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7 はじめてのダンジョン

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ダンジョンに潜るにあたってサシャから渡されたのは日本刀と回復薬が3個、携帯食、水筒、それからスキルだった。

回復薬は思った通りベルトについた筒にはめるものらしい。よくあるRPGだと回復薬は液体のことが多いがここでの回復薬はタブレットだった。細長いマーブルなチョコレートとかの容器みたいな大体5,6㎝くらいの円柱形で上の方がちょっと出ばっててるからうまくベルトの筒にはまって抜け落ちないようになっている。
一つの容器に5個タブレットが入っていて上についてるボタンを押し込むことで数秒後下の方からタブレットが落ちてくるようになってるから片手で操作して片手で口に運ぶことができる優れものだ。
1個どんな風に出てきてどんな味がするのか試させてもらったら味も触感もラムネだった。
ちなみに怪我をしてない状態で回復薬を飲んだら回復する数値がストックされるみたいで無駄にはならなかった。

携帯食は布と紙に包まれた長方形のスコーンみたいなものが3つ入っていた。10㎝くらいの長さで3つの山型になっててちょっと力を入れるとそこからぽろっと分かれて一口サイズになるように作られている。所々に黒い塊があるから何かと聞いてみたらチョコチップだと答えが返ってきたからこれも試しに1個食べてみる。口に入れて噛みしめるとほろりと砕けた。もぐもぐと口を動かしている内にチョコチップも砕けて口の中にチョコの味が広がる。これもミミちゃんの手作りだったとしたらミミちゃん料理うますぎだよな~なんて思いながら口の中の幸せを飲み込んだ。
それから15㎝くらいの水筒に入っていたのはストレートの紅茶でスコーンカッコカリによく合った。

最後にスキルだけどこれは3個もらえた。
1つ目は”地図マッピング”。MPを3消費して地図を自動書記するスキル。
これは異世界に来て使わなくなったスマホを使う形になる。俺がスマホを持って歩いたらその通った場所が地図として表示されていくものだ。
地図マッピング”にはレベルがあって使い続けて行くことでレベルが上がっていくらしい。今はレベル1で通った道しか表示されないけどレベル2で1メートル先を先行して地図に書き込んでいきレベル3で先行する距離が伸び、レベル4になると罠があるとお知らせする機能がつくようになるらしい。最大レベルは5で敵の位置すらわかるようになるらしいから”地図マッピング”ってすげー!

2つ目は”能力上昇ストロング”。効果はMPを4消費して10分間身体能力が1.5倍になる。クールタイムは1時間。
能力上昇ストロング”は特にレベルは無いけど他に上位互換のスキルがあるらしい。

3つ目は”地走りちばしり”。MPを1消費して刀で空間を袈裟斬りすると地面を伝う衝撃波みたいなものを出す技。クールタイムは1分。
なんかどっかのゲームで見たことある気がする……これもレベルは無くて上位互換のスキルがあるらしい。


以上3つのスキルは巻物を渡されて中身の魔方陣みたいなのに触ると習得できた。なんでも異世界に召喚された者には特別措置としてスキルの入れ替えができるようになるらしい。俺の場合はスマホで入れ替えができるらしいから絶対にスマホはなくさないようにしないとな。

そういうわけでサシャにはダンジョン内で複数のスキルの巻物を見つけたら迷わず魔方陣に触ることを推奨された。どんなスキルが手に入るかは巻物の魔方陣に触れるまで分からないから”鑑定サーチ”のスキルがあると楽だともアドバイスをされたので早めに”鑑定サーチ”を手に入れたい。でも”鑑定サーチ”はレアに相当するらしいんでなかなか出てこないんだとか。やっぱ効果がすごいスキルは手に入りにくいもんだよな。
ちなみに”地図マッピング”はレア、”能力上昇ストロング”はハイノーマル、”地走りちばしり”もハイノーマルだってさ。





装備品を渡され、スキルの取得と説明が終わりいよいよダンジョン攻略が始まる。ダンジョンに潜るのは贄である俺だけでサシャやミミちゃんは家で待機。おいしいご飯作って待ってますってミミちゃんが言ってくれたらしいんでとりあえず昼には一度帰っておきたいかな。
楽しみにしてるってミミちゃんを撫でながら言ってるとサシャがまたどこかから出したのかサシャと同じくらいの大きさの何かの金属でできた猫の置物を指さして「これ触っておいて」って言うから何かのおまじないかダンジョンに入るための儀式かなとも思って素直に触っておいた。
一度ピカッと光るとそれ以降なんの変化もない。何だったのかわかんなかったけどとりあえず触ったことだしダンジョンに入ることにする。

「それじゃあ行ってきます!」

笑顔で見送ってくれるサシャとミミちゃん。軽く手を振ってから扉の取っ手を握って人一人が通れる隙間を作ってダンジョンに入った。





ギイイイイイィイって嫌な音がして後ろで扉が閉まる。さっきまではサシャとミミちゃんがいてくれたから地下だというのにどこか暖かさや居心地の良さをうっすらと感じていたのにいざダンジョンに一人だけとなると途端に周りの土と木材でできた壁が冷気を出しているように感じた。吸い込む空気もどこか重たい。扉の厚さ数センチ向こうには無い危うい雰囲気だ。

集中しなくては。ここでは自分以外は誰もが敵なのだから。

パシッと両手で頬を叩き気合を入れる。
まずスマホの電源ボタンを軽く押す。大きく現在の時刻が表示されその下に”地図マッピング”発動中の文字が表示されていた。時間は8時34分。お昼にはまだ程遠い。幸い入ってすぐはまっすぐの通路だから前方に注意してゆっくりと進むことにしよう。初めてのダンジョンだから警戒してしすぎるということもないだろうし。
俺はサシャに手渡された日本刀の鞘を握りながら歩く。徐々に表示されていく地図と歩を進めるたびに先じて明るくなっていく通路を愉快そうな表情でゆっくりと進んだ。


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【 名前 】 菅原 武志(スガワラ タケシ)
【 性別 】 男
【 年齢 】 17
【 素材レベル 】 1
【 レベル 】 1/20
【 STR (筋力) 】 15
【 CON (体力) 】 16
【 POW (精神力) 】 17
【 DEX (俊敏性) 】 12
【 SIZ (体格) 】 15
【 INT  (知性) 】 9
【 SAN (正気度) 】 210/235 (加護により+150)
【 幸運 】 85
【 HP 】 200/150 (回復薬により+50)
【 MP 】 14/17

称号:召喚されしもの 素材 バステトの贄  
加護:バステト神の加護

バッドステータス:無

スキル:地図マッピングLv1・能力上昇ストロング地走りちばしり

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やっとダンジョンに入りました。
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