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第7章 厄災
【お気に入り数8000御礼】- 恋バナ
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「なんかさ……」
「うん?」
「違うよね?」
「何が?」
「ジーンとトム」
ミッチェルの短いその言葉にスティーブは「ああ」と小さく笑った。
まさかバカンス明けにまとまってくるとは思っていなかったが、まぁ、気にしているような視線を向けられるのも面倒だなと思っていたし、自分はそんなつもりもなかったからそう言っただけだったが、それで事態が変化をしたならば良かったのではないかと思う。もっとも主にトーマスの様子を見ていれば、まだお互いに告白した程度だとは思うが。
「そうだね。休暇中に遊びに行って思っていた以上に意気投合したんじゃないかい?」
「ええ~……そう言う感じじゃないんだよね。なんかさ~」
「いいじゃないか。ギスギスしているよりも仲がいい方が」
そう言うとミッチェルは少し意外そうな顔をした。
「それでいいの? スティーブは」
「え?」
今度は私が驚く番だ。一体彼は何を言っているんだろう。
「どういう事だい?」
「ああ……ええっと、その」
いつもはハキハキと自分の意見を言う彼にしては珍しく言い淀んでいる。よほど話しにくい事なのかそう思って私は遮音の魔道具をコトリと置いた。
残念ながら私は今の所、遮音の魔法を使えない。転移はものに出来たがどうも遮音はうまくいかずに小さな魔道具を持ち歩いている。目の前の人との会話を聞こえなくするという範囲の小さなものだ。
「ああ、ありがとう。えっとさ、ズバッと言っていい?」
うん。これがいつものミッチェルだな。
「どうぞ?」
「スティーブが好きなのはトムじゃなかったの?」
「…………は?」
「僕とルシルはそう思っていたんだよ」
「ルシル? え? 何? どういう事だい?」
そう、なぜそこにルシルが出てくるのか分からない。
顔にそう書いてあったかのようにミッチェルはうんうんと頷きながら再び口を開いた。
「きっかけはさ、僕とクラウス」
「は?」
「ルシルがね、僕はツンデレで、クラウスの事が本当は好きなんじゃないかって思っていたけど何か違ったみたいって話して来てさ。そういう事を考える子だったんだなって、ちょっと意外で打ち解けたんだ」
何というか、さすがミッチェルと言うべきなのだろうか。それで打ち解けるというのもすごい。
「ほら、ぼく初等部の頃、ルシルのお目付け役みたいな事を頼まれたって言っていたじゃない? まぁ実際はあの子の方がよほど処世術があったから僕が何か手助けをするような事もなかったし、大体僕に手助けをさせるっていうのが無謀だったっていうかさ」
ああ、確かに。それは私も少しだけそう思ったんだ。後ろから手を回して動くようなタイプではないなと。
「でね、クラウスの事は何て言うかでかい弟みたいな感じでさ。そういう感情はないって言ったらそうなんだ~って。それで何となくそれからそんな話もするようになってさ。エディの所に一緒に行っているしさ、結構スティーブは面倒見もいいし、トムもなついている感じだったからてっきりそうかと思っていたんだよ。そうしたらさ、なんかすごく普通にその場所にジーンがいるじゃない? ルシルはまだ見ていないから話も出来ないしさ。それなら直接聞いちゃおうかなって」
そう。これがまさしくミッチェルだよ。
考えたら行動。それが困った感じにならずに周りにスルンと受け入れられているのが、きっと彼の特質なんだろうな。
「ジーンとトムの事がどうなっているのかは私には分からないよ。元々ジーンはトムに対してはエドワード様とはまた違った感じで自然に庇っているような所もあったしね。何ていうかな。可愛い枠的な感じで」
「可愛い枠!? 」
ミッチェルはそう言って小さく吹き出した。
「すごい! 合っている。うん、そうだね。まさしくそう。スティーブってさ、こうなんていうか物凄い硬い感じかと思うと、綺麗なものを集めるのが好きだったり、すごく柔軟で面白いよね。そうかぁ、可愛い枠かぁ。合ってる。確かに」
そう言って小さく笑い続けるミッチェルを見て、ちなみに君は残念美人枠だけどねと胸の中で付け加えた。
「そっかー。まぁジーンはエリックとは違った感じの華やかさがあるけれど、なんて言うか懐にいれたものを大事にする感じがするよね。ああ、うん。楽しい。ルシル早く来ないかな。観察して話がしたいなー。ねぇねぇ、じゃあぶっちゃけついでに聞いちゃうけど、スティーブは好きな子はいないの? エディ?」
「エドワード様は私にとっては父の雇い主のご子息ですよ。とても可愛らしくて、素直で誰からも愛される方だと思いますが、私にはあの方と争ってまで手に入れたいと思えないですね」
「…………なるほど。レオンと一緒か。っていうかレオンの方がもう少しこじらせている感じかな」
ほんとによく見ているな。
「さて、どうでしょうね。というわけで、私は無関係ですのでミッチェルとルシルの観察対象からは外して下さい」
「そっかー。分かった。ありがとね。ふーん、ジーンとトムか。うん。なんかいい感じだね」
「あんまり騒いでは駄目ですよ。トムはエドワード様ほどではないですが、恥ずかしがり屋ですからね」
「はーい。うんうんスティーブはお兄ちゃん枠だったんだね」
「は?」
ニッコリと笑ってミッチェルは帰りの支度を始める。それに倣って私も魔道具をしまって帰り支度を始めた。
それにしてもまさかこのメンバーでこんな話が出来るようになるなんて。
「スティーブ、馬車廻まで一緒に行こうー」
そんな事を思いながら、私は残念美人枠のミッチェルと一緒に並んで歩き始めた。
-------------
