9 / 39
第二章 就職
婦人会の活動内容
しおりを挟む
午前中は養蚕の様子を見に行くのが日課になっていた。最初は子供の発案だからと半信半疑だったようだが、日々目に見える効果が上がるため、最近はよく質問が来るようになった。
その後、基本給と歩合制を組み合わせた給与体系にしたところ、あちこちでつかまって質問攻めにあうようになった。いい傾向だ。
午後は兄対策だ。ただ防衛するだけではつまらない。イーサンも含めた5人をこちらの味方にして、兄に逆襲できれば最高だ。
兄のうち手強いのは何だかんだ言っても、長兄のリチャードだ。
性格は最悪だが、能力は高い。武力も知力も俺と大差ないのだ。
それと四男のデイビスだ。こいつは異常に頭がキレる。
俺なんかに構うことはないのに、何故か幼少の頃から、この二人から俺は警戒され、隙あらば陥れられそうになってきたのだ。
敵になるより味方にした方が、はるかに楽で有用なのに。そういうところが愚かだと思うし、だからこそ、俺は奴らに勝利できると確信している。愚か者に負けるはずがないからだ。
さて、まずはイーサンから対応しよう。イーサンの嫁は来歴簿を調べたところ、盗賊団の女首領だった。人質は10歳の弟だそうだ。
(弟はどこにいるの?)
母さんに聞いたところ、孤児院にいるらしい。両親はすでに死んでしまっているとのことだ。
(弟をこの島に連れて来ることを約束して引き込もうか)
兄がイーサンの嫁に接触するまでには少し時間がある。どういう人か探りを入れよう。
「サーシャさん、町長の奥さんてどんな方ですか?」
俺は今、サーシャの家で夕食をご馳走になっている。落ち着いたら話そうと約束していたが、数日前にサーシャからお誘いがあったのだ。
「サユリさんですね。優しい感じの黒髪の美女ですよ。まだ18歳だそうです。おとなしい人です」
あれ? 想像と違うな。
「盗賊団の首領なんですよね?」
「警察の手入れがあったときに盗賊に捕まっていた被害者です」
王国の警察って、そこまで無能なのか?
「どこでどう間違えればそんなことになるんですかね?」
「今度本人に直接お聞きになるといいですよ。サユリさんは王子に興味あるみたいですよ」
あれ? もう兄が接触したのか?
あるいはサユリを兄が事前に送りこんでいた?
兄たちは俺を島に送ることをかなり前から計画していた?
俺は自分や母さんやルナのチートスキルで、知らず知らずに楽勝だと油断していたかもしれない。
「分かりました。今度聞いてみます。ところで、サーシャさん、婦人会って何をしているんですか?」
サーシャは何故か待ってましたという表情になった。
「一言でいうと、結婚相手を探す会です。この島は女性が少ないので、一妻多夫制なのです」
「そうなんですか!?」
これはかなり驚いた。あれ?
「 ひょっとしてサユリさんが俺に興味あるってのは」
「はい、夫としてです」
マジか!?
婦人会は月に一度、婚活パーティーを開くそうで、俺は次回招待されることが内定しているそうだ。
「え? いつですか?」
「明日の夜です。参加は義務付けられてます。王子様、しかとお伝えしましたから」
サーシャさん、伝言係だったのか。明日だなんて急すぎるよ!
その後、基本給と歩合制を組み合わせた給与体系にしたところ、あちこちでつかまって質問攻めにあうようになった。いい傾向だ。
午後は兄対策だ。ただ防衛するだけではつまらない。イーサンも含めた5人をこちらの味方にして、兄に逆襲できれば最高だ。
兄のうち手強いのは何だかんだ言っても、長兄のリチャードだ。
性格は最悪だが、能力は高い。武力も知力も俺と大差ないのだ。
それと四男のデイビスだ。こいつは異常に頭がキレる。
俺なんかに構うことはないのに、何故か幼少の頃から、この二人から俺は警戒され、隙あらば陥れられそうになってきたのだ。
敵になるより味方にした方が、はるかに楽で有用なのに。そういうところが愚かだと思うし、だからこそ、俺は奴らに勝利できると確信している。愚か者に負けるはずがないからだ。
さて、まずはイーサンから対応しよう。イーサンの嫁は来歴簿を調べたところ、盗賊団の女首領だった。人質は10歳の弟だそうだ。
(弟はどこにいるの?)
母さんに聞いたところ、孤児院にいるらしい。両親はすでに死んでしまっているとのことだ。
(弟をこの島に連れて来ることを約束して引き込もうか)
兄がイーサンの嫁に接触するまでには少し時間がある。どういう人か探りを入れよう。
「サーシャさん、町長の奥さんてどんな方ですか?」
俺は今、サーシャの家で夕食をご馳走になっている。落ち着いたら話そうと約束していたが、数日前にサーシャからお誘いがあったのだ。
「サユリさんですね。優しい感じの黒髪の美女ですよ。まだ18歳だそうです。おとなしい人です」
あれ? 想像と違うな。
「盗賊団の首領なんですよね?」
「警察の手入れがあったときに盗賊に捕まっていた被害者です」
王国の警察って、そこまで無能なのか?
「どこでどう間違えればそんなことになるんですかね?」
「今度本人に直接お聞きになるといいですよ。サユリさんは王子に興味あるみたいですよ」
あれ? もう兄が接触したのか?
