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夫婦で召喚されました
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ナイチンゲールに憧れて看護師になった。
医者と付き合うのに飽きて、普通の会社員と結婚して、三年後に息子を出産した。
別段子供が欲しかったわけではないのだが、夫のカイトが「家事育児は俺に任せとけ」と言うし、せっかく授かった命なので産んでみることにした。
出産の痛さに耐えきれず、出るもの全部出しても出て欲しいものは出ず、途中で無痛分娩にして欲しいと担当医に泣いてすがって、やっとのことで産んだのだが、この地獄の苦しみを私が味わっていたとき、カイトは海外出張中だった。
苦労して産んだ子供ではあったが、どう贔屓目に見ても、猿にしか見えず、ちっとも可愛くないと思った。こんなに愛情がなくて、果たして育てて行けるだろうか、と非常に不安だった。
赤ん坊時代は、とにかく耐える毎日だった。カイトは会社に出ていて、私は産休で家にいて、一人で育児をしていると、涙がポロポロ出て来た。カイトは全く家事育児をしなかった。騙されたと思った。
ネットで「育児 辛い」を検索して、地獄を味わっている仲間の話を探しまくっていた毎日だっだが、三歳くらいから息子が猿から脱却し、ようやく人間らしくなって来て、可愛いいと思えるようになって来た。
子育てが楽しくなって来て、私は息子の教育に燃えた。英語を話す幼稚園に入れ、ピアノを習わせ、水泳とサッカーをさせて、公文を始めた。カイトは習い事の送り迎えを車でするだけだった。
あまり人付き合いが上手でない私は、ママ友との付き合いが苦痛だったが、息子が友達と遊べるように、頑張ってママたちの輪に加わった。しかし、カイトはろくに挨拶もしなかった。
小学校は苦労して私立に入れた。学費は私の貯金と実家からの援助でまかなった。カイトは公立でいいと言い張って、教育費は一切出さなかった。
こいつ、本当に使えない。お金を出さないなら、せめて肉体労働で貢献して欲しいわ。
「カイト、もっと手伝ってよ」
「送り迎えしているじゃないか。あとゴミ捨てと、食器洗いも」
「それ、家事と育児のうちの何パーセント?」
「多分二十四時間のうちの一時間ぐらいかな」
(自覚はあるのね)
「もっとやれることあるでしょう」
「何をしていいのか分からないから、言ってくれ。言ってくれればやるから」
「言わなくてもやって欲しいのよ」
「それは無理だ。家事と育児って、何をすればいいのか分からないんだ」
(アホなの? 仕事ができない部下と同じだわ。疲れる…。)
そんな息子も、中学生になり、私の言うことを全く聞かなくなった。
小学生のころ、あんなに可愛いかった息子が、急に背が伸び、声変わりして、私と口を聞かなくなってしまった。
仕事と子育ての両立で、日々忙殺されていた怒涛の小学生時代ではあったが、私は息子と一緒に習い事に行ったり、学校の行事に参加したりして、毎日がそれなりに楽しかった。
そんな時期が気がついたら終わってしまっていた。気が抜けたような日々を過ごしていた私に、夫のカイトが何を思ったのか、突然迫って来た。
「なあ、久しぶりにしないか?」
「は?」
何を思ったのか、夜のベッドで私の体を触ってくる。
「ちょっと、やめてよ」
「このままだと一生セックスレスだぞ」
「むしろそうなりたいんだけど……」
しかし、カイトは構わず抱きついて来た。
私はもうカイトのことは、嫌いですらない。子供がいるから、離婚しないでいてあげているのだ。この男にはそういう状況が、全く分かっていないようだ。
「鬱陶しいから、あっち行ってよ」
カイトはまだ諦めないで、私に覆い被さって来る。こいつ、しつこい。というか、これは合意がないから犯罪ではないか。
