7 / 28
逃亡
風呂食事女付き
しおりを挟む
「けけけ、実技はいったん休みだ。魔法の仕組みを教えるぞ」
アンジェラもどきが口をがっぽりと開けて説明を始めた。
「一言でいうと、精神力や音を使って分子を振動させ、化学反応を起こすのが魔法だ。お前にはこう説明するとしっくりくるんじゃないか?」
いや、全くしっくりこない。そんなバカなと思うのだが、実際に魔法があるんだから、そういうことなのだろう。
「分子を振動させるのは精神力でも音でもどちらでもいい。お前は音で振動させるとよい。古来から分子を振動させるための歌がある。炎の歌、風の歌、水の歌、土の歌、雷の歌、そして、時の歌だ」
俺は炎の歌から歌ってみた。音程が正確であればあるほど効果が高く、声量が大きければ大きいほど威力が上がるという。
ちなみに炎の歌は「もえもえちゃちゃちゃ」だ。これをずっと繰り返して、着火は精神力で火花を発生させる。
「何だか思ってたのと違うな」
「火の神よ」なんかで始まる格好いい呪文を想像していたのだ。
後で知るのだが、発音はそんなに重要ではなく、大事なのは音程すなわち周波数だ。正しい波長を対象の分子にぶつけることが重要なのだ。
「けけけ、今日はここまでだ。後ろのドアを開けると寝室がある。風呂に入ってから食事をしろ。夜遅くにお前の部屋に行く。一緒に寝るぞ」
アンジェラもどきの口角がニイっと上がる。
「一緒に寝るって、お前とか!?」
俺は素っ頓狂な声を出してしまった。
「けけけ、そんな若い体で一年間も射精しないつもりか。遠慮は要らない。スペシャルサービスだ。毎日私をやっちゃってくれていい」
そうやってあっけらかんと言われると、萎えるかと思ったが、俺はきっちりと反応していた。だが、しばらくおとなしかったマモルの残滓が、必死で抵抗をし始めた。どんどん萎えて行く。
俺はマモルを説得する。
(相手はホムンクルスだ。いわば人形だ。前の前の世界でいうところのダッチワイフだ。マモルの初めてはリサに取っておけばいい)
しかし、マモルはどうしてこんなにリサに一途なのだろうか。ずっとひどい仕打ちを受けて、しかも、今やキースの女だ。理解に苦しむが、恋愛は理屈じゃないからな。
マモルの説得には成功したようだ。元気になってきた。大丈夫だ。行けそうな気がする。俺は英雄だ。やれる機会は相手がホムンクルスだろうと逃さない。
「そうか、では、遠慮しないでやらせてもらう。だが、まずは風呂と食事だな」
俺はアンジェラもどきに示されたドアを開けた。白っぽい修行部屋とは打って変わって、真っ暗な部屋にランプが灯っていた。
テーブルとベッドがあり、奥にガラス張りの浴室が見えた。テーブルの上には料理が並んでいる。
「ハンバーグ!? ライス付!?」
「けけけ、お前の好物を順番に再現してやるから、楽しみにしておけ。じゃあ、また後でな」
あのモモッて魔法使いはいったい何者だ?
俺はゆったりと風呂に浸かり、ハンバーグをペロリと平らげ、アンジェラもどきとベッドインした。
「ゲッゲッゲッ」
その声、やめてくれねえかな……。
アンジェラもどきが口をがっぽりと開けて説明を始めた。
「一言でいうと、精神力や音を使って分子を振動させ、化学反応を起こすのが魔法だ。お前にはこう説明するとしっくりくるんじゃないか?」
いや、全くしっくりこない。そんなバカなと思うのだが、実際に魔法があるんだから、そういうことなのだろう。
「分子を振動させるのは精神力でも音でもどちらでもいい。お前は音で振動させるとよい。古来から分子を振動させるための歌がある。炎の歌、風の歌、水の歌、土の歌、雷の歌、そして、時の歌だ」
俺は炎の歌から歌ってみた。音程が正確であればあるほど効果が高く、声量が大きければ大きいほど威力が上がるという。
ちなみに炎の歌は「もえもえちゃちゃちゃ」だ。これをずっと繰り返して、着火は精神力で火花を発生させる。
「何だか思ってたのと違うな」
「火の神よ」なんかで始まる格好いい呪文を想像していたのだ。
後で知るのだが、発音はそんなに重要ではなく、大事なのは音程すなわち周波数だ。正しい波長を対象の分子にぶつけることが重要なのだ。
「けけけ、今日はここまでだ。後ろのドアを開けると寝室がある。風呂に入ってから食事をしろ。夜遅くにお前の部屋に行く。一緒に寝るぞ」
アンジェラもどきの口角がニイっと上がる。
「一緒に寝るって、お前とか!?」
俺は素っ頓狂な声を出してしまった。
「けけけ、そんな若い体で一年間も射精しないつもりか。遠慮は要らない。スペシャルサービスだ。毎日私をやっちゃってくれていい」
そうやってあっけらかんと言われると、萎えるかと思ったが、俺はきっちりと反応していた。だが、しばらくおとなしかったマモルの残滓が、必死で抵抗をし始めた。どんどん萎えて行く。
俺はマモルを説得する。
(相手はホムンクルスだ。いわば人形だ。前の前の世界でいうところのダッチワイフだ。マモルの初めてはリサに取っておけばいい)
しかし、マモルはどうしてこんなにリサに一途なのだろうか。ずっとひどい仕打ちを受けて、しかも、今やキースの女だ。理解に苦しむが、恋愛は理屈じゃないからな。
マモルの説得には成功したようだ。元気になってきた。大丈夫だ。行けそうな気がする。俺は英雄だ。やれる機会は相手がホムンクルスだろうと逃さない。
「そうか、では、遠慮しないでやらせてもらう。だが、まずは風呂と食事だな」
俺はアンジェラもどきに示されたドアを開けた。白っぽい修行部屋とは打って変わって、真っ暗な部屋にランプが灯っていた。
テーブルとベッドがあり、奥にガラス張りの浴室が見えた。テーブルの上には料理が並んでいる。
「ハンバーグ!? ライス付!?」
「けけけ、お前の好物を順番に再現してやるから、楽しみにしておけ。じゃあ、また後でな」
あのモモッて魔法使いはいったい何者だ?
