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第8章 収束への道のり
289. 新たな祈りの場
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サワサワと八つの樹の美しい青みがかった葉が風に揺れていた。
「封印の強化、終了いたしました。カルロス様からお預かりいたしました眠りの樹とクスリを使いまして、第二の『首』<死>を眠らせ封印の強化を致しました。今回土魔法で作っていただきました新たな部屋の壁にも封印の陣を組み込み二重の封印となっております。後はここを元ハーヴィンと同じように祈りの場として封じ込めの力を引き継いでいきたいと存じます」
そう言って頭を下げた神官たちにデイヴィット達もまた「ありがとうございました」と頭を下げた。
それを見つめながらアルフレッドはそっと魔導書簡をフィンレーに向けて送った。
こちらに来た時とは打って変わって辺りはどこか清々しい空気が満ちていた。
チャッドはすでにケネスが伴い、王都の取り調べの間に移動をさせていた。今頃はニールデン公爵が調べを始めているだろう。
「さて、ではまた頼むとしようか」
カルロスがそう言うとアシュトンや土魔法を得意とする魔導士達と、前回「造形」と「芸術」のスキルを持っていたが騎士は嬉々として遺跡のあった地をあっという間にならし、その中央にある八本の樹が守るそこには、樹を傷つける事が不可能なように、その成長も見込んだ八角形のガラスの塔が作り出させれた。そしてさらにその外側に神殿のような白い建物があれよあれよと作られて、見ている者達を圧倒させる。
「今回は守りの樹の数が多いので、中央を祈りの塔のようにして、外観を整えました。これでしたら村の者や訪れた者達が禍が起こらぬように、花を供えて祈る事が出来るでしょう」
ガラス越しに見える、空に真っ直ぐに伸びていく八つの樹と青みがかった美しい葉。
きっと旧ハーヴィンのそことはまた違った祈りの場となるだろう。否、そうなるように受け継いでいかなければならないのだ。
「うむ。外観も良い。円形でどこからでも祈る事が出来るのも良い」
「お褒め頂きまして光栄です!」
他の土魔法の者達が作り出したものを最終的に整えた青年は嬉しそうに破顔した。
「私たちは聖神殿の方に今回の封印および、祈りの神殿の事を報告いたします」
神官たちはそう言って頭を下げた。
「では、この周囲の村のまとめ役に大まかな説明とこれからの祈りの場として告知に関しては私の方で手はずを整えよう。父にもそう願い出る」
シルヴァンが新しく出来た祈りの場を振り返って言った。
「王宮への報告もご一緒頂けると助かります」
「分かっている。それは私一人でも良いだろう」
暗に側近たちについてはこの場で解散をさせるというようなシルヴァンにアルフレッドが苦笑した。
「報告が終わるまでは後ろに控えさせて頂きます」
「……そうか。ではとりあえず、王城へ報告に向かおう。捕らえた呪術師の事も気になるしな」
「はい」
戦闘部屋を手慣れた様子でマジックボックスの中に収める者。封じていた地下への道から転送の魔法陣を引き上げる者。それぞれの領へと戻る騎士達。
カルロスもまたフィンレーの騎士達と一緒に領へと戻った。
「ここに気軽に祈りに来られるように、管理領の中も少し整備をしなければならないね」
「ああ、『首』の事が落ち着けばまた拝領などもあるだろう。重要な場所になるので、そこは十分配慮をしていただかないとならないな」
デイヴィットとマクスウェードは出来上がった塔を見てそう言った。
「まぁ、その前にもう一つの『首』をどうにかしないといけませんがね」
釘を刺すように言ったのは勿論ハワードだ。
「…………結局、行方不明者は見つかりませんでしたね」
祈りの塔を見つめながらロイスがポツリと呟いた。
「見つけよう。必ず」
マーティンが静かにそう言った。
「ああ、見つけるよ。必ず」
目を瞑って、息を一つ吸って、吐いて、ロイスは静かにそう口にした。
「妖精の祝福を受けている者にも協力をしてもらっている。どこかに無事で居てくれる、信じよう」
アルフレッドがそう言うと隣でジェイムズも頷いた。
「ありがとう。信じているよ。私ももう一度親友に会えるとね。さて、帰りましょう。今日の報告書をまとめますよ。ルシル、行きますよ」
「はい」
出来上がったばかりのその八つの樹の祈りの塔に祈りを捧げていたルシルにロイスが声をかけた。
「一番最初の参拝者ですね」
「いえ、カルロス様や神官様方がすでに祈られておりました」
「そうですか。では私ももう『首』が悪だくみをしないようにしっかりと祈ってまいりましょう」
ロイスはそう言ってその塔に向かって深く深く頭を下げた。それを見てシルヴァンも、アルフレッドたちも、そしてもう一度ルシルも頭を下げた。
傾き始めた日が眩しい光でガラスの塔を照らす。
「さあ、帰ろう」