何て惨めな結婚生活なんだろう。あそこを蹴飛ばしてやろうかと思った瞬間、私たちは白い光に包まれた。
何が起きているのか分からないうちに白い光は消えた。すると、寝室にいたはずの私たちは、薄暗い床の間にいた。神社のお堂のような雰囲気の場所だ。
「痛っ」
カイトも気がついたようだ。
私に覆い被さろうと、四つん這いになっていたカイトの膝は、ベッドではなく、床についていた。床の上でのこの体制は、さぞかし膝が痛いであろう。カイトはさすがに諦めて、立ち上がった。
私も起き上がって、周りを見回した。目が暗さに慣れてくると、周囲を黒装束の人たちに囲まれていることに気づいた。しかも、私たちはなぜか素っ裸だ。私はシャツと短パンを着ていたはずなのに、今は下着すら着けていない。
「っ」
私は悲鳴を抑えて、裸を出来るだけ見られないように丸まった。
女性らしき人影が一人近づいて来て、私たちにガウンのようなものをかけてくれた。
「どうなっているの?」
答えを期待して発した言葉ではなかった。分かるはずがないからだ。だからカイトから答えが返って来て驚いた。
「恐らく異世界召喚だろう。ほら、ラノベによくあるやつ」
ラノベと言われても私にはさっぱり謎だが、別の世界に連れて来られたということか。ターミネーターが素っ裸で未来から来るのと似ているかも。
「説明があるようだぞ」
カイトが落ち着いていることにも驚いた。いつも使えないくせにこんなときだけ堂々として、全くアホとしか思えない。カイトの視線の先を追うと、黒装束の輪が解かれて、こちらに歩いてくる人影が見えた。
黒装束たちがランプのようなものに灯りをともした。私たちの目の前の人物の姿がよく見えるようになった。
(子供?)
息子と同じ中学生ぐらいの女の子だった。
「ようこそ、アルタリアへ」
少女は初めて聞く発音の外国語を話した。だが、何故か私には理解できた。カイトを見ると、彼には理解できていないようだった。私は少女の方に視線を戻した。
「私どもの勝手な都合でお二人を召喚したことをまずはお詫びします。私はこの国の王のゲツと申します」
王? この少女が? 金髪碧眼の西洋人のような容姿の綺麗な女の子だ。
「私はサトウエリカ、こちらはカイトよ」
とりあえず自己紹介したが、丁寧語で話さないのは、王の勝手な都合で召喚されて、私は怒っているからだ。
カイトは私がこの世界の言葉を話していることに驚いている。私だって驚いているのだが。
「お呼びだてしたのは、お二人に我が国を救って頂きたいからです」
(私たち、ただのアラフォー夫婦よ。頼む相手が間違っているんじゃ……?)
私たちが黙っていると、王は話を続けた。
「世界を転移すると、体内に変化が生じます。エリカ様が我々の言葉を理解し、話すことができるのも、その変化の一つです。エリカ様にはその他にも数々の力が備わったはずですが、その話は後ほどさせて頂くとして、まずは、カイト様に我々の種王になって頂きます」
「たねおう?」
私は嫌な予感がした。
「はい。毎日、生殖活動に勤しんで頂きたいのです。我が国は十年前、隣国のエルフ王の大呪術によって、男性が全員女性に変えられてしまいました。このままでは子供ができず、我々は滅亡してしまいます。そのため、生殖能力が盛んな男性を召喚したのです」
「それがカイトってこと?」
「そうです。私どもと子を成すことができ、かつ、異世界転移に耐える因子を持つ人間の住むあなた方の世界から、やっとのことで召喚を成功させました」
「ちょっと待って。カイトは私の夫よ。そんなことを妻の私が許すわけないでしょう。別の独身の男を召喚して」
私はカイトが他の女とすることが嫌なのではなかった。それ自体には自分でも驚くほど抵抗がない。見ず知らずの女が、形だけとはいえ私の夫である男を好き勝手にすることが気に食わないだけだ。
「召喚はそんなに簡単ではありません。成功したのは、この十年間であなた方だけです。でも、仕方ありません。独身の男ですね。エリカ様のご子息を召喚することに致しましょう。上手くいけば成功しますが、転移中に命を落とすことがほとんどです。召喚しますか?」
「やめてっ。脅すつもりなの!?」
「そんなつもりはないです。エリカさんご自身が、独身男を召喚しろと仰ったのですよ」
この王、子供だと思って舐めてはいけないようだ。
「分かったわ。カイトに言う通りにさせるから、息子は召喚しないで。でも、まさかあなたとするの? あなた、まだ子供でしょう?」
「私は呪いで女にされました。本来は男ですので、子供は作れません。歳は二十歳です。我々はあなた方よりも長命ですので、年齢と見た目があなた方の感覚とは異なるようです。カイト様には、子供を欲している女性たちに種付けをお願いします」
「毎日するの?」
「はい、一日最低でも二回はお願いします」
カイトの顔を私と王が見ているので、自分のことを話しているのだと思ったようだ。カイトが私に話しかけて来た。
「エリカ、なぜお前はこっちの言葉が話せるんだ? それで、なんて言ってるんだ?」
私はカイトに説明した。容姿や年齢がさまざまな子供を欲する見知らぬ女性たちを相手に、毎日するのだ。こういうのって、男はどういう気持ちなのだろう。カイトは微妙な表情をして、黙ってしまった。
(神妙な顔つきをして誤魔化しているけど、ちょっとニヤついているわね)
「人類のためだ。仕方あるまい」
カイトが格好つけて何か言っている。
(こいつ、本当にムカつくわ。放っておこう)
私は王に向き直った。
「カイトはせっせと子作りするとして、私は何をするの?」
「我々がエルフ王に会って、呪いを解いてもらうための支援をお願いしたいのです」
「単なる一般人の私が?」
私はただの看護師だ。もちろん呪いを解いたことなどない。どう支援しろというのか。
「転移によって、どんな力を得られたのかを確認して、作戦を練ります。こちらにいらして下さい」
カイトは早速お仕事のようだ。黒装束の女性に連れて行かれようとしている。カイトが本当にいいのかという目をして私を見てくるが、好き勝手に楽しめばいい。私はカイトを無視して、王の後に続いた。
医者と付き合うのに飽きて、普通の会社員と結婚して、三年後に息子を出産した。
別段子供が欲しかったわけではないのだが、夫のカイトが「家事育児は俺に任せとけ」と言うし、せっかく授かった命なので産んでみることにした。
出産の痛さに耐えきれず、出るもの全部出しても出て欲しいものは出ず、途中で無痛分娩にして欲しいと担当医に泣いてすがって、やっとのことで産んだのだが、この地獄の苦しみを私が味わっていたとき、カイトは海外出張中だった。
苦労して産んだ子供ではあったが、どう贔屓目に見ても、猿にしか見えず、ちっとも可愛くないと思った。こんなに愛情がなくて、果たして育てて行けるだろうか、と非常に不安だった。
赤ん坊時代は、とにかく耐える毎日だった。カイトは会社に出ていて、私は産休で家にいて、一人で育児をしていると、涙がポロポロ出て来た。カイトは全く家事育児をしなかった。騙されたと思った。
ネットで「育児 辛い」を検索して、地獄を味わっている仲間の話を探しまくっていた毎日だっだが、三歳くらいから息子が猿から脱却し、ようやく人間らしくなって来て、可愛いいと思えるようになって来た。
子育てが楽しくなって来て、私は息子の教育に燃えた。英語を話す幼稚園に入れ、ピアノを習わせ、水泳とサッカーをさせて、公文を始めた。カイトは習い事の送り迎えを車でするだけだった。
