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2章:セントフィリアの冒険
28話.フェルミナの冒険⑦ : 海の底へ
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毎晩ルナと英雄譚を読み、語り合う。
そんな日々を過ごしているうちにいつしか私は人間が好きになった。
人間に憧れた。
人間はすごい。
身体能力では私たち魔獣の足元にも及ばないはずなのに、技術と知恵と工夫、気持ちの強さで私達と互角以上に渡り合ってる。
だから、私は人間を真似して強くなった。
◇
「す、すげぇ」
「えっぐ」
「マジで何者なんだよ」
その瞬間。冒険者達の視点は切れた蛸足の一点に釘付けになった。
巨木のように太く、魔法でも碌な傷をつけられないあの硬いクラーケンの蛸足を一太刀で両断したのだ。
しかも、リアだけでなくフェルミも。
リアさんと互角ってマジだったんだな、と誰かがつぶやいた。
蛸足は一旦全て水中へと戻っていく。
「どうしたんだ?」
「クラーケンも想定外だったんだろ。立て直すために引いただけだ。また来るぞ!全員気を抜くな!」
冒険者達は素早く状況を判断し、各々がすべきことを実行している。
この手際の良さはさすがA級冒険者と言ったところね。
海面が小波を立てている。
だが、船はピクリとも動かなかった。
なんとも不気味な静寂だ。
だがその静かな時間は一瞬で終わる。
初めの襲撃ではノロノロと蛸足が這うように船の表面を上り、コッソリと船に侵入してきた。
だが今度は違う。
クラーケンは8本の蛸足を船の船体に突き刺すようにぶつけて、足を船の中に侵入させた。
何人かの冒険者たちはその勢いで吹き飛ばされて、悲鳴を上げた。
「ヒール部隊!」
リアが呼んだのは、冒険者の中でもヒールという回復系魔法を得意とする部隊だ。
ヒールの使い手を集めた急拵えの舞台だが、その割に連携がよく取れている。
彼らはリアの命令に呼応し、先程の攻撃で吹き飛ばされた冒険者達の回復に向かう。
ヒール部隊が冒険差にヒールの魔法を唱え、致命傷を負った何人かの冒険者は
一命をとりとめた。
だが、そのヒール部隊の1人を蛸足が捉えようと襲う。
危ないっ!
急いでそちらに駆け寄り、私は剣を振るった。
リアも駆け寄り、同様に剣を振るう。
私とリア剣の軌道がクロスし、クラーケンの蛸足が十字の形で切れ落ちた。
「フェルちゃん被ってるわよ!」
「どうにも私たち、気が合うわね」
私は、リアの方に振り返って言った。
「けど、これじゃ意味がないわ。勝負も作戦も。フェルちゃん別の方行けないの?」
「私こっちがいいからリア向こうよろしくね」
「嫌よ!私がこっち」
「なんの争いですかっ!?」
私たちの無意味な争いにユウという少年が突っ込みを入れる。
彼の突っ込みで何故かムキになっている自分に気がついた。
嫌だわ。勝負になると熱中しすぎちゃうのが私の悪い癖ね。
一度僅かながらにも敗北感を覚えたからか、どうにもリアには負けたくないのよね。
だからと言って、別にリアに対して悪い感情はこれっぽっちも抱いていない。
寧ろ爽やかなライバル関係のようなものだと思っているけど。
とはいえ、あくまで勝負よりもクラーケン討伐を優先すべきだ。
私は思考を切り替え、別の蛸の足に向かって突撃する。
蛸足がこちらを警戒し、蛇のようにその足を唸らせ、交戦の構えを取った。
あら?目もないのにこっちが見えてるのかしら?この触手は。
熱か、魔力か、気配か?
