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47 普通の転生者、使える者は何でも使う
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タチが悪いっていうのはちょっとイラっとしたけれど、イラってすると幸せが逃げていくって聞いた事があったからこれ以上はイラっとせずに発散しよう。
とりあえず、フィルから聞き出して僕がまとめた話はこれ。
*第四王子はお祖父様からきちんと婚約のお断りをした後にどうやらその怒りをフィルに向けた。そしてそれに手を貸した人間が誰かを調べる。またその人物は複数の可能性も視野に入れ、第四王子に付いていた方が良いと思っている人と、エマーソンやお祖母様の実家の伯爵家に敵意のようなものを持っている人という可能性も十分に考慮する。
*異動してきた上司について調べる。また騎士団の中に何か派閥みたいなものがないか。上司を異動をさせた人も第四王子に忖度があるかエマーソンや以下同文。
*フィルの勤務体系についてそれをやらされている人もしくは率先的にやっている人は誰か調べる。
*伯爵家の現状をきちんと把握する。
これはね、フィルが頭を抱えたように、聞いた途端僕の方が頭を抱えたよ。契約をする時にはもう少し慎重にって思ったよ。だって、学園卒業後三年間は養子として迎えるが、その後は家督を譲るから養子縁組も白紙にするって言う条件だったんだって。何それって思ったんだけどさすがに言わなかった。どうやらお祖母様がフィルを城の内勤にする為に無理矢理ねじ込んでらしい。で更に、白紙か、伯爵家の駒として他家へ婿入りっていうのも有りえたとか。
というわけで、とりあえずは使える者は使うと僕は決めた。
フィルは物凄く不本意で、自分で調べてみると言っていたけれど、年も明けるしね。これ以上馬鹿みたいな勤務体制を続けていたら、この家の護衛にならないでしょう? って言ったらちょっと傷ついた顔をした。
でもそんな事では僕はもうめげないんだ。
だって、好きとか何だとかそう言う事はよく分からないけれど、大事な幼馴染みに八つ当たりみたいな事をされて黙ってなんかいられないよ。
第四王子はこれで僕が「フィルに何かしないで」とか言って頭を下げに行くと思っていたのかな。「いう事は何でも聞きます」とか言うと思っていたのかな?
「フィルは、伯爵ときちんと話をして、どうなるのか決めてきたらいいよ。でも契約は契約だからね。その契約書に途中で伯爵に何かあったら向こうって書いてあるの?」
「……ない」
「じゃあ、ごねられるじゃない。こういうのはね、ごねた者勝ちなの。お祖母様もちゃんと使った方がいいよ。約束が違うって。なんならお祖父様も」
「サミー」
「僕はね、怒っているの。ちゃんと言わないフィルにも怒ったけど、それ以上にこうして幼馴染みに何かをすれば僕が簡単に折れるって馬鹿にされた事を怒っている。そんな風に安っぽく思われていた事がムカつく。甘く見ないでほしいよ。とにかく、宰相閣下が手を貸したいって言っているんだ。後はね、勿論お祖父様にも報告する。使える者は使い倒すよ。そのリスクも考えて。フィル、僕達を馬鹿にした奴らに仕返しだよ」
そう言って高く手を上げた僕にフィルが頭を抱えた。
「サミー、一旦落ち着こうか。何だかちょっと、こういう風になるお前に覚えがある」
フィルはやる気満々の僕の額に手を当てた。
「……熱があるな。寝ろ」
「へ……?」
「こういうおかしなテンションだった事がずっと前にあった。すごい熱だった」
「違うよ。僕は元気だよ。気分が高揚していてちょっと体内温度が……」
「分かった。でも寝ろ。だけど、ありがとうサミー、俺の為に怒ってくれて。俺ももう一度ちゃんと考えてみるよ。何が出来るのか、どうしたらいいのか。でも、それでも、俺がお前を好きなのは変わらないから。それもちゃんと頭の片隅には置いておいてくれ」
顔を見つめられたままそう言われて、いつもフィルよりも少しだけ弱みを見せているような幼馴染みの顔を見たまま僕はなぜか身体の力が抜けていくような気がした。