あるいはサユリを兄が事前に送りこんでいた?
兄たちは俺を島に送ることをかなり前から計画していた?
俺は自分や母さんやルナのチートスキルで、知らず知らずに楽勝だと油断していたかもしれない。
「分かりました。今度聞いてみます。ところで、サーシャさん、婦人会って何をしているんですか?」
サーシャは何故か待ってましたという表情になった。
「一言でいうと、結婚相手を探す会です。この島は女性が少ないので、一妻多夫制なのです」
「そうなんですか!?」
これはかなり驚いた。あれ?
「 ひょっとしてサユリさんが俺に興味あるってのは」
「はい、夫としてです」
マジか!?
婦人会は月に一度、婚活パーティーを開くそうで、俺は次回招待されることが内定しているそうだ。
「え? いつですか?」
「明日の夜です。参加は義務付けられてます。王子様、しかとお伝えしましたから」
サーシャさん、伝言係だったのか。明日だなんて急すぎるよ!
0
お気に入りに追加
1,387
あなたにおすすめの小説
寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!
ユウ
恋愛
エリーゼは、王妃になる予定だった。
故郷を失い後ろ盾を失くし代わりに王妃として選ばれたのは後から妃候補となった侯爵令嬢だった。
聖女の資格を持ち国に貢献した暁に正妃となりエリーゼは側妃となったが夜の渡りもなく周りから冷遇される日々を送っていた。
日陰の日々を送る中、婚約者であり唯一の理解者にも忘れされる中。
長らく魔物の侵略を受けていた東の大陸を取り戻したことでとある騎士に妃を下賜することとなったのだが、選ばれたのはエリーゼだった。
下賜される相手は冷たく人をよせつけず、猛毒を持つ薔薇の貴公子と呼ばれる男だった。
用済みになったエリーゼは殺されるのかと思ったが…
「私は貴女以外に妻を持つ気はない」
愛されることはないと思っていたのに何故か甘い言葉に甘い笑顔を向けられてしまう。
その頃、すべてを手に入れた側妃から正妃となった聖女に不幸が訪れるのだった。
どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら
風見ゆうみ
恋愛
「もう、無理です!」
伯爵令嬢である私、アンナ・ディストリーは屋根裏部屋で叫びました。
男の子がほしかったのに生まれたのが私だったという理由で家族から嫌われていた私は、密かに好きな人だった伯爵令息であるエイン様の元に嫁いだその日に、エイン様と実の姉のミルーナに殺されてしまいます。
それからはなぜか、殺されては子どもの頃に巻き戻るを繰り返し、今回で11回目の人生です。
何をやっても同じ結末なら抗うことはやめて、開き直って生きていきましょう。
そう考えた私は、姉の機嫌を損ねないように目立たずに生きていくことをやめ、学園生活を楽しむことに。
学期末のテストで1位になったことで、姉の怒りを買ってしまい、なんと婚約を解消させられることに!
これで死なずにすむのでは!?
ウキウキしていた私の前に元婚約者のエイン様が現れ――
あなたへの愛情なんてとっくに消え去っているんですが?
完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!
音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。
頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。
都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。
「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」
断末魔に涙した彼女は……
「悲劇の悪役令嬢」と呼ばれるはずだった少女は王太子妃に望まれる
冬野月子
恋愛
家族による虐待から救い出された少女は、前世の記憶を思い出しここがゲームの世界だと知った。
王太子妃を選ぶために貴族令嬢達が競い合うゲームの中で、自分は『悲劇の悪役令嬢』と呼ばれる、実の妹に陥れられ最後は自害するという不幸な結末を迎えるキャラクター、リナだったのだ。
悲劇の悪役令嬢にはならない、そう決意したリナが招集された王太子妃選考会は、ゲームとは異なる思惑が入り交わっていた。
お妃になるつもりがなかったリナだったが、王太子や周囲からはお妃として認められ、望まれていく。
※小説家になろうにも掲載しています。
「君は運命の相手じゃない」と捨てられました。
音無砂月
恋愛
幼い頃から気心知れた中であり、婚約者でもあるディアモンにある日、「君は運命の相手じゃない」と言われて、一方的に婚約破棄される。
ディアモンは獣人で『運命の番』に出会ってしまったのだ。
突然現れた自称聖女によって、私の人生が狂わされ、婚約破棄され、追放処分されたと思っていましたが、今世だけではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
デュドネという国に生まれたフェリシア・アルマニャックは、公爵家の長女であり、かつて世界を救ったとされる異世界から召喚された聖女の直系の子孫だが、彼女の生まれ育った国では、聖女のことをよく思っていない人たちばかりとなっていて、フェリシア自身も誰にそう教わったわけでもないのに聖女を毛嫌いしていた。
だが、彼女の幼なじみは頑なに聖女を信じていて悪く思うことすら、自分の側にいる時はしないでくれと言う子息で、病弱な彼の側にいる時だけは、その約束をフェリシアは守り続けた。
そんな彼が、隣国に行ってしまうことになり、フェリシアの心の拠り所は、婚約者だけとなったのだが、そこに自称聖女が現れたことでおかしなことになっていくとは思いもしなかった。
転生おばさんは有能な侍女
吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした
え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀?
転生おばさんは忙しい
そして、新しい恋の予感……
てへ
豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる