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第7章 厄災
【エピソード】- スキンシップ
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「えでぃー、き、おおきくなった!」
温室の手入れをしていると聞き覚えのある声がした。
「ティオ?」
振り向くと先日名前を教えてくれた緑の髪の金色の妖精がニコニコとしながら浮いていた。
「こんにちは、ティオ。ティオからもらった枝、大きくなったでしょう? 外に植え替えをしてもいいか相談をしているんだよ」
そうなんだ、兄様たちに聞いたんだけど、ハーヴィンで大きくなった木は、この木よりももっともっと大きな木になったんだって。あんなに小さな枝だったのに。だからこの木も出来れば外に植え替えてあげたいなって思うんだ。
「きれい、はっぱ。ねむる、まもる」
「そうなんだね。この木は眠りの木でもあるし、みんなを守ってくれる木でもあるんだね。大事な枝をくれてありがとう」
そう言うとティオは嬉しそうにクルクル回った。
「今日はティオ一人だけなの? 蜂蜜は食べていく?」
「たーべーるー、みんな、いるー」
「ああ、何だかこちらが騒がしいなと思ったら、みんなこっちに移動していたんですね? さっきまで向こうでリンゴをねだっていたんですよ」
ハリーが果物の温室からこちらへやってきた。
「リンゴかぁ、コンポートにしても美味しいよね」
「たーべーるーりんごー」
「あははは、りんごのコンポートはちょっと時間がかかるから今度作っておいてあげるね。今日は蜂蜜とミルクジャムにして?」
持ち歩くようにした折り畳みのテーブルの上にミルクピッチャーと小さなお皿を並べて、アカシアの蜂蜜とミルクジャムを用意する。
「さすがエディ兄様。全部持ち歩くようにしたんですね?」
「うん。たまにしか会えないからさ。色々お世話になっているしね。ハリー、今日は何人くらい来ているの?」
「ああ、結構いますね。光にしか見えない小さい子から、はっきりと姿が見えるのは10人くらいかな」
「そう。じゃあ、お替わりはあるから喧嘩しないで食べてね。どうぞ」
声をかけたと同時にコロコロと転がり始めたピッチャーと小皿。
「ティオ、どうぞ」
ティオと同じ色のグリーンの小皿にミルクジャムを入れて差し出すと、ティオは嬉しそうにそれを食べ始めた。
「おーいーしー、えでぃ」
「良かったね。ティオ達のお陰で<呪い>を封じる事が出来たよ。ありがとう」
そんな事をしていると温室の中にアル兄様が入ってきた。
「エディ、ここにいるの?」
「あ、アル兄様、今ちょうど妖精さんにお礼をしていた所です」
「妖精?」
兄様はそう言って木のある温室に入ってきた。
「わぁ、これはすごいね。私には何も見えないけれど、喜んでもらえたなら良かったね」
兄様はそう言ってテーブルの上でコロコロと転がるミルクピッチャーや小皿を楽しそうに眺めた。
「エディたちはすごいなぁ」
「凄いのはハリーですよ。僕が見えるのは一人だけです」
「うん。でもすごい。ハリーは今どれくらい見えるの?」
「はっきり姿が見えるのは12人くらいです」
「それはすごい。ハリー、私からも皆にお礼を伝えて」
「はい、アル兄様」
ハリーは嬉しそうに「アル兄様からも皆に色々ありがとうって。エディ兄様の兄様だよ」って声を出していた。
「あ、アル兄様の方に一人行きましたよ」
ハリーがそう言った。
「え? ふふふ、見えないけれど、ハリーの事もエディの事もこれからもよろしくね」
兄様はそう言って声をかけた。
「あ、何だか嬉しそうです! ふふふ、アル兄様のほっぺにチュッてしていましたよ」
「え!」
僕と兄様は一緒に声を上げていた。
「ほっぺに……兄様の……」
「ほら、エディ兄様もされてますよ」
「ええ!」
「ティオもする~~~えでぃ~♪」
-*-*-*-*-
「……妖精は、スキンシップ好きな子が多いみたいだね」
タウンハウスに戻って紅茶を飲みながら兄様が苦笑してそう言った。
「そうみたいですね。知りませんでした。でも……」
「でも?」
「…………見えないけど、キスしたり、されたりするのってなんだかちょっと、いやかなぁ……。可愛いんですけどね。子供と同じに考えればいいんですけどね。あ、でも子供でも、うううう」
言っているうちに頭を抱えてしまった僕に兄様はクスリと笑った。
「そうだねぇ。私もお世話になっていても見知らぬ子がエディのほっぺにキスをしていたら嫌だなぁ」
「!!!」
瞬間、僕は顔を真っ赤にした。
きっと兄様は僕が何を考えちゃったのか分かったんだろうな。
でもさ、だってさ、嫌だなって思っちゃったんだもん。
「ふふふ、エディもそう思ってくれたなら嬉しいな」
そう言ってにっこり笑ってほっぺたにチュッてしてきた兄様に僕は赤い顔をもっと赤くして、少しぬるくなった紅茶を一気に飲んで、むせて、兄様を慌てさせた。
-----------------