何かしらの方法で私の動きを見極めてるのね。
何にせよ目以外で感知しているということは、死角がないということ。
厄介ね…
冒険者達にとっては。
蛸足がクネクネと変速的に襲ってくるも、私はその動きを見切り、最少の動きでかわす。そして、蛸足の懐に飛び込み、一太刀。
力任せに剣を振っただけだが、クラーケンの蛸足はバターのように、簡単に切れ落ちる。
何人かがまた私の方に注目している視線を感じた。
とはいえ、私がこうも簡単にクラーケンの足を切り落とせている理由は
私に剣の腕があるからではない。
リアにも言ったように私には剣の経験も技術もないが、魔獣ならではの膨大なMPがあるのだ。
本来人間が魔法を使うためのエネルギー。それがMPだ。
だが、人間だけでなく魔獣もMPを持っている。しかもその総量は魔獣の方が多い傾向にある。ましてや、私達魔獣四王クラスになると、MPの量は絶大だ。
そして、MPとは便利なもので魔法に使うだけではなく、肉体や武器に付与し攻撃力をあげるエネルギーにだってできる。
だから、剣の素人の私でも剣に大量のMPを流し込むことでクラーケンの腕を切り落とせるのだ。
さて、次は。
辺りを見回すと、新たな蛸足が船内に侵入し、冒険者の集団を襲っていた。
助けないと。
救援のためそちらに向かおうとする。
ふとリアの方に目をやると、リアも襲われている冒険者達の動向を見ていた。
だが、一瞥だけして、すぐに別の蛸足の対処に向かっている。
どういうつもりかしら?
「はああああっ!」
冒険者達を襲う蛸足をユウと名乗る少年が受け止めた。
本来人間に受け止められる威力の攻撃ではないが、ユウはクラーケンの一撃を受け流すことで抑えようとしているようだ。
「うわぁっ!」
しかし、受け止めきれずに彼は吹き飛ばされた。
だが、一瞬はクラーケンの蛸足を止めることに成功した。
それで十分だったのだ。
「おりゃああ」
10人ほどの大きな体をした冒険者達が蛸足が止まった瞬間に狙いを定めて、一斉に剣でクラーケンの蛸足を突き刺した。
堪らずもがこうとする蛸足を、冒険者達は必死に抑えようとしている。
近くに居合わせた5人ほどの魔法使いが、バフの魔法をかける。
その魔法で冒険者たちの力と防御力が向上することによって、なんとか抑えられているようだ。
だが、彼ら5人もすぐに吹き飛ばされてしまう。
それでもかなり大きなスキができた。
冒険者達はその隙を決して逃さない。
立ち上がったユウが赤のポーションを飲んだ。
赤のポーションは、筋力の向上効果があり、その効力でユウの攻撃力は一気に向上した。
さらに5人の魔法使いが、一斉にユウにバフ魔法をかけた。
ポーションの効力とバフ魔法による二重の能力底上げで、ユウの身体能力はうなぎ上りだ。
「はああああああ」
ユウが飛び上がり、クラーケンの蛸足に斬りかかる。
その一撃はいとも簡単にクラーケンの足を根本から切断する。
作戦会議の時に、船に乗り込むのはバフ(能力値を向上させる魔法)をメインに使う魔法使いとヒーラー部隊。それと剣士をメインで乗せるとは聞いていた。
とはいえ、彼らがクラーケンに太刀打ちできるかどうかは半信半疑だった。
けど上出来ね。
「やるわね!」
流石人間。
リアはこの結果が分かってたってことね。おかげで勝負の方は少し出遅れたわ。
リアの方を見ると、彼女は既に別の蛸足を切り落としていた。
「やられたわ。私も彼らに任せて別の足を落とせばよかった」
すでに、私とリアが2本、私だけで1本、さっきの冒険者たちが1本、今私がモタモタしてた間にリアが1本。
合計5本の蛸足が切り落とされていた。
ここまでは順調みたいね。
けど計画通りならそろそろクラーケンが動くはず。
「頃合いかしら」
だがちょうど作戦の想定を思い返したその時、ミシミシと船体が軋む音がした。