熱は、年を跨いで一日の夜に下がった。
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とりあえず、フィルから聞き出して僕がまとめた話はこれ。
*第四王子はお祖父様からきちんと婚約のお断りをした後にどうやらその怒りをフィルに向けた。そしてそれに手を貸した人間が誰かを調べる。またその人物は複数の可能性も視野に入れ、第四王子に付いていた方が良いと思っている人と、エマーソンやお祖母様の実家の伯爵家に敵意のようなものを持っている人という可能性も十分に考慮する。
*異動してきた上司について調べる。また騎士団の中に何か派閥みたいなものがないか。上司を異動をさせた人も第四王子に忖度があるかエマーソンや以下同文。
*フィルの勤務体系についてそれをやらされている人もしくは率先的にやっている人は誰か調べる。
*伯爵家の現状をきちんと把握する。
これはね、フィルが頭を抱えたように、聞いた途端僕の方が頭を抱えたよ。契約をする時にはもう少し慎重にって思ったよ。だって、学園卒業後三年間は養子として迎えるが、その後は家督を譲るから養子縁組も白紙にするって言う条件だったんだって。何それって思ったんだけどさすがに言わなかった。どうやらお祖母様がフィルを城の内勤にする為に無理矢理ねじ込んでらしい。で更に、白紙か、伯爵家の駒として他家へ婿入りっていうのも有りえたとか。
というわけで、とりあえずは使える者は使うと僕は決めた。
フィルは物凄く不本意で、自分で調べてみると言っていたけれど、年も明けるしね。これ以上馬鹿みたいな勤務体制を続けていたら、この家の護衛にならないでしょう? って言ったらちょっと傷ついた顔をした。
でもそんな事では僕はもうめげないんだ。
だって、好きとか何だとかそう言う事はよく分からないけれど、大事な幼馴染みに八つ当たりみたいな事をされて黙ってなんかいられないよ。
第四王子はこれで僕が「フィルに何かしないで」とか言って頭を下げに行くと思っていたのかな。「いう事は何でも聞きます」とか言うと思っていたのかな?
「フィルは、伯爵ときちんと話をして、どうなるのか決めてきたらいいよ。でも契約は契約だからね。その契約書に途中で伯爵に何かあったら向こうって書いてあるの?」
「……ない」
「じゃあ、ごねられるじゃない。こういうのはね、ごねた者勝ちなの。お祖母様もちゃんと使った方がいいよ。約束が違うって。なんならお祖父様も」
「サミー」
「僕はね、怒っているの。ちゃんと言わないフィルにも怒ったけど、それ以上にこうして幼馴染みに何かをすれば僕が簡単に折れるって馬鹿にされた事を怒っている。そんな風に安っぽく思われていた事がムカつく。甘く見ないでほしいよ。とにかく、宰相閣下が手を貸したいって言っているんだ。後はね、勿論お祖父様にも報告する。使える者は使い倒すよ。そのリスクも考えて。フィル、僕達を馬鹿にした奴らに仕返しだよ」
そう言って高く手を上げた僕にフィルが頭を抱えた。
「サミー、一旦落ち着こうか。何だかちょっと、こういう風になるお前に覚えがある」
フィルはやる気満々の僕の額に手を当てた。
「……熱があるな。寝ろ」
「へ……?」
「こういうおかしなテンションだった事がずっと前にあった。すごい熱だった」
「違うよ。僕は元気だよ。気分が高揚していてちょっと体内温度が……」
「分かった。でも寝ろ。だけど、ありがとうサミー、俺の為に怒ってくれて。俺ももう一度ちゃんと考えてみるよ。何が出来るのか、どうしたらいいのか。でも、それでも、俺がお前を好きなのは変わらないから。それもちゃんと頭の片隅には置いておいてくれ」
顔を見つめられたままそう言われて、いつもフィルよりも少しだけ弱みを見せているような幼馴染みの顔を見たまま僕はなぜか身体の力が抜けていくような気がした。
熱は、年を跨いで一日の夜に下がった。
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