにも遊びにいらして下さいね」
「はい。ありがとうございます」
僕がそう答えると先ほどはブルームーンの瞳が柔らかく笑った。
そうしてシェルバーネの使節団は自国へと帰っていった。
交易が公に始まる五の月はもうすぐだった。
-----------
ふふふ、ここにきて新キャラですね(;^ω^)
えへへ。癖のありそうな、書類上の夫です。
西の国、五の月からシェルバーネとの正式な国交が開始されるので、その前に使節団の人達は帰る事になっている。持ち寄った事柄をすり合わせて、二つの国にとってより良い形になるように考えて考えて、そうして調印をして、その後も何が足りないのかをまた考えて。
新しい事が始まるのって本当に大変な事なんだなって思ったよ。
そしていよいよ、ダリウス叔父様もシェルバーネに戻る事になった。
そう聞いてお別れの挨拶をする為にフィンレーに来たら…………
「初めまして。シェルバーネのエルグランド公爵家当主、ラヒーム・アマディ・エルグランドです。ダリウスより色々話を聞いて、国に帰る前に一度お会いしたかった。スタンピードの事シェルバーネにも伝わっています。貴方の事、素晴らしいと思います。その力は称賛されると同時に、守られるべきものです。フィンレー侯爵からもお話を伺いました。これからもよろしくお願いします。何か困った事がありましたら、遠慮なく声をかけて下さい」
流暢な王国の言葉でそう言われて、僕は驚きながらも慌ててお辞儀をした。
「丁寧なご挨拶、ありがとうございました。ルフェリット王国、フィンレー侯爵家次男の、エドワード・フィンレーです。ダリウス叔父様には色々なお話を聞かせていただきました。禍の事が判ったのも叔父様のお陰です。どうごこれからもよろしくお願い致します」
僕の挨拶にエルグランド公爵はニコニコと笑って頷いた。
「実はもう一人皆様に紹介したい人がいます。こちらに来る予定ではなかったのですが、来てしまいました。せっかくなので紹介をさせて下さい」
そういうと大柄の公爵様の後ろからスラリとした長身の男の人がやって来て、ゆっくりと頭を下げた。
「ご挨拶させていただきます。本来であればもっと早くにきちんとした挨拶をしなければならなかったのですが、何分国が開かれる事になりましたのがこれからの事ですのでご容赦くださいませ。エルグランド公爵家の嫡男、シャマル・アマディ・エルグランド。書類上ではダリウスの夫になります」
「……はぇ……」
思わず変な声が出てしまった僕を兄様がそっと引き寄せた。
「失礼いたしました。ご挨拶を頂きありがとうございます。フィンレー侯爵家嫡男のアルフレッド・グランデス・フィンレーです。私もダリウス叔父上には色々とお話して頂きまして、感謝をしております」
「私の伴侶がお役に立てたなら何よりです。私たちも皆様方のお話をお聞きして、色々と参考になりました。ありがとうございます」
え? ちょっと待って? え? 伴侶? 書類上の夫?
「おっと……」
「エドワード! 失礼いたしました」
父様が慌てて頭を下げて、兄様も苦笑をしながら僕を一歩後ろへ下げるようにして父様と同じように頭を下げた。
「ああ、いえ、驚かれるのは無理のない事です。シェルバーネはルフェリットよりも更に女性の数が少なく、同性婚は貴族の嫡男としても普通の事なのですよ」
そう言ってシャマル様は綺麗な笑みを浮かべた。
ルフェリットにはあまりない小麦色の肌とブラウンとオリーブを混ぜたような色合いの長い髪。瞳の色は兄様の空の色の青とは違う、濃いめの青い瞳。なんだっけ前にスティーブ君がくれた色の見本帳にあった、ああ、そうだ。ブルームーンそんな色の名前だった。
「失礼いたしました。シャマル様」
「いいえ。大丈夫ですよ。エドワード様もそろそろ正式にご婚約だとか。また改めてお祝いを届けさせていただきます」
「ありがとうございます」
僕たちのやりとりをダリウス叔父様は壁の方で苦笑に近い笑みを浮かべて聞いていた。
叔父様だけがいらっしゃると思ったのに、公爵様や、伴侶の方がいらっしゃるなんて始めに教えてくれれば良かったのにとつい思ってしまったよ。それにしても、そうなんだ。シェルバーネも同性婚が可能なんだね。というか普通なんだ。
「こちらは、親類となったご挨拶代わりという事で、お受け取りいただければ幸いです」
シャマル様がそう言うと、控えていた人がササッと近づいて来て、シャマル様に何かを渡した。
シャマル様は無言でそれを受け取って、兄様へ渡した。
「魔法が使えるルフェリットには不要なものかとは思いますが、以前星を映す魔道具を手に入れられたり、お二方で魔道具を作られた事もあったとか。こちらはダリウスが使っている書簡を送る魔道具を改良しているものです。どうぞお試しください」
ニッコリと笑ったシャマル様に、僕と兄様はありがとうございましたとお礼を言った。
きっとあの小さい叔父様が現れる書簡の魔道具だよね。あれ改良したってどうなったんだろう。楽しみ!
そう考えてついニコニコ笑顔になってしまった僕に、シャマル様は楽しそうな笑みを浮かべた。
「エドワード様は、本当に可愛らしいですね。私は兄弟がいないので可愛らしい弟がいるアルフレッド様が羨ましい。これからは叔父のダリウスと同じように、他国に義理の兄がいると思っていただければ嬉しいです。いつかシェルバーネにも遊びにいらして下さいね」
「はい。ありがとうございます」
僕がそう答えると先ほどはブルームーンの瞳が柔らかく笑った。
そうしてシェルバーネの使節団は自国へと帰っていった。
交易が公に始まる五の月はもうすぐだった。
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ふふふ、ここにきて新キャラですね(;^ω^)
えへへ。癖のありそうな、書類上の夫です。
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