あまり人付き合いが上手でない私は、ママ友との付き合いが苦痛だったが、息子が友達と遊べるように、頑張ってママたちの輪に加わった。しかし、カイトはろくに挨拶もしなかった。
小学校は苦労して私立に入れた。学費は私の貯金と実家からの援助でまかなった。カイトは公立でいいと言い張って、教育費は一切出さなかった。
こいつ、本当に使えない。お金を出さないなら、せめて肉体労働で貢献して欲しいわ。
「カイト、もっと手伝ってよ」
「送り迎えしているじゃないか。あとゴミ捨てと、食器洗いも」
「それ、家事と育児のうちの何パーセント?」
「多分二十四時間のうちの一時間ぐらいかな」
(自覚はあるのね)
「もっとやれることあるでしょう」
「何をしていいのか分からないから、言ってくれ。言ってくれればやるから」
「言わなくてもやって欲しいのよ」
「それは無理だ。家事と育児って、何をすればいいのか分からないんだ」
(アホなの? 仕事ができない部下と同じだわ。疲れる…。)
そんな息子も、中学生になり、私の言うことを全く聞かなくなった。
小学生のころ、あんなに可愛いかった息子が、急に背が伸び、声変わりして、私と口を聞かなくなってしまった。
仕事と子育ての両立で、日々忙殺されていた怒涛の小学生時代ではあったが、私は息子と一緒に習い事に行ったり、学校の行事に参加したりして、毎日がそれなりに楽しかった。
そんな時期が気がついたら終わってしまっていた。気が抜けたような日々を過ごしていた私に、夫のカイトが何を思ったのか、突然迫って来た。
「なあ、久しぶりにしないか?」
「は?」
何を思ったのか、夜のベッドで私の体を触ってくる。
「ちょっと、やめてよ」
「このままだと一生セックスレスだぞ」
「むしろそうなりたいんだけど……」
しかし、カイトは構わず抱きついて来た。
私はもうカイトのことは、嫌いですらない。子供がいるから、離婚しないでいてあげているのだ。この男にはそういう状況が、全く分かっていないようだ。
「鬱陶しいから、あっち行ってよ」
カイトはまだ諦めないで、私に覆い被さって来る。こいつ、しつこい。というか、これは合意がないから犯罪ではないか。
何て惨めな結婚生活なんだろう。あそこを蹴飛ばしてやろうかと思った瞬間、私たちは白い光に包まれた。
何が起きているのか分からないうちに白い光は消えた。すると、寝室にいたはずの私たちは、薄暗い床の間にいた。神社のお堂のような雰囲気の場所だ。
「痛っ」
カイトも気がついたようだ。
私に覆い被さろうと、四つん這いになっていたカイトの膝は、ベッドではなく、床についていた。床の上でのこの体制は、さぞかし膝が痛いであろう。カイトはさすがに諦めて、立ち上がった。
私も起き上がって、周りを見回した。目が暗さに慣れてくると、周囲を黒装束の人たちに囲まれていることに気づいた。しかも、私たちはなぜか素っ裸だ。私はシャツと短パンを着ていたはずなのに、今は下着すら着けていない。
「っ」
私は悲鳴を抑えて、裸を出来るだけ見られないように丸まった。
女性らしき人影が一人近づいて来て、私たちにガウンのようなものをかけてくれた。
「どうなっているの?」
答えを期待して発した言葉ではなかった。分かるはずがないからだ。だからカイトから答えが返って来て驚いた。
「恐らく異世界召喚だろう。ほら、ラノベによくあるやつ」
ラノベと言われても私にはさっぱり謎だが、別の世界に連れて来られたということか。ターミネーターが素っ裸で未来から来るのと似ているかも。
「説明があるようだぞ」
カイトが落ち着いていることにも驚いた。いつも使えないくせにこんなときだけ堂々として、全くアホとしか思えない。カイトの視線の先を追うと、黒装束の輪が解かれて、こちらに歩いてくる人影が見えた。
黒装束たちがランプのようなものに灯りをともした。私たちの目の前の人物の姿がよく見えるようになった。
(子供?)