こうして旧レイモンド領の守塚は新たな祈りの場となった。
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「封印の強化、終了いたしました。カルロス様からお預かりいたしました眠りの樹とクスリを使いまして、第二の『首』<死>を眠らせ封印の強化を致しました。今回土魔法で作っていただきました新たな部屋の壁にも封印の陣を組み込み二重の封印となっております。後はここを元ハーヴィンと同じように祈りの場として封じ込めの力を引き継いでいきたいと存じます」
そう言って頭を下げた神官たちにデイヴィット達もまた「ありがとうございました」と頭を下げた。
それを見つめながらアルフレッドはそっと魔導書簡をフィンレーに向けて送った。
こちらに来た時とは打って変わって辺りはどこか清々しい空気が満ちていた。
チャッドはすでにケネスが伴い、王都の取り調べの間に移動をさせていた。今頃はニールデン公爵が調べを始めているだろう。
「さて、ではまた頼むとしようか」
カルロスがそう言うとアシュトンや土魔法を得意とする魔導士達と、前回「造形」と「芸術」のスキルを持っていたが騎士は嬉々として遺跡のあった地をあっという間にならし、その中央にある八本の樹が守るそこには、樹を傷つける事が不可能なように、その成長も見込んだ八角形のガラスの塔が作り出させれた。そしてさらにその外側に神殿のような白い建物があれよあれよと作られて、見ている者達を圧倒させる。
「今回は守りの樹の数が多いので、中央を祈りの塔のようにして、外観を整えました。これでしたら村の者や訪れた者達が禍が起こらぬように、花を供えて祈る事が出来るでしょう」
ガラス越しに見える、空に真っ直ぐに伸びていく八つの樹と青みがかった美しい葉。
きっと旧ハーヴィンのそことはまた違った祈りの場となるだろう。否、そうなるように受け継いでいかなければならないのだ。
「うむ。外観も良い。円形でどこからでも祈る事が出来るのも良い」
「お褒め頂きまして光栄です!」
他の土魔法の者達が作り出したものを最終的に整えた青年は嬉しそうに破顔した。
「私たちは聖神殿の方に今回の封印および、祈りの神殿の事を報告いたします」
神官たちはそう言って頭を下げた。
「では、この周囲の村のまとめ役に大まかな説明とこれからの祈りの場として告知に関しては私の方で手はずを整えよう。父にもそう願い出る」
シルヴァンが新しく出来た祈りの場を振り返って言った。
「王宮への報告もご一緒頂けると助かります」
「分かっている。それは私一人でも良いだろう」
暗に側近たちについてはこの場で解散をさせるというようなシルヴァンにアルフレッドが苦笑した。
「報告が終わるまでは後ろに控えさせて頂きます」
「……そうか。ではとりあえず、王城へ報告に向かおう。捕らえた呪術師の事も気になるしな」
「はい」
戦闘部屋を手慣れた様子でマジックボックスの中に収める者。封じていた地下への道から転送の魔法陣を引き上げる者。それぞれの領へと戻る騎士達。
カルロスもまたフィンレーの騎士達と一緒に領へと戻った。
「ここに気軽に祈りに来られるように、管理領の中も少し整備をしなければならないね」
「ああ、『首』の事が落ち着けばまた拝領などもあるだろう。重要な場所になるので、そこは十分配慮をしていただかないとならないな」
デイヴィットとマクスウェードは出来上がった塔を見てそう言った。
「まぁ、その前にもう一つの『首』をどうにかしないといけませんがね」
釘を刺すように言ったのは勿論ハワードだ。
「…………結局、行方不明者は見つかりませんでしたね」
祈りの塔を見つめながらロイスがポツリと呟いた。
「見つけよう。必ず」
マーティンが静かにそう言った。
「ああ、見つけるよ。必ず」
目を瞑って、息を一つ吸って、吐いて、ロイスは静かにそう口にした。
「妖精の祝福を受けている者にも協力をしてもらっている。どこかに無事で居てくれる、信じよう」
アルフレッドがそう言うと隣でジェイムズも頷いた。
「ありがとう。信じているよ。私ももう一度親友に会えるとね。さて、帰りましょう。今日の報告書をまとめますよ。ルシル、行きますよ」
「はい」
出来上がったばかりのその八つの樹の祈りの塔に祈りを捧げていたルシルにロイスが声をかけた。
「一番最初の参拝者ですね」
「いえ、カルロス様や神官様方がすでに祈られておりました」
「そうですか。では私ももう『首』が悪だくみをしないようにしっかりと祈ってまいりましょう」
ロイスはそう言ってその塔に向かって深く深く頭を下げた。それを見てシルヴァンも、アルフレッドたちも、そしてもう一度ルシルも頭を下げた。
傾き始めた日が眩しい光でガラスの塔を照らす。
「さあ、帰ろう」
こうして旧レイモンド領の守塚は新たな祈りの場となった。
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