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65  チーズ

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ガタゴトと馬車に揺られながら、ジークと登校する。

「今朝のチーズオムレツ、美味しかったな。」

ジークが朝食に出されたチーズオムレツを思い出したのか

ほわほわとした顔をしている。

食事をしている時のジークはいつも幸せそうだ。

ハムスターのようだ。

ハムスターって、ご飯食べてる時、なんか幸せそうな顔をしていない?

「この世界って、調味料の種類は少ないけど、チーズは種類があるのよね。」

「前に食べた、イタリアンハンバーグも美味しかったよな。チーズも美味しかったし。
また、イタリアンハンバーグを作ってくれる?」

はい、おねだりきました。私も食べたいからいいけど。

チーズといえば、最近、寒くなってきたしチーズフォンデュもいいよね。

白ワインもあるし、作れるよね。

前の世界では、寒い日は一人鍋とか色んな種類もあったし、チーズフォンデュの
一人用とかもあって、お世話になったな~。

あっ、チーズフォンデュ用の鍋は、作ってもらえばいいけれど、
テーブル用のコンロがない。

あれこれ思考を巡らす。

「どうかしたのか?」

ジークが訝し気な顔をしている。

「最近、寒くなってきたでしょ?だから、お鍋とかできないかと
考えてたの。でも、テーブル用のコンロをどうしようかと思って。」

「あぁ~。卓上コンロがこの世界にないなぁ~。」

でも、鍋は食べたいよな~。

二人でウンウン、頷く。

「あっ、良いことを思いついた。いっそのこと、鍋専用の家を建てないか?」

ジークがピコーン!と閃いたようだ。

それが、鍋専用の家とは・・・・。

「どういう事?」

「ほら、前の世界では、昔の家に囲炉裏があっただろう?囲炉裏の上に
鍋をおけば、いいんじゃないか?」

囲炉裏か~。灰を掛けたり、炭を入れたり火の調整が
面倒だが、良さそうだ。

調味料や食材の問題で、今のところチーズフォンデュしかできないが、
いいかもしれない。

囲炉裏だったら、焼き鳥とか焼けるしね。

醤油がないので、塩味しかできないが・・・。

あっ、でもテーブルでは食事できないよ。

囲炉裏を囲って、食べるからね。

貴族的に難しくない?

ドレスで食事はできないよ。

ジークに問題点を指摘すると。

みんな、中華服をきて床に座ればいいんじゃないか?

珍しい食事が食べれると聞けば、許可すると思うぞ。

いや、許可させるぞ!

ジークがフンスー。と鼻息を荒くする。

鍋をしたいがために、鍋専用の家を建てるって・・・。

とりあえず、帰ってから相談しよう。という事になった。



ジークの底知れぬ、食に対する執念を垣間見た瞬間だった。



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