息子と同じ中学生ぐらいの女の子だった。
「ようこそ、アルタリアへ」
少女は初めて聞く発音の外国語を話した。だが、何故か私には理解できた。カイトを見ると、彼には理解できていないようだった。私は少女の方に視線を戻した。
「私どもの勝手な都合でお二人を召喚したことをまずはお詫びします。私はこの国の王のゲツと申します」
王? この少女が? 金髪碧眼の西洋人のような容姿の綺麗な女の子だ。
「私はサトウエリカ、こちらはカイトよ」
とりあえず自己紹介したが、丁寧語で話さないのは、王の勝手な都合で召喚されて、私は怒っているからだ。
カイトは私がこの世界の言葉を話していることに驚いている。私だって驚いているのだが。
「お呼びだてしたのは、お二人に我が国を救って頂きたいからです」
(私たち、ただのアラフォー夫婦よ。頼む相手が間違っているんじゃ……?)
私たちが黙っていると、王は話を続けた。
「世界を転移すると、体内に変化が生じます。エリカ様が我々の言葉を理解し、話すことができるのも、その変化の一つです。エリカ様にはその他にも数々の力が備わったはずですが、その話は後ほどさせて頂くとして、まずは、カイト様に我々の種王になって頂きます」
「たねおう?」
私は嫌な予感がした。
「はい。毎日、生殖活動に勤しんで頂きたいのです。我が国は十年前、隣国のエルフ王の大呪術によって、男性が全員女性に変えられてしまいました。このままでは子供ができず、我々は滅亡してしまいます。そのため、生殖能力が盛んな男性を召喚したのです」
「それがカイトってこと?」
「そうです。私どもと子を成すことができ、かつ、異世界転移に耐える因子を持つ人間の住むあなた方の世界から、やっとのことで召喚を成功させました」
「ちょっと待って。カイトは私の夫よ。そんなことを妻の私が許すわけないでしょう。別の独身の男を召喚して」
私はカイトが他の女とすることが嫌なのではなかった。それ自体には自分でも驚くほど抵抗がない。見ず知らずの女が、形だけとはいえ私の夫である男を好き勝手にすることが気に食わないだけだ。
「召喚はそんなに簡単ではありません。成功したのは、この十年間であなた方だけです。でも、仕方ありません。独身の男ですね。エリカ様のご子息を召喚することに致しましょう。上手くいけば成功しますが、転移中に命を落とすことがほとんどです。召喚しますか?」
「やめてっ。脅すつもりなの!?」
「そんなつもりはないです。エリカさんご自身が、独身男を召喚しろと仰ったのですよ」
この王、子供だと思って舐めてはいけないようだ。
「分かったわ。カイトに言う通りにさせるから、息子は召喚しないで。でも、まさかあなたとするの? あなた、まだ子供でしょう?」
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「毎日するの?」
「はい、一日最低でも二回はお願いします」
カイトの顔を私と王が見ているので、自分のことを話しているのだと思ったようだ。カイトが私に話しかけて来た。
「エリカ、なぜお前はこっちの言葉が話せるんだ? それで、なんて言ってるんだ?」
私はカイトに説明した。容姿や年齢がさまざまな子供を欲する見知らぬ女性たちを相手に、毎日するのだ。こういうのって、男はどういう気持ちなのだろう。カイトは微妙な表情をして、黙ってしまった。
(神妙な顔つきをして誤魔化しているけど、ちょっとニヤついているわね)
「人類のためだ。仕方あるまい」
カイトが格好つけて何か言っている。
(こいつ、本当にムカつくわ。放っておこう)
私は王に向き直った。
「カイトはせっせと子作りするとして、私は何をするの?」
「我々がエルフ王に会って、呪いを解いてもらうための支援をお願いしたいのです」
「単なる一般人の私が?」
私はただの看護師だ。もちろん呪いを解いたことなどない。どう支援しろというのか。
「転移によって、どんな力を得られたのかを確認して、作戦を練ります。こちらにいらして下さい」
カイトは早速お仕事のようだ。黒装束の女性に連れて行かれようとしている。カイトが本当にいいのかという目をして私を見てくるが、好き勝手に楽しめばいい。私はカイトを無視して、王の後に続いた。
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