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最終話:帰還します

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 私は王宮に戻って、約束通り、元の世界に帰ることになった。息子のことが気になるからだ。

 カイトは腹が立つ男ではあるが、ユウキにとっては大切な父親だ。種王の仕事がなくなってガックリしているし、連れて帰るしかないだろう。

 私とカイトは最初に召喚された神殿にいて、召喚士たちに囲まれていた。

 ここにくる前に、王とはしばしの別れの挨拶をして来た。

「エリカ様、また一年後にお呼びするということでよろしいでしょうか。恐らくおばばとは世界が違っても念話できるはずですので、いつでもお声がけ下さい」

「そうするわ。次に帰るときは、王様も連れて行くからね。いったん元に戻って、お部屋の掃除とかしないといけないのよ」

「お部屋の掃除ですか。エリカ様が……」

 そんなやり取りがあったとは知らないカイトが、早く帰ろうと私に話しかけて来る。

(本当に鬱陶しいわね、この男は)

 でも、仕方ないから守護してあげよう。

 ほんの一ヶ月に満たない滞在ではあったが、見るもの全てが新鮮で、私はとても楽しかった。こういう人生もあるんだと思った。

 召喚士たちの呪文が終わり、私とカイトは白い光に包まれた。

***

 光が消えたとき、私は懐かしのリビングにいた。

 素っ裸の状態で突然現れた私たち二人をユウキが見て、腰を抜かして驚いている。

 私たちは自宅のリビングに転送されたのだ。

 私の両親もいて、目を見開いている。

「カ、カイトくん、一体どういうつもりだ。その若い女性は……、エリカ!?」

 私は顔を隠しながらすぐにリビングを飛び出して、階段を駆け上り、寝室へと飛び込んだ。

 鏡を見ると、若いときの私のままだ。

「おばば、聞こえる?」

「おお、エリカ様、聞こえますぞ。無事に着かれましたか?」

「ええ、それで、すぐにそっちに私だけ召喚して欲しいのよ。こっちでこの姿で、生活して行けるとは思えないわ」

 私は服を着て、二階の窓から飛び降りて、一目散に駆け出した。

 ユウキはカイトに任せた。私は今までのしがらみを全て捨てる。次にこっちに戻って来るときは、別人として戻って来たい。自分勝手でも何でもいい。人生やり直したい。

 外は夜だった。私は全速力で走っているうちに、白い光に包まれた。
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