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【 列車を降りて! 】

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(マズイ……。このままだと、またあの列車事故が起きてしまう……)

 私は急いで町田駅を後にすると、タクシーで次の『美野駅』まで向かった。

「すみません! また、急いで美野駅まで向かって下さい!」
「またですか……。もう、知りませんよ……」
「とにかく、急いで下さい!」

 私たちのタクシーは、スピード違反を繰り返し、列車の横の道を進んで行く。
 幸いにもこの通りは一本道のため、信号がない。
 タクシーはアクセル全開で問題の列車を追い越した。

 ――そして、次の『美野駅』に到着すると、再び駅のホームへ向かった。
 すると、また列車はオーバーランしていた。
 列車が完全に止まり、扉が開く。
 乗客が入れ替わり、またホーム内が混雑する。

 私は1両目へ行くことを諦め、大声で叫んだ。

(この列車に乗っている全員を救いたい!!)

「みんなーーっ!! この列車はもうすぐ脱線事故を起こすの! すぐに全員列車から降りてぇーーっ!!」

 乗客は皆、ポカンとした表情をしている。
「朝から何を寝ぼけたこと言ってんだ」という声も聞こえてくる。

「降りて! 危ないの! この列車は脱線事故を起こすのよ!! だから、みんな降りて!!」

 すると、駅員が慌てて私に駆け寄り制止する。
「お客さん、困ります。乗らないのなら、ホームから離れて下さい」

 その間にも時間が刻々と過ぎて行く……。

 駅のホーム内は騒然とし、乗る人、乗らない人が入り乱れていた。

 しかし、私が駅員に抑えられている間に、無情にも美野駅を列車は出発してしまった……。

 私は涙が止まらなかった……。
 結局、誰も助けられなかった……。

 歴史を変えることが、できなかったんだ……。


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