反省会ばかりが続いていたので最後はほんのり甘く。
では8章でまたお会いしましょう♪
温室の手入れをしていると聞き覚えのある声がした。
「ティオ?」
振り向くと先日名前を教えてくれた緑の髪の金色の妖精がニコニコとしながら浮いていた。
「こんにちは、ティオ。ティオからもらった枝、大きくなったでしょう? 外に植え替えをしてもいいか相談をしているんだよ」
そうなんだ、兄様たちに聞いたんだけど、ハーヴィンで大きくなった木は、この木よりももっともっと大きな木になったんだって。あんなに小さな枝だったのに。だからこの木も出来れば外に植え替えてあげたいなって思うんだ。
「きれい、はっぱ。ねむる、まもる」
「そうなんだね。この木は眠りの木でもあるし、みんなを守ってくれる木でもあるんだね。大事な枝をくれてありがとう」
そう言うとティオは嬉しそうにクルクル回った。
「今日はティオ一人だけなの? 蜂蜜は食べていく?」
「たーべーるー、みんな、いるー」
「ああ、何だかこちらが騒がしいなと思ったら、みんなこっちに移動していたんですね? さっきまで向こうでリンゴをねだっていたんですよ」
ハリーが果物の温室からこちらへやってきた。
「リンゴかぁ、コンポートにしても美味しいよね」
「たーべーるーりんごー」
「あははは、りんごのコンポートはちょっと時間がかかるから今度作っておいてあげるね。今日は蜂蜜とミルクジャムにして?」
持ち歩くようにした折り畳みのテーブルの上にミルクピッチャーと小さなお皿を並べて、アカシアの蜂蜜とミルクジャムを用意する。
「さすがエディ兄様。全部持ち歩くようにしたんですね?」
「うん。たまにしか会えないからさ。色々お世話になっているしね。ハリー、今日は何人くらい来ているの?」
「ああ、結構いますね。光にしか見えない小さい子から、はっきりと姿が見えるのは10人くらいかな」
「そう。じゃあ、お替わりはあるから喧嘩しないで食べてね。どうぞ」
声をかけたと同時にコロコロと転がり始めたピッチャーと小皿。
「ティオ、どうぞ」
ティオと同じ色のグリーンの小皿にミルクジャムを入れて差し出すと、ティオは嬉しそうにそれを食べ始めた。
「おーいーしー、えでぃ」
「良かったね。ティオ達のお陰で<呪い>を封じる事が出来たよ。ありがとう」
そんな事をしていると温室の中にアル兄様が入ってきた。
「エディ、ここにいるの?」
「あ、アル兄様、今ちょうど妖精さんにお礼をしていた所です」
「妖精?」
兄様はそう言って木のある温室に入ってきた。
「わぁ、これはすごいね。私には何も見えないけれど、喜んでもらえたなら良かったね」
兄様はそう言ってテーブルの上でコロコロと転がるミルクピッチャーや小皿を楽しそうに眺めた。
「エディたちはすごいなぁ」
「凄いのはハリーですよ。僕が見えるのは一人だけです」
「うん。でもすごい。ハリーは今どれくらい見えるの?」
「はっきり姿が見えるのは12人くらいです」
「それはすごい。ハリー、私からも皆にお礼を伝えて」
「はい、アル兄様」
ハリーは嬉しそうに「アル兄様からも皆に色々ありがとうって。エディ兄様の兄様だよ」って声を出していた。
「あ、アル兄様の方に一人行きましたよ」
ハリーがそう言った。
「え? ふふふ、見えないけれど、ハリーの事もエディの事もこれからもよろしくね」
兄様はそう言って声をかけた。
「あ、何だか嬉しそうです! ふふふ、アル兄様のほっぺにチュッてしていましたよ」
「え!」
僕と兄様は一緒に声を上げていた。
「ほっぺに……兄様の……」
「ほら、エディ兄様もされてますよ」
「ええ!」
「ティオもする~~~えでぃ~♪」
-*-*-*-*-
「……妖精は、スキンシップ好きな子が多いみたいだね」
タウンハウスに戻って紅茶を飲みながら兄様が苦笑してそう言った。
「そうみたいですね。知りませんでした。でも……」
「でも?」
「…………見えないけど、キスしたり、されたりするのってなんだかちょっと、いやかなぁ……。可愛いんですけどね。子供と同じに考えればいいんですけどね。あ、でも子供でも、うううう」
言っているうちに頭を抱えてしまった僕に兄様はクスリと笑った。
「そうだねぇ。私もお世話になっていても見知らぬ子がエディのほっぺにキスをしていたら嫌だなぁ」
「!!!」
瞬間、僕は顔を真っ赤にした。
きっと兄様は僕が何を考えちゃったのか分かったんだろうな。
でもさ、だってさ、嫌だなって思っちゃったんだもん。
「ふふふ、エディもそう思ってくれたなら嬉しいな」
そう言ってにっこり笑ってほっぺたにチュッてしてきた兄様に僕は赤い顔をもっと赤くして、少しぬるくなった紅茶を一気に飲んで、むせて、兄様を慌てさせた。
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反省会ばかりが続いていたので最後はほんのり甘く。
では8章でまたお会いしましょう♪
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