そして、バギィとデカい音がして、船底が握りつぶされた。
たちまち船が海に沈み始める。
だがその僅かな時間。
私達が抗うための猶予とも呼べる時間をただ待っているクラーケンではない。
クラーケンは沈み始めた船体を蛸足で掴み、そのまま海へと引き摺り込んだのだった。
___________________________
読んでくださり、ありがとうございます。
先週は休載になってしまってすみません<(_ _)>
面白かったらお気に入り登録お願いします。
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人間に憧れた。
人間はすごい。
身体能力では私たち魔獣の足元にも及ばないはずなのに、技術と知恵と工夫、気持ちの強さで私達と互角以上に渡り合ってる。
だから、私は人間を真似して強くなった。
◇
「す、すげぇ」
「えっぐ」
「マジで何者なんだよ」
その瞬間。冒険者達の視点は切れた蛸足の一点に釘付けになった。
巨木のように太く、魔法でも碌な傷をつけられないあの硬いクラーケンの蛸足を一太刀で両断したのだ。
しかも、リアだけでなくフェルミも。
リアさんと互角ってマジだったんだな、と誰かがつぶやいた。
蛸足は一旦全て水中へと戻っていく。
「どうしたんだ?」
「クラーケンも想定外だったんだろ。立て直すために引いただけだ。また来るぞ!全員気を抜くな!」
冒険者達は素早く状況を判断し、各々がすべきことを実行している。
この手際の良さはさすがA級冒険者と言ったところね。
海面が小波を立てている。
だが、船はピクリとも動かなかった。
なんとも不気味な静寂だ。
だがその静かな時間は一瞬で終わる。
初めの襲撃ではノロノロと蛸足が這うように船の表面を上り、コッソリと船に侵入してきた。
だが今度は違う。
クラーケンは8本の蛸足を船の船体に突き刺すようにぶつけて、足を船の中に侵入させた。
何人かの冒険者たちはその勢いで吹き飛ばされて、悲鳴を上げた。
「ヒール部隊!」
リアが呼んだのは、冒険者の中でもヒールという回復系魔法を得意とする部隊だ。
ヒールの使い手を集めた急拵えの舞台だが、その割に連携がよく取れている。
彼らはリアの命令に呼応し、先程の攻撃で吹き飛ばされた冒険者達の回復に向かう。
ヒール部隊が冒険差にヒールの魔法を唱え、致命傷を負った何人かの冒険者は
一命をとりとめた。
だが、そのヒール部隊の1人を蛸足が捉えようと襲う。
危ないっ!
急いでそちらに駆け寄り、私は剣を振るった。
リアも駆け寄り、同様に剣を振るう。
私とリア剣の軌道がクロスし、クラーケンの蛸足が十字の形で切れ落ちた。
「フェルちゃん被ってるわよ!」
「どうにも私たち、気が合うわね」
私は、リアの方に振り返って言った。
「けど、これじゃ意味がないわ。勝負も作戦も。フェルちゃん別の方行けないの?」
「私こっちがいいからリア向こうよろしくね」
「嫌よ!私がこっち」
「なんの争いですかっ!?」
私たちの無意味な争いにユウという少年が突っ込みを入れる。
彼の突っ込みで何故かムキになっている自分に気がついた。
嫌だわ。勝負になると熱中しすぎちゃうのが私の悪い癖ね。
一度僅かながらにも敗北感を覚えたからか、どうにもリアには負けたくないのよね。
だからと言って、別にリアに対して悪い感情はこれっぽっちも抱いていない。
寧ろ爽やかなライバル関係のようなものだと思っているけど。
とはいえ、あくまで勝負よりもクラーケン討伐を優先すべきだ。
私は思考を切り替え、別の蛸の足に向かって突撃する。
蛸足がこちらを警戒し、蛇のようにその足を唸らせ、交戦の構えを取った。
あら?目もないのにこっちが見えてるのかしら?この触手は。
熱か、魔力か、気配か?
