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第15話 馬車内は快適です、わ…?

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さて、何事もなく国境を越えましたわ。道中はジェラルドさまの錬金術によって、とても快適でしたの。テンプレである馬車のスプリング問題もしっかりと対策がされていて、お尻が痛くなることもありませんでしたわ!
それに馬車の室内の温度もしっかりと調節されていて、汗をかく暇もありませんのよ。

その…、わたくし小さな頃からジェラルドさまのお世話になっていたので、これが当たり前だと思っていましたの。しかし学園でできたお友達との話で、当たり前だと思っていたことが異常だと知ってしまいましたのよ。
錬金術師の作り出したものを手に入れるには莫大なお金がかかり、いかに高位貴族であろうと両手で足りる程度しか所持できないのだそうです。
お友達のマリアッテさまはわたくしの生家と同じ公爵家の方なのですが、わたくしの話にとてもおどろいていらっしゃいましたの。
『生活の一部になるほど高価な錬金術をふんだんに使われているだなんて…。流石は最強の錬金術師の妻ですわ。愛されていますのね』なんて言われてしまったのですわ!もうっ照れますの…っ♡
と、回想の中のマリアッテさまの言葉に照れながら、国境を越えても快適な馬車旅は順調に過ぎていきました。

予定では今日の午後には目的の避暑地、アマデウラストに着くそうです。この世界にもガイドブックがあるので、最後の予習として行きたい場所のチェックが捗りますわ!
アマデウラストでしか食べられないもの、見れないもの、体験できないもの。その全てが楽しみでなりませんの。もちろんジェラルドさまの隣で、というのが前提になりますが。

ガイドブックを見ていると、隣に座っているジェラルドさまが腰を抱いてきたり、髪を撫でてみたりとわたくしで暇をつぶしてきますの。昨日までならそれに反応して、たわいない話をして時間をつぶしていましたが、今日の午後にはアマデウラストについてしまうのですから、残り少ない時間をガイドブックを読む時間に費やしたいと思い、そのまま放置しておりました。
しかしそれが気に障ったのか、ガイドブックを取り上げられ、馬車の床に手をつかないと届かない隅へ放られてしまいました。

「あ!もうっジェラルドさまのいじわる!」

「かまってくれない君が悪い」

そう言うとジェラルドさまはわたくしを抱き上げて、ご自分の膝の上に乗せてしまいました。もうっ抱っこされて喜ぶ子供じゃないんですよ!レディですのに!もうっもうっ!
ぎゅっと腰をホールドされてしまうと、もうジェラルドさまの膝の上から降りることはできません。そこからは休憩時間以外は、ずっとジェラルドさまの膝の上で過ごすことになってしまいましたの。

もちろん目的地に着くまでの時間を、イチャイチャして過ごすわけにもいけません。いえ、こんなにも二人きりなのは初めてなので、うれしいにはうれしいですわ?でもジェラルドさまとこんなに近くで、と言いますか抱っこされて長時間そのままというのは今までなかったので……。は、恥ずかしいのです…!

毎日メイドのマデリーンが用意する旅行に合わせたドレスは、動きやすいことを前提としていつものドレスとは少し違うものです。
コルセットに柔らかめの素材を使用していたり、いつもならぎゅうぎゅうに締められる紐がゆるめにされていたり、スカートを膨らませる素材が通常とは違っていたり。旅装束としていつもよりは体に負担がなく、簡略化されているため、その分防御が薄いと言いますか……。
触られている部分を、感じ取ることができるのです。いつもならちょっと腰に触れられるくらいなら、わかりませんのに!今は、つつつと服の上をジェラルドさまの指が移動するのが、わかってしまうのです!
まるで直接触られているのではと、勘違いしてしまうほどなのですわっ

うう…えっちですの……ッ

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