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うぅ……頭が痛……くはないな。頭よりどっちかというとあの睡眠薬の臭いが残って吐きそう。
「うげぇぇぇ! はな、鼻の奥に臭いが残ってる。くっせぇぇぇぇ‼︎ 変態見つけたらただじゃおかん!」
ここをこうしてこうやってズドンッだ! 脳内シュミレーションで変態をボッコボコにしてやった。油断していた私が悪いんだけれども……いや、全面的に私がアホだった。
「アホ……信じたくないけどアホ。前世からアホだったけどまさか転生しても直らないとは! いっそのこと清々しいわ」
よく私は前世で「○○ちゃんって超天然だよねぇ~」と言われていた。しかし、それで嬉しがっていてはいけない。アホと超天然はイコールで結ばれているのだ! それに気づいたのは高校生の時。母に「私って超天然って言われるんだよねぇ~」と、当時の私はそれが褒められていると思い自慢した。そして返ってきた言葉が「アンタそれアホって言われてるのと一緒よ? バカねぇ~」である。
沈みしたが、その後すぐに復活した。そう、今さっきのように。
「ま、ポジティブ思考(←※能天気)が私の強みだし! いいさ! 今回もなんとかなる‼︎」
覚悟を決めた私はとりあえず外に出ることにした。この部屋ね、すんごい豪華。そう、どこかの王宮みたいに……王宮……おうきゅう? スパイさんの雇い主は誰? 確か黒髪の金色の瞳を持ったーー
「あの壁に飾られている絵の人だった気がしなくもない」
もしかして……?
ある事に気づいた私は思わずベッドのそばにあるなんの変哲もないはずの棚を引くのではなく押してみた。するとガコッという音がして棚が後ろへ下がり、それと同時に部屋の壁の一部が盛り上がる。
「ほほぅ、当たりってわけね」
盛り上がった壁を後ろに引けば、ひと1人が通れるほどの空間が現れた。それをみて私は確信する。ここはーー帝国の客室兼、誰かを閉じ込めるための部屋だ。
ヒロインが誘拐された時に閉じ込められ、隠されたこの通路を見つけ逃げ出すのだ。そして、その途中で偶然作戦会議を盗み聞きし、戦争に逆転勝利するのだがそれはまた別の話である。
そして、私は逃げようと思ったけれどやめた。だってどうせ捕まるから。あの変態野郎が凄腕なのもあるかもしれないが、この場合どうせなら交渉してやればいいと思ったのだ。
「ふふっ、アホで能天気な性格だけど、くっさい睡眠薬盛られた恨みは晴らす‼︎」
とりあえず、ベッドから降りて私は変態野郎がいる場所へと向かった。勿論秘密の通路を使って。
「確かここら辺に……お! あった‼︎」
手探りで取手を探して見つけた私はゆっくりと押していく。キィィという音と共に扉が開いた。そーっと覗いてみれば居眠り中の変態野郎が‼︎ どうやらこの部屋で合っていたようだ。
ヒャッハーーーーーーー‼︎ 復讐祭だぜ‼︎ 私の脳内はチンピラ共でいっぱいになった。
「くらえ! 特製爆弾‼︎」
そのテンションのまま、小声で叫んで変態野郎の顔に投げつける。ボブっと音を立てて変態の顔に直撃し舞い上がる砂埃に似た何か。
「スー,スー……⁉︎ ゴホッ⁉︎ なんだこれ⁉︎ ハックショイ‼︎ うわ、辛い‼︎」
わたわたしている変態さんの姿に私の中の怒りゲージが下がる。ちょうどやりすぎた気がしなくもないが……まぁいっか。
私が変態に投げたのは先程歩いている時、偶然見つけた厨房で、コッソリとお借りした胡椒である。
片手で出来るだけ掴んできたのでおおよそ大さじ4ぐらいの量の胡椒が変態にかかった。今、変態の周囲は胡椒の煙でいっぱいである。
「ハックショイ! うぅ~! 鼻がムズムズする!」
いまだ胡椒地獄から解放されていない変態をみて私は悟った。
よし、一旦部屋に戻ろう! ここにいたら自分も胡椒の巻き添えを食らってしまう、と。
「じゃ、しつれーしました~」
「待て」
「げぇ⁉︎」
引っ込もうとした瞬間、どこからか手が伸びてきて私の首をガシリと掴んだ。その様子はさながら首を押さえられた猫である。
しばらくの間フリーズしていた私だが、恐る恐る頭をあげて首を掴んできた人物を見ると、肖像画そっくりの人物と目があった。
オーノー……死んだ。オワタ……
「うげぇぇぇ! はな、鼻の奥に臭いが残ってる。くっせぇぇぇぇ‼︎ 変態見つけたらただじゃおかん!」
ここをこうしてこうやってズドンッだ! 脳内シュミレーションで変態をボッコボコにしてやった。油断していた私が悪いんだけれども……いや、全面的に私がアホだった。
「アホ……信じたくないけどアホ。前世からアホだったけどまさか転生しても直らないとは! いっそのこと清々しいわ」
よく私は前世で「○○ちゃんって超天然だよねぇ~」と言われていた。しかし、それで嬉しがっていてはいけない。アホと超天然はイコールで結ばれているのだ! それに気づいたのは高校生の時。母に「私って超天然って言われるんだよねぇ~」と、当時の私はそれが褒められていると思い自慢した。そして返ってきた言葉が「アンタそれアホって言われてるのと一緒よ? バカねぇ~」である。
沈みしたが、その後すぐに復活した。そう、今さっきのように。
「ま、ポジティブ思考(←※能天気)が私の強みだし! いいさ! 今回もなんとかなる‼︎」
覚悟を決めた私はとりあえず外に出ることにした。この部屋ね、すんごい豪華。そう、どこかの王宮みたいに……王宮……おうきゅう? スパイさんの雇い主は誰? 確か黒髪の金色の瞳を持ったーー
「あの壁に飾られている絵の人だった気がしなくもない」
もしかして……?
ある事に気づいた私は思わずベッドのそばにあるなんの変哲もないはずの棚を引くのではなく押してみた。するとガコッという音がして棚が後ろへ下がり、それと同時に部屋の壁の一部が盛り上がる。
「ほほぅ、当たりってわけね」
盛り上がった壁を後ろに引けば、ひと1人が通れるほどの空間が現れた。それをみて私は確信する。ここはーー帝国の客室兼、誰かを閉じ込めるための部屋だ。
ヒロインが誘拐された時に閉じ込められ、隠されたこの通路を見つけ逃げ出すのだ。そして、その途中で偶然作戦会議を盗み聞きし、戦争に逆転勝利するのだがそれはまた別の話である。
そして、私は逃げようと思ったけれどやめた。だってどうせ捕まるから。あの変態野郎が凄腕なのもあるかもしれないが、この場合どうせなら交渉してやればいいと思ったのだ。
「ふふっ、アホで能天気な性格だけど、くっさい睡眠薬盛られた恨みは晴らす‼︎」
とりあえず、ベッドから降りて私は変態野郎がいる場所へと向かった。勿論秘密の通路を使って。
「確かここら辺に……お! あった‼︎」
手探りで取手を探して見つけた私はゆっくりと押していく。キィィという音と共に扉が開いた。そーっと覗いてみれば居眠り中の変態野郎が‼︎ どうやらこの部屋で合っていたようだ。
ヒャッハーーーーーーー‼︎ 復讐祭だぜ‼︎ 私の脳内はチンピラ共でいっぱいになった。
「くらえ! 特製爆弾‼︎」
そのテンションのまま、小声で叫んで変態野郎の顔に投げつける。ボブっと音を立てて変態の顔に直撃し舞い上がる砂埃に似た何か。
「スー,スー……⁉︎ ゴホッ⁉︎ なんだこれ⁉︎ ハックショイ‼︎ うわ、辛い‼︎」
わたわたしている変態さんの姿に私の中の怒りゲージが下がる。ちょうどやりすぎた気がしなくもないが……まぁいっか。
私が変態に投げたのは先程歩いている時、偶然見つけた厨房で、コッソリとお借りした胡椒である。
片手で出来るだけ掴んできたのでおおよそ大さじ4ぐらいの量の胡椒が変態にかかった。今、変態の周囲は胡椒の煙でいっぱいである。
「ハックショイ! うぅ~! 鼻がムズムズする!」
いまだ胡椒地獄から解放されていない変態をみて私は悟った。
よし、一旦部屋に戻ろう! ここにいたら自分も胡椒の巻き添えを食らってしまう、と。
「じゃ、しつれーしました~」
「待て」
「げぇ⁉︎」
引っ込もうとした瞬間、どこからか手が伸びてきて私の首をガシリと掴んだ。その様子はさながら首を押さえられた猫である。
しばらくの間フリーズしていた私だが、恐る恐る頭をあげて首を掴んできた人物を見ると、肖像画そっくりの人物と目があった。
オーノー……死んだ。オワタ……
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