上 下
95 / 118
三章 進め進め

94 またまたコパン先生

しおりを挟む
 プリンを食べた後は、収納の中で少なくなってきているものを【補充】したり、レベル上げのために金鉱石や銀鉱石から金や銀を【抽出】したりして、セーフティーゾーンで過ごした。

 本当は少し前に進みたい気持ちもあったんだけど、今日はそのままこの世界の国の話をする事にした。
 コパンもまだ全ての事は分かっていないみたいなんだけど、俺も知りたいって言ったし、女神から伝えられている情報をお話ししましょうってなったんだ。

 というわけでコパン先生再びだ。

「では大まかにですが、この世界の事と国の事をお話します。以前にもお話しましたが、世界の中心にあるのが女神様が管理をされている、今私たちがいる『深層の森』です。この森を中心にして、現在大小合わせて三十四の国があります」
「三十四…………」

 思っていたよりも多かった。俺がそう思ったのが伝わったようで、コパンはコクリと頷いてから再び話し出した。

「とりあえずは森の周囲にある十二国をお伝えします。アルデレース、エヴァント、グラハルド、ホーレスティン、ラグア二ーチェ、レストン、ウィルクラン。この七つが大きな国で、フェンデル、セヴォーロが中くらいの国、ガーディア、ポルセラ、リオスが小さめの国です。森からその他の国に行くためには、十二国のいずれかを通らなくてはいけません」

 あぁ~、コパンが少しづつ話していきますって言った意味が分かった気がする。
 でも聞きたいって言ったんだからちゃんと聞かなくては。 

「アラタ様、一度に覚えられなくても大丈夫です。世界の地図もありませんし、聞いただけでは分かりづらい事もありますから」

 うぅぅ、さすが俺の『お助け妖精』。ちゃんと分かっているね。

「では続けます。今私達が進んでいる方角は南側です。なので、北側に位置しているホーレスティン、エヴァント、ポルセラに行くのはちょっと難しいです」
「なるほど……」
「それからはっきりとは分かりませんが、東と西に行く道がそろそろ出てくるかもしれません。東に行くとセヴォーロ、グラハルド、ウィルクランに、西に行くとガーディア、フェンデル、アルデレースに続く道があると思います。またこのまま南に進むとラグアニーチェ、レストン、リオスへの道があるでしょう」
「………………」

 俺は途中からデイパックの中にあったノートを出して国名を方角に分けて書いた。

 北側にエヴァント、ポルセラ、ホーレスティン。
 南側にラグアニーチェ、レストン、リオス。
 東側にセヴォーロ、グラハルド、ウィルクラン。
 西側にガーディア、フェンデル、アルデレース。

 なんとなくの位置関係だけど分からないよりはマシだよね。
 でも気になる情報があった。道って……このどこまでも真っ直ぐな道でなく、分岐点があるのか。
 しかも道が出てくる?

「コパン。この先は道が分かれてくるのか?」
「多分。行き先によって道が出来ると仰っていたので」
「……なるほど」
「もちろん北に行く事も出来ますが、その場合は森を戻るのではなく、どこかの国の主都からポートに乗った方が早いです」
「え?」

 うん? どういう事だ?

「えっと、ですね……」

 少しだけ瞳をグルグルさせながらコパンの話は続く。
 それで分かった事は、この世界は地球のような丸い惑星ではないようで、この森と国々の周りは海、海の先は『果て』となっているらしい。
 もっともコパンに言わせると、『果て』は誰も見た事がないらしい。
 ようするに『果て』に続く海に浮かぶ大きな大陸。それが女神の世界のようだ。
 昔、アニメとか漫画で見た空中大陸とか浮遊大陸とか、そんな感じなのかもしれない。

 とにかく大きな大陸の中には、『深層の森』を中心にして三十四の国があって、そのうち森の周囲にあるのは十二国。
 単純に領土の大きさらしいが大国が七、中国が二、小国が三。
 残りの二十二国に行くためには、この十二国のどこかを通らなければならなくて、大陸を囲む海を見たければ一番近くても三つの国を越えなければいけない。


「国の中は基本は馬車移動です。でも、国同士の移動は『ポート』と呼ばれる空間魔法陣があって、身元がしっかりしていて、お金を払えばそれを使わせてもらえます。ただし、距離によって金額は異なるようです」
「お金か……」
「はい。ちなみにお金は大陸共通の通貨です」
「そうか。素材も色々集めているし、それを売ればある程度の金額にはなるかもしれないな」
「はい。そうですね。でもアラタ様。アラタ様は以前の世界でのお金を、この世界のお金に換算してインベントリに入っている筈ですが。えっと前にもちょっとだけ言ったと思うのですが……」

 そういえばそんな事を聞いたような気も……

「大丈夫です! 忘れていたなら今度は忘れないようにすればいいです! それにアラタ様が言ったように今は色々な素材もありますから、きっとどこかの国の街に行けば次の国へはポートで行かれますよ!」
「コパン……」
「色々なところを見て、どうしていきたいのかを一緒に決めましょうね! おまかせあれ~!!」

 コパン先生の優しい言葉に、俺は大きく頷いた。



-------

国の事が出てきましたよ~。
Xに国の画像をポストしてます<(_ _)>
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

異世界でもマイペースに行きます

りーさん
ファンタジー
 とにかくマイペースな少年、舞田理央。 ある日、異世界に行ってみないかという神の誘いを受ける。  詳しく話を聞くと、自分は魔力(魔素)を吸収する体質で、異世界で魔力(魔素)が多くなりすぎているから、回収してほしいらしい。  いつかはのんびりと暮らしてみたいと思っていたし、そのついでなら、ということで了承した。  伯爵家の次男として目覚めた彼は、とにかくのんびりマイペースをモットーにいろいろ好き勝手しながら、異世界に旋風を巻き起こしたり巻き起こさなかったりするお話。 ーーーーーーーーーー 『手加減を教えてください!』とリンクしています。これだけでも、話は成立しますが、こちらも読んでいただけると、もっと深読みできると思います。

転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~

柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。 想像と、違ったんだけど?神様! 寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。 神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗ もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。 とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗ いくぞ、「【【オー❗】】」 誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。 「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。 コメントをくれた方にはお返事します。 こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。 2日に1回更新しています。(予定によって変更あり) 小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。 少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

理想とは違うけど魔法の収納庫は稼げるから良しとします

水野忍舞
ファンタジー
英雄になるのを誓い合った幼馴染たちがそれぞれ戦闘向きのスキルを身に付けるなか、俺は魔法の収納庫を手に入れた。 わりと便利なスキルで喜んでいたのだが幼馴染たちは不満だったらしく色々言ってきたのでその場から立ち去った。 お金を稼ぐならとても便利なスキルじゃないかと今は思っています。 ***** ざまぁ要素はないです

神々に育てられた人の子は最強です

Solar
ファンタジー
突如現れた赤ん坊は多くの神様に育てられた。 その神様たちは自分たちの力を受け継ぐようその赤ん 坊に修行をつけ、世界の常識を教えた。 何故なら神様たちは人の闇を知っていたから、この子にはその闇で死んで欲しくないと思い、普通に生きてほしいと思い育てた。 その赤ん坊はすくすく育ち地上の学校に行った。 そして十八歳になった時、高校生の修学旅行に行く際異世界に召喚された。 その世界で主人公が楽しく冒険し、異種族達と仲良くし、無双するお話です 初めてですので余り期待しないでください。 小説家になろう、にも登録しています。そちらもよろしくお願いします。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

処理中です...