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初恋の人
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トーマスが護送車まで案内してくれた。
御者や護衛は礼儀正しく上品な人たちだった。
私を見て、うやうやしく礼をしてくれる。
護送車の中に入ると、最高級の馬車のようだった。
(囚人どころか国賓の扱いだわ)
後ろの席にゆったりと座るようにトーマスから言われた。
トーマスは私の斜め前に座った。
子供のときはよく遊んだが、大人になって再会してからは、ほとんど言葉を交わしていない。
先ほどの会話が本当に久しぶりの長い会話だった。
二人きりになると意識してしまう。
トーマスはずっと私を見ている。
「トーマス様、そんなに見られると、そのう……」
「ああ、ごめん。さっきは難しい話をしていて、あまりエイミーを観察出来なかったから。子供のときの面影を探してたんだ。本当にエイミーかなって」
「私ですっ」
「そうやって表情が変わると、子供のときの面影が出るね。でも、すましているときは、本当にあのエイミーかと思うよ。綺麗になって驚いた」
「自分でもびっくりでしたから。母も姉たちも美人なのにどうして私だけって思ってましたから」
「でも、エイミーのいいところは、中身もいいってところだけどね。マークとはどう?」
「どうって……、仲はいいと思います」
「そうか、それはよかった」
「あのう、フローラは?」
「マークから聞いてない?」
「あの、大嫌いだと……」
「彼女は人の心をもてあそぶ人だから。妻となっても、演技をするんだ。私に好意を持っているのなら、ストレートに出せばいいのにね。そうしてくれていたら、私もフローラを大切に出来たかもしれない。優しくはしたが、大切にはできなかった」
「フローラは死罪なのですか?」
「あ、ごめん。知っているかと思ったけど、よく考えたら、王都からの知らせは私が初めてかな。フローラは私の子を身籠っているから、すぐに死刑執行ではなく、出産後に死刑執行の判決が出たんだ」
「そんな……」
「グロリア伯爵は判決の翌日死刑執行された。フローラはある意味死罪よりも厳しい罪かもしれない」
「助けることは出来ないのでしょうか?」
「エイミーはそう言うと思ったよ。マークが皇太子になるときに恩赦で減刑されるはずだ。でも、フローラはエイミーの殺害計画を立ててたんだよ。それを知って、マークを辺境に封じたんだ」
「なぜですか? 私を殺す動機が分からないです」
「私がエイミーのことを好きだと疑っていたんだ。フローラはよく君の名前を出しては、私の表情を観察していたよ」
「そうなのですか? マークからトーマス様は私に好意を持って頂いていると聞きました」
「そうか。そうなんだよ。私は今でも君が大好きだ。フローラにそれがバレるとまずいから、徹底的に無表情で通したんだ。でも、無表情も表情の一つなんだと思う。恐らくフローラに気づかれてしまったんだと思う」
「トーマス様はどうして私のことがいつまでも好きなんですか?」
「ははは、そういう素直で直球なところかな。悪意のない人だから、普通の人が聞きにくいようなことでも、聞けてしまうし、嫌味にならない。太陽のような人だと初対面のときに思ったよ。エイミーは私の初恋の人なんだ」
私の初恋の人はトーマスだ。
お互い初恋同士だったのに実らなかった恋。
(ああ、何だかキュンキュンしちゃう。マーク助けて。あなたのお兄さん、魅力的すぎるわ)
御者や護衛は礼儀正しく上品な人たちだった。
私を見て、うやうやしく礼をしてくれる。
護送車の中に入ると、最高級の馬車のようだった。
(囚人どころか国賓の扱いだわ)
後ろの席にゆったりと座るようにトーマスから言われた。
トーマスは私の斜め前に座った。
子供のときはよく遊んだが、大人になって再会してからは、ほとんど言葉を交わしていない。
先ほどの会話が本当に久しぶりの長い会話だった。
二人きりになると意識してしまう。
トーマスはずっと私を見ている。
「トーマス様、そんなに見られると、そのう……」
「ああ、ごめん。さっきは難しい話をしていて、あまりエイミーを観察出来なかったから。子供のときの面影を探してたんだ。本当にエイミーかなって」
「私ですっ」
「そうやって表情が変わると、子供のときの面影が出るね。でも、すましているときは、本当にあのエイミーかと思うよ。綺麗になって驚いた」
「自分でもびっくりでしたから。母も姉たちも美人なのにどうして私だけって思ってましたから」
「でも、エイミーのいいところは、中身もいいってところだけどね。マークとはどう?」
「どうって……、仲はいいと思います」
「そうか、それはよかった」
「あのう、フローラは?」
「マークから聞いてない?」
「あの、大嫌いだと……」
「彼女は人の心をもてあそぶ人だから。妻となっても、演技をするんだ。私に好意を持っているのなら、ストレートに出せばいいのにね。そうしてくれていたら、私もフローラを大切に出来たかもしれない。優しくはしたが、大切にはできなかった」
「フローラは死罪なのですか?」
「あ、ごめん。知っているかと思ったけど、よく考えたら、王都からの知らせは私が初めてかな。フローラは私の子を身籠っているから、すぐに死刑執行ではなく、出産後に死刑執行の判決が出たんだ」
「そんな……」
「グロリア伯爵は判決の翌日死刑執行された。フローラはある意味死罪よりも厳しい罪かもしれない」
「助けることは出来ないのでしょうか?」
「エイミーはそう言うと思ったよ。マークが皇太子になるときに恩赦で減刑されるはずだ。でも、フローラはエイミーの殺害計画を立ててたんだよ。それを知って、マークを辺境に封じたんだ」
「なぜですか? 私を殺す動機が分からないです」
「私がエイミーのことを好きだと疑っていたんだ。フローラはよく君の名前を出しては、私の表情を観察していたよ」
「そうなのですか? マークからトーマス様は私に好意を持って頂いていると聞きました」
「そうか。そうなんだよ。私は今でも君が大好きだ。フローラにそれがバレるとまずいから、徹底的に無表情で通したんだ。でも、無表情も表情の一つなんだと思う。恐らくフローラに気づかれてしまったんだと思う」
「トーマス様はどうして私のことがいつまでも好きなんですか?」
「ははは、そういう素直で直球なところかな。悪意のない人だから、普通の人が聞きにくいようなことでも、聞けてしまうし、嫌味にならない。太陽のような人だと初対面のときに思ったよ。エイミーは私の初恋の人なんだ」
私の初恋の人はトーマスだ。
お互い初恋同士だったのに実らなかった恋。
(ああ、何だかキュンキュンしちゃう。マーク助けて。あなたのお兄さん、魅力的すぎるわ)
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