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学園生活

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 婚約発表から数週間が過ぎ、マークが学園に編入して来た。

 私の二つ上の学年だ。

 ちなみにトーマスは私の三つ上で、昨年卒業していることを知った。

 婿探しに学園に入った私としては、目的を達成してしまい、やることがなくなってしまったのだが、マークから卒業したら政務を手伝って欲しいと言われているので、苦手な勉強に改めて取り組んでいる。

「ここは、ほら、繰り上がるでしょう」

「すごい! マークに教えてもらうとすごく分かりやすいわっ」

「エイミーは頭いいんだから、勉強なんて慣れるだけでしょ」

 マーク先生が個人レッスンをしてくれるおかげで、飛躍的に成績が伸び始めた。

 勉強って、簡単なのね。知らなかったわ。

 武道や剣術は元々得意だったから、文武両道のすごい人になったらどうしよう。

 こうやって、私がマークと楽しく学園生活を過ごしているので、フローラがすねていないか心配だったが、問題なかった。

 フローラは学校が終わった後、毎日王宮に通って、王室から花嫁修行の講義を受けているらしい。

 皇太子妃としての修行が大変なのよ、って自慢げに言っていた。

 フローラって、私よりも上にいれば安心みたい。

 父親の爵位はいっしょになったけど、第三王子より第一王子の方が上なので、それで安心しているようだ。

 ドレスの件は王家の結納品ということで納得しているようだ。

 そして何より一番大事なのは、トーマスがフローラを大切にしてくれていることだ。

 フローラは嫉妬や猜疑心が出て来ると危険だが、そうでなければ、自慢話に相槌を打っておけば無害だ。

 だが、フローラの精神を安定させることがなかなか難しいので、本当にフローラの相手は疲れる。

 結婚したら義理の姉になるけど、一生これに付き合うかと思うと、正直うんざりする。

 実は勉強でそろそろフローラを追い抜きそうなのだ。

 フローラはああ見えて、頭も良く勉強もできる。

 学年では常に十位以内に入るトップクラスだ。

 だが、私はこの調子で行くと、一年の終わりには三位以内に入るかもしれない。

 そこで、マークに相談してみた。

「花嫁修行しているから仕方ない、って言えばいいんじゃない?」

「そうね、そうするわ。勉強はマークに教えてもらっているから、成果を見せてお礼したいの」

「お礼ならもうもらっているよ」

「え? 何かしら」

「エイミーといっしょにいる時間が、僕にとっては一番のご褒美なんだ」

「もうマークったら」

 私はこのとびきり頭が良くて、明るく優しく格好いいマークを大好きになっていた。

 フローラにはトーマスが合っているし、私にはマークが合っている。

 色々あったけど、平穏無事に収まるところに収まったわね。

 なんとかこのまま幸せに過ごしていけそう。

 そう思っていたのに、政治がそれを許さない。
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