俺はゆったりと風呂に浸かり、ハンバーグをペロリと平らげ、アンジェラもどきとベッドインした。
「ゲッゲッゲッ」
その声、やめてくれねえかな……。
0
お気に入りに追加
130
あなたにおすすめの小説
私のスローライフはどこに消えた?? 神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!
魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。
なんか旅のお供が増え・・・。
一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。
どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。
R県R市のR大学病院の個室
ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。
ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声
私:[苦しい・・・息が出来ない・・・]
息子A「おふくろ頑張れ・・・」
息子B「おばあちゃん・・・」
息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」
孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」
ピーーーーー
医師「午後14時23分ご臨終です。」
私:[これでやっと楽になれる・・・。]
私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!!
なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、
なぜか攫われて・・・
色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり
事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!!
R15は保険です。
異世界を服従して征く俺の物語!!
ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。
高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。
様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。
なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
素質ナシの転生者、死にかけたら最弱最強の職業となり魔法使いと旅にでる。~趣味で伝説を追っていたら伝説になってしまいました~
シロ鼬
ファンタジー
才能、素質、これさえあれば金も名誉も手に入る現代。そんな中、足掻く一人の……おっさんがいた。
羽佐間 幸信(はざま ゆきのぶ)38歳――完全完璧(パーフェクト)な凡人。自分の中では得意とする持ち前の要領の良さで頑張るが上には常に上がいる。いくら努力しようとも決してそれらに勝つことはできなかった。
華のない彼は華に憧れ、いつしか伝説とつくもの全てを追うようになり……彼はある日、一つの都市伝説を耳にする。
『深夜、山で一人やまびこをするとどこかに連れていかれる』
山頂に登った彼は一心不乱に叫んだ…………そして酸欠になり足を滑らせ滑落、瀕死の状態となった彼に死が迫る。
――こっちに……を、助けて――
「何か……聞こえる…………伝説は……あったんだ…………俺……いくよ……!」
こうして彼は記憶を持ったまま転生、声の主もわからぬまま何事もなく10歳に成長したある日――
お妃さま誕生物語
すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。
小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。
虐げられた武闘派伯爵令嬢は辺境伯と憧れのスローライフ目指して魔獣狩りに勤しみます!~実家から追放されましたが、今最高に幸せです!~
雲井咲穂(くもいさほ)
ファンタジー
「戦う」伯爵令嬢はお好きですか――?
私は、継母が作った借金のせいで、売られる形でこれから辺境伯に嫁ぐことになったそうです。
「お前の居場所なんてない」と継母に実家を追放された伯爵令嬢コーデリア。
多額の借金の肩代わりをしてくれた「魔獣」と怖れられている辺境伯カイルに身売り同然で嫁ぐことに。実母の死、実父の病によって継母と義妹に虐げられて育った彼女には、とある秘密があった。
そんなコーデリアに待ち受けていたのは、聖女に見捨てられた荒廃した領地と魔獣の脅威、そして最凶と恐れられる夫との悲惨な生活――、ではなく。
「今日もひと狩り行こうぜ」的なノリで親しく話しかけてくる朗らかな領民と、彼らに慕われるたくましくも心優しい「旦那様」で??
――義母が放置してくれたおかげで伸び伸びこっそりひっそり、自分で剣と魔法の腕を磨いていてよかったです。
騎士団も唸る腕前を見せる「武闘派」伯爵元令嬢は、辺境伯夫人として、夫婦二人で仲良く楽しく魔獣を狩りながら領地開拓!今日も楽しく脅威を退けながら、スローライフをまったり楽しみま…す?
ーーーーーーーーーーーー
1/13 HOT 42位 ありがとうございました!
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる