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第三章 変革
月例町議会
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ルナと相談して、養蚕の知識を外して、陸上戦の知識に入れ替えた。例によって、とんでもない頭痛とひどい船酔いを経験したが、今回の戦いの役に立つであろう。
記憶の交換のダメージから回復したころ、治安維持を目的として軍を派遣してくるという情報をナタール国と母さんの両方から入手した。指揮官は第二王子のジルで2000名の派遣らしい。
なぜジルなんだ?
という疑問を母さんにぶつけてみた。
2人の出した結論は、多分今回は本気ではなく様子見だ。
ルナとも話したが、ルナはああ見えて脳筋だ。俺に危険が及ばないうちは何もしないで、俺のやることを嬉しそうに眺めているだけだ。だが、俺に危険が及ぶや否やすぐに参戦して来て、力任せにねじ伏せる。
そのため、ルナの作戦というか方針は、相手の思惑はどうでもいい、アレンを脅かすものはぶっ潰す。ただそれだけだった。
ちょうど今、俺はルナと町議会の月例に参加するために町に来ていた。ルナとはいつも行動を共にしている。会議も当たり前のように一緒に出席する。
町議会の席で、イーサンとアンディ以外は、美しい女性の存在に皆戸惑っていた。
「あのう、アレンさん、こちらのご婦人は?」
グリムさんが皆を代表して質問してきた。
「妻のルナです」
「ルナです。よろしくね」
全員が一瞬デレっとする。しかし、グリムさんは意外にもお堅いことを言う。
「アレンさん、職場に奥さんを連れて来てはダメですよ」
普通はそうだろう。前世の日本でも出社初日にダメ出しされた。
イーサンが説明する。
「すいません。皆さまに事前にご説明する時間がなくて。アレンさんは結婚されて北の村に引っ越しされまして、町議員は無理を言って続けてもらっています。町議会の月例に参加して頂く条件として、夫人帯同ということでしたので、ご理解ください」
俺も少し言い訳をする。
「グリムさん、私たちは夫婦の時間を大切にしているのです。妻は邪魔はしませんので、お目溢しくだざい」
「そういうことでしたら」
綺麗すぎて邪魔なんだけど、とは流石に言えないグリムだったが、納得することにした。
そんな一幕があったが、いつもの通り、各事業部の予実報告から始まった。最後に俺の番になったところで、フリップに書かれている数字に皆が釘付けになった。
「アレンさん、数字は月別での報告ですよ。これは年間の累積数字では?」
グリムの指摘にたいして、アレンが答えた。
「いいえ、今月の数字になります」
グリムが担当していたころの月の数字の4倍だった。
「まだ成果が十分に出ていませんが、半年後には今の数字の3倍になる予定です」
アレンがしれっととんでもないことを言う。グリムが担当していたときの年間生産量を1ヶ月で産出すると言うのだ。
「どうやって……」
グリムには信じられない数字だ。
アレンは淡々と説明する。決してドヤ顔になってはいけない。
「少し養蚕の知識がありまして、気になったところの改善と、給料を一部歩合制にしました」
イーサンがここぞとばかりに提案する。
「アレンさんは王宮の図書館で幼少から多くの書物を読んでおられまして、色々な知識をお持ちです。その知識を活かして、我々の事業のアドバイスをして頂きたいと思っています」
これだけ圧倒的な数字を見せられては、アレンの実力を認めざるを得ない。また、王宮の図書館の知識が理由ということであれば、町議員のプライドも何とか傷つかずに済む。
「では、アレンさん。残りの滞在期間中に各事業部の視察とアドバイスをお願いします。さて、最後の議題です。アンディ、よろしくお願いします」
アンディが町議員4人に説明する。
「国軍2000が島に派遣されるようです。目的は島の治安維持ということですが、島を制御下に置くことが目的と思われます」
町議員4人はかなり驚いていたが、段々とムッとした顔に変わっていく。
「アンディさん、当然我々は断固戦うということでよいですね」
グリムが確認した。他の町議員もそのつもりでいるようだ。
「念の為、採決をと思いましたが、必要ないようですね。それでは、国軍殲滅のための作戦を共有します」
アンディはそう言って、アレンが作成した作戦資料を全員に配布した。マル秘扱いで、会議室を出る時には回収する資料だ。
会議室の面々はこの資料をベースとして、細部まで作戦を確認し、会議を終了した。
記憶の交換のダメージから回復したころ、治安維持を目的として軍を派遣してくるという情報をナタール国と母さんの両方から入手した。指揮官は第二王子のジルで2000名の派遣らしい。
なぜジルなんだ?