何かしらの方法で私の動きを見極めてるのね。
何にせよ目以外で感知しているということは、死角がないということ。
厄介ね…
冒険者達にとっては。
蛸足がクネクネと変速的に襲ってくるも、私はその動きを見切り、最少の動きでかわす。そして、蛸足の懐に飛び込み、一太刀。
力任せに剣を振っただけだが、クラーケンの蛸足はバターのように、簡単に切れ落ちる。
何人かがまた私の方に注目している視線を感じた。
とはいえ、私がこうも簡単にクラーケンの足を切り落とせている理由は
私に剣の腕があるからではない。
リアにも言ったように私には剣の経験も技術もないが、魔獣ならではの膨大なMPがあるのだ。
本来人間が魔法を使うためのエネルギー。それがMPだ。
だが、人間だけでなく魔獣もMPを持っている。しかもその総量は魔獣の方が多い傾向にある。ましてや、私達魔獣四王クラスになると、MPの量は絶大だ。
そして、MPとは便利なもので魔法に使うだけではなく、肉体や武器に付与し攻撃力をあげるエネルギーにだってできる。
だから、剣の素人の私でも剣に大量のMPを流し込むことでクラーケンの腕を切り落とせるのだ。
さて、次は。
辺りを見回すと、新たな蛸足が船内に侵入し、冒険者の集団を襲っていた。
助けないと。
救援のためそちらに向かおうとする。
ふとリアの方に目をやると、リアも襲われている冒険者達の動向を見ていた。
だが、一瞥だけして、すぐに別の蛸足の対処に向かっている。
どういうつもりかしら?
「はああああっ!」
冒険者達を襲う蛸足をユウと名乗る少年が受け止めた。
本来人間に受け止められる威力の攻撃ではないが、ユウはクラーケンの一撃を受け流すことで抑えようとしているようだ。
「うわぁっ!」
しかし、受け止めきれずに彼は吹き飛ばされた。
だが、一瞬はクラーケンの蛸足を止めることに成功した。
それで十分だったのだ。
「おりゃああ」
10人ほどの大きな体をした冒険者達が蛸足が止まった瞬間に狙いを定めて、一斉に剣でクラーケンの蛸足を突き刺した。
堪らずもがこうとする蛸足を、冒険者達は必死に抑えようとしている。
近くに居合わせた5人ほどの魔法使いが、バフの魔法をかける。
その魔法で冒険者たちの力と防御力が向上することによって、なんとか抑えられているようだ。
だが、彼ら5人もすぐに吹き飛ばされてしまう。
それでもかなり大きなスキができた。
冒険者達はその隙を決して逃さない。
立ち上がったユウが赤のポーションを飲んだ。
赤のポーションは、筋力の向上効果があり、その効力でユウの攻撃力は一気に向上した。
さらに5人の魔法使いが、一斉にユウにバフ魔法をかけた。
ポーションの効力とバフ魔法による二重の能力底上げで、ユウの身体能力はうなぎ上りだ。
「はああああああ」
ユウが飛び上がり、クラーケンの蛸足に斬りかかる。
その一撃はいとも簡単にクラーケンの足を根本から切断する。
作戦会議の時に、船に乗り込むのはバフ(能力値を向上させる魔法)をメインに使う魔法使いとヒーラー部隊。それと剣士をメインで乗せるとは聞いていた。
とはいえ、彼らがクラーケンに太刀打ちできるかどうかは半信半疑だった。
けど上出来ね。
「やるわね!」
流石人間。
リアはこの結果が分かってたってことね。おかげで勝負の方は少し出遅れたわ。
リアの方を見ると、彼女は既に別の蛸足を切り落としていた。
「やられたわ。私も彼らに任せて別の足を落とせばよかった」
すでに、私とリアが2本、私だけで1本、さっきの冒険者たちが1本、今私がモタモタしてた間にリアが1本。
合計5本の蛸足が切り落とされていた。
ここまでは順調みたいね。
けど計画通りならそろそろクラーケンが動くはず。
「頃合いかしら」
だがちょうど作戦の想定を思い返したその時、ミシミシと船体が軋む音がした。
そして、バギィとデカい音がして、船底が握りつぶされた。
たちまち船が海に沈み始める。
だがその僅かな時間。
私達が抗うための猶予とも呼べる時間をただ待っているクラーケンではない。
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