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初舞台
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「クロ、せっかくだから、二人で成敗しない?」
屋敷を出てすぐにシロが提案して来た。
「そうだな。シロクロ揃っている方がインパクトがあるな。どっちから行く?」
「そうね、まずは子爵の方かしら」
「ふふふ、初舞台にはうってつけだな」
ノリノリの俺たちは子爵邸まで、あっという間に到着した。
超絶魔法の「神走り」という時速二百キロで移動する魔法を使ったのである。
「クロ、うっかり魔力の半分を使ってしまったわ」
「何を言う、シロ。半分は俺の方だ。シロなら四分の一だろうに」
「クロこそ謙遜はよして。クロが四分の一でしょう」
昼飯代をどっちが払うかの押し問答みたいになってきた。
「二人とも半分ということにしよう」
「そうね、キリがないわね」
子爵邸の門番が俺たちのあまりの格好よさに唖然としている。
「何見てるのよ。レイン子爵に取り次いで。そうね、モノクロが来たといえば分かるわよ」
シロは門番が取り次ぐことを疑っていない。
「シロ、さっき出来たばかりのチームだから、子爵には分からないと思うぞ」
「あはは、クロはダメねえ。分からなかったら、それが理由でお仕置き出来るじゃない」
「シロは天才だなっ」
俺たちのやり取りに翻弄されていた門番が仕事を始めた。
門の前で剣を構えたのだ。
「お前たちのような怪しい者を取り次ぐ訳ないだろうっ!」
「そうか、では、死ね」
門番は突然深い眠りに落ち、派手な音を立てながら倒れた。
「あら、クロはスリープの魔法がお上手ね。でも、『死ね』だなんて、眠らせただけじゃない」
「彼は門番として正しい働きをしただけだと思い直し、咄嗟に手加減したのだ。永眠させるには忍びなかった。さすが俺」
「さすがね、クロ。行くわよ」
「モノクロ、見参!!」
俺は玄関の扉を開けて、さっきから考えていたポーズを決めた。
「クロ、ずるいわよ。私も決めるわ」
俺と白は背中を合わせて、お互い胸の前で腕を組み、顔だけ玄関ホールに向けて、ポーズを決めた。
執事とメイド数名がぽかんと口を開けてこちらを見ている。
「く、曲者!」
いち早く我に返った執事が大声を出すと、奥の方からガラの悪い男たちが次々と現れた。
「死になさいっ!」
シロが超絶魔法のソニックウェーブを発した。
脳を超音波で激しく揺さぶり、脳震盪を起こさせる。
護衛たちが何もしないうちに倒れていく。
「メイドには手加減したけど、護衛には容赦しなかったわよ。死にはしないけど、確実に後遺症は残るわ。悪党にはお似合いよ」
俺は頭を抱えてかがみ込んでいる執事の足を蹴飛ばした。
「子爵はどこだ。言わないと、今度は俺がメイドたちに手加減なしで喰らわせるぞ」
執事は震える手でホールの右手を指した。
「お、奥の執務室でございます。どうかメイドたちには御慈悲を……」
「ふん、悪の手先め」
「クロ、あなた鬼畜ね」
「シロがメイドに手加減したのは、脅しに使うためではなかったのか?」
「まあね。悪事で儲けたお金で給金をもらっているという点でメイドも同罪だわ。主人の悪事を知らなかったとしても、それはそれで罪よ」
「執務室は右奥のようだ。いくぞっ」
屋敷を出てすぐにシロが提案して来た。
「そうだな。シロクロ揃っている方がインパクトがあるな。どっちから行く?」
「そうね、まずは子爵の方かしら」
「ふふふ、初舞台にはうってつけだな」
ノリノリの俺たちは子爵邸まで、あっという間に到着した。
超絶魔法の「神走り」という時速二百キロで移動する魔法を使ったのである。
「クロ、うっかり魔力の半分を使ってしまったわ」
「何を言う、シロ。半分は俺の方だ。シロなら四分の一だろうに」
「クロこそ謙遜はよして。クロが四分の一でしょう」
昼飯代をどっちが払うかの押し問答みたいになってきた。
「二人とも半分ということにしよう」
「そうね、キリがないわね」
子爵邸の門番が俺たちのあまりの格好よさに唖然としている。
「何見てるのよ。レイン子爵に取り次いで。そうね、モノクロが来たといえば分かるわよ」
シロは門番が取り次ぐことを疑っていない。
「シロ、さっき出来たばかりのチームだから、子爵には分からないと思うぞ」
「あはは、クロはダメねえ。分からなかったら、それが理由でお仕置き出来るじゃない」
「シロは天才だなっ」
俺たちのやり取りに翻弄されていた門番が仕事を始めた。
門の前で剣を構えたのだ。
「お前たちのような怪しい者を取り次ぐ訳ないだろうっ!」
「そうか、では、死ね」
門番は突然深い眠りに落ち、派手な音を立てながら倒れた。
「あら、クロはスリープの魔法がお上手ね。でも、『死ね』だなんて、眠らせただけじゃない」
「彼は門番として正しい働きをしただけだと思い直し、咄嗟に手加減したのだ。永眠させるには忍びなかった。さすが俺」
「さすがね、クロ。行くわよ」
「モノクロ、見参!!」
俺は玄関の扉を開けて、さっきから考えていたポーズを決めた。
「クロ、ずるいわよ。私も決めるわ」
俺と白は背中を合わせて、お互い胸の前で腕を組み、顔だけ玄関ホールに向けて、ポーズを決めた。
執事とメイド数名がぽかんと口を開けてこちらを見ている。
「く、曲者!」
いち早く我に返った執事が大声を出すと、奥の方からガラの悪い男たちが次々と現れた。
「死になさいっ!」
シロが超絶魔法のソニックウェーブを発した。
脳を超音波で激しく揺さぶり、脳震盪を起こさせる。
護衛たちが何もしないうちに倒れていく。
「メイドには手加減したけど、護衛には容赦しなかったわよ。死にはしないけど、確実に後遺症は残るわ。悪党にはお似合いよ」
俺は頭を抱えてかがみ込んでいる執事の足を蹴飛ばした。
「子爵はどこだ。言わないと、今度は俺がメイドたちに手加減なしで喰らわせるぞ」
執事は震える手でホールの右手を指した。
「お、奥の執務室でございます。どうかメイドたちには御慈悲を……」
「ふん、悪の手先め」
「クロ、あなた鬼畜ね」
「シロがメイドに手加減したのは、脅しに使うためではなかったのか?」
「まあね。悪事で儲けたお金で給金をもらっているという点でメイドも同罪だわ。主人の悪事を知らなかったとしても、それはそれで罪よ」
「執務室は右奥のようだ。いくぞっ」
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