という疑問を母さんにぶつけてみた。
2人の出した結論は、多分今回は本気ではなく様子見だ。
ルナとも話したが、ルナはああ見えて脳筋だ。俺に危険が及ばないうちは何もしないで、俺のやることを嬉しそうに眺めているだけだ。だが、俺に危険が及ぶや否やすぐに参戦して来て、力任せにねじ伏せる。
そのため、ルナの作戦というか方針は、相手の思惑はどうでもいい、アレンを脅かすものはぶっ潰す。ただそれだけだった。
ちょうど今、俺はルナと町議会の月例に参加するために町に来ていた。ルナとはいつも行動を共にしている。会議も当たり前のように一緒に出席する。
町議会の席で、イーサンとアンディ以外は、美しい女性の存在に皆戸惑っていた。
「あのう、アレンさん、こちらのご婦人は?」
グリムさんが皆を代表して質問してきた。
「妻のルナです」
「ルナです。よろしくね」
全員が一瞬デレっとする。しかし、グリムさんは意外にもお堅いことを言う。
「アレンさん、職場に奥さんを連れて来てはダメですよ」
普通はそうだろう。前世の日本でも出社初日にダメ出しされた。
イーサンが説明する。
「すいません。皆さまに事前にご説明する時間がなくて。アレンさんは結婚されて北の村に引っ越しされまして、町議員は無理を言って続けてもらっています。町議会の月例に参加して頂く条件として、夫人帯同ということでしたので、ご理解ください」
俺も少し言い訳をする。
「グリムさん、私たちは夫婦の時間を大切にしているのです。妻は邪魔はしませんので、お目溢しくだざい」
「そういうことでしたら」
綺麗すぎて邪魔なんだけど、とは流石に言えないグリムだったが、納得することにした。
そんな一幕があったが、いつもの通り、各事業部の予実報告から始まった。最後に俺の番になったところで、フリップに書かれている数字に皆が釘付けになった。
「アレンさん、数字は月別での報告ですよ。これは年間の累積数字では?」
グリムの指摘にたいして、アレンが答えた。
「いいえ、今月の数字になります」
グリムが担当していたころの月の数字の4倍だった。
「まだ成果が十分に出ていませんが、半年後には今の数字の3倍になる予定です」
アレンがしれっととんでもないことを言う。グリムが担当していたときの年間生産量を1ヶ月で産出すると言うのだ。
「どうやって……」
グリムには信じられない数字だ。
アレンは淡々と説明する。決してドヤ顔になってはいけない。
「少し養蚕の知識がありまして、気になったところの改善と、給料を一部歩合制にしました」
イーサンがここぞとばかりに提案する。
「アレンさんは王宮の図書館で幼少から多くの書物を読んでおられまして、色々な知識をお持ちです。その知識を活かして、我々の事業のアドバイスをして頂きたいと思っています」
これだけ圧倒的な数字を見せられては、アレンの実力を認めざるを得ない。また、王宮の図書館の知識が理由ということであれば、町議員のプライドも何とか傷つかずに済む。
「では、アレンさん。残りの滞在期間中に各事業部の視察とアドバイスをお願いします。さて、最後の議題です。アンディ、よろしくお願いします」
アンディが町議員4人に説明する。
「国軍2000が島に派遣されるようです。目的は島の治安維持ということですが、島を制御下に置くことが目的と思われます」
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「アンディさん、当然我々は断固戦うということでよいですね」
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「念の為、採決をと思いましたが、必要ないようですね。それでは、国軍殲滅のための作戦を共有します」
アンディはそう言って、アレンが作成した作戦資料を全員に配布した。マル秘扱いで、会議室を出る時には回収する資料だ。
会議室の面々はこの資料をベースとして、細部まで作戦を確認し、会議を終了した。
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