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【 現実 】
しおりを挟む曾お祖父ちゃんの祖国、日本は私に冷たかった。
私の祖国で、曾お祖父ちゃんは、やさしくしてもらったのに……。
私は、涙が止まらなかった。
悔しさもある。
見た目が違うだけで、こんなにも冷たくされるなんて……。
私の曾お祖母ちゃんのタマラは、見たこともない日本人に、あんなにやさしくしてあげてたのに……。
冷たい夜風が、私の瞳から零れ落ちる涙を頬から引き剥がした。
その涙が、明るい月の光にキラキラと反射しながら、冷たいビルの下の喧騒の中へと消えていった。
満月だけが、私のまだ存在する影をビルの屋上へと落としている。
「ここから、飛んだら、逝けるんだよね。曾お祖父ちゃんのところへ……」
私は、気持ちがスッと楽になり、目を閉じると、自然と足が前に出ていた。
そして、自分の体重が、重力と共に、ビルの下へと落ちる感覚を持った。
「(これで、終わる。何もかも……。神様、お願いだからもう、私をこのまま楽にさせて下さい……)」
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