あ、スティーブ×ミッチェルではないです。
ただの友人です。
念のため
「うん?」
「違うよね?」
「何が?」
「ジーンとトム」
ミッチェルの短いその言葉にスティーブは「ああ」と小さく笑った。
まさかバカンス明けにまとまってくるとは思っていなかったが、まぁ、気にしているような視線を向けられるのも面倒だなと思っていたし、自分はそんなつもりもなかったからそう言っただけだったが、それで事態が変化をしたならば良かったのではないかと思う。もっとも主にトーマスの様子を見ていれば、まだお互いに告白した程度だとは思うが。
「そうだね。休暇中に遊びに行って思っていた以上に意気投合したんじゃないかい?」
「ええ~……そう言う感じじゃないんだよね。なんかさ~」
「いいじゃないか。ギスギスしているよりも仲がいい方が」
そう言うとミッチェルは少し意外そうな顔をした。
「それでいいの? スティーブは」
「え?」
今度は私が驚く番だ。一体彼は何を言っているんだろう。
「どういう事だい?」
「ああ……ええっと、その」
いつもはハキハキと自分の意見を言う彼にしては珍しく言い淀んでいる。よほど話しにくい事なのかそう思って私は遮音の魔道具をコトリと置いた。
残念ながら私は今の所、遮音の魔法を使えない。転移はものに出来たがどうも遮音はうまくいかずに小さな魔道具を持ち歩いている。目の前の人との会話を聞こえなくするという範囲の小さなものだ。
「ああ、ありがとう。えっとさ、ズバッと言っていい?」
うん。これがいつものミッチェルだな。
「どうぞ?」
「スティーブが好きなのはトムじゃなかったの?」
「…………は?」
「僕とルシルはそう思っていたんだよ」
「ルシル? え? 何? どういう事だい?」
そう、なぜそこにルシルが出てくるのか分からない。
顔にそう書いてあったかのようにミッチェルはうんうんと頷きながら再び口を開いた。
「きっかけはさ、僕とクラウス」
「は?」
「ルシルがね、僕はツンデレで、クラウスの事が本当は好きなんじゃないかって思っていたけど何か違ったみたいって話して来てさ。そういう事を考える子だったんだなって、ちょっと意外で打ち解けたんだ」
何というか、さすがミッチェルと言うべきなのだろうか。それで打ち解けるというのもすごい。
「ほら、ぼく初等部の頃、ルシルのお目付け役みたいな事を頼まれたって言っていたじゃない? まぁ実際はあの子の方がよほど処世術があったから僕が何か手助けをするような事もなかったし、大体僕に手助けをさせるっていうのが無謀だったっていうかさ」
ああ、確かに。それは私も少しだけそう思ったんだ。後ろから手を回して動くようなタイプではないなと。
「でね、クラウスの事は何て言うかでかい弟みたいな感じでさ。そういう感情はないって言ったらそうなんだ~って。それで何となくそれからそんな話もするようになってさ。エディの所に一緒に行っているしさ、結構スティーブは面倒見もいいし、トムもなついている感じだったからてっきりそうかと思っていたんだよ。そうしたらさ、なんかすごく普通にその場所にジーンがいるじゃない? ルシルはまだ見ていないから話も出来ないしさ。それなら直接聞いちゃおうかなって」
そう。これがまさしくミッチェルだよ。
考えたら行動。それが困った感じにならずに周りにスルンと受け入れられているのが、きっと彼の特質なんだろうな。
「ジーンとトムの事がどうなっているのかは私には分からないよ。元々ジーンはトムに対してはエドワード様とはまた違った感じで自然に庇っているような所もあったしね。何ていうかな。可愛い枠的な感じで」
「可愛い枠!? 」
ミッチェルはそう言って小さく吹き出した。
「すごい! 合っている。うん、そうだね。まさしくそう。スティーブってさ、こうなんていうか物凄い硬い感じかと思うと、綺麗なものを集めるのが好きだったり、すごく柔軟で面白いよね。そうかぁ、可愛い枠かぁ。合ってる。確かに」
そう言って小さく笑い続けるミッチェルを見て、ちなみに君は残念美人枠だけどねと胸の中で付け加えた。
「そっかー。まぁジーンはエリックとは違った感じの華やかさがあるけれど、なんて言うか懐にいれたものを大事にする感じがするよね。ああ、うん。楽しい。ルシル早く来ないかな。観察して話がしたいなー。ねぇねぇ、じゃあぶっちゃけついでに聞いちゃうけど、スティーブは好きな子はいないの? エディ?」
「エドワード様は私にとっては父の雇い主のご子息ですよ。とても可愛らしくて、素直で誰からも愛される方だと思いますが、私にはあの方と争ってまで手に入れたいと思えないですね」
「…………なるほど。レオンと一緒か。っていうかレオンの方がもう少しこじらせている感じかな」
ほんとによく見ているな。
「さて、どうでしょうね。というわけで、私は無関係ですのでミッチェルとルシルの観察対象からは外して下さい」
「そっかー。分かった。ありがとね。ふーん、ジーンとトムか。うん。なんかいい感じだね」
「あんまり騒いでは駄目ですよ。トムはエドワード様ほどではないですが、恥ずかしがり屋ですからね」
「はーい。うんうんスティーブはお兄ちゃん枠だったんだね」
「は?」
ニッコリと笑ってミッチェルは帰りの支度を始める。それに倣って私も魔道具をしまって帰り支度を始めた。
それにしてもまさかこのメンバーでこんな話が出来るようになるなんて。
「スティーブ、馬車廻まで一緒に行こうー」
そんな事を思いながら、私は残念美人枠のミッチェルと一緒に並んで歩き始めた。
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あ、スティーブ×ミッチェルではないです。
ただの友人です。
念のため
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