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■第6章: ニヤ国を守れ!
【 第6話: この国を守るために 】
しおりを挟む俺とジョセフ(馬)は、昼だけでなく、夜も走り続け、朝日が昇る頃には、ニヤ国へと到着していた。
「ジョセフ、お前の脚力、やっぱスゲーな! もう、ニヤ国の城が見えてきたぞ!」
「はぁはぁはぁ、だから俺様の脚力を見縊るんじゃねぇって、言っただろ! はぁはぁはぁ……」
『パッパカ、パッパカ、パッパカ、パッパカ……』
すると、門番たちが俺たちの姿を見つけると、こう叫んだ。
「おーーい! タロー様が帰ってきたぞーーっ! 門を開けろーーっ!!」
『ギギギギギギ……、バタンッ!!』
城にいた者たちは、俺たちの帰りを待ちわびていたようだった。
そして、ダガヤ王やミャー姫、グリフたちも、城から出てくると、俺たちを迎え入れてくれた。
「ヒヒーーンッ!!」
「タロー! お帰りにゃーーっ!!」
俺が、ジョセフの背中から降りるなり、ミャーは泣きながら、俺に抱き付いてきた。
ミャーのその抱きしめる力の強さに、待ちわびていたことがすぐに俺に伝わる。
「タロー……、無事で良かったにゃ……。もう、このまま会えなくなると思ったにゃ……。ふうぅぅ……」
ミャーは、人目を憚らず、俺の胸で泣いていた。
俺がエイト公に命をそのまま取られてもおかしくない状況に、ミャーは安堵の涙を流していたんだと思う。
俺は、ミャーの髪に一度キスをすると、グリフにこう尋ねた。
「グリフ、あの作戦は、今どうなってる」
「はい、タロー様。只今、急ピッチで進めております」
「あと、どれくらいかかりそうなんだ」
「あと、3週間くらいといったところだと思います」
「3週間か……。それじゃあ、間に合わない……。グリフ、申し訳ないが、あと2週間でそれを完成させて欲しい」
「2週間ですか……?」
「ああ、2週間だ。クリスマスが終わった頃にヤーシブが攻めてくる。それまでに間に合わせて欲しいんだ」
「そ、それはかなり難しいかと……」
グリフがそう言うのも、無理も無い。
皆、交代で休みなく、その作戦を実行している。
だが、3週間では、ヤーシブが攻め込んできてしまうのだ……。
俺は、無理を承知で、グリフたちにお願いをした。
「そこを何とか頼む。俺も手伝う。みんな協力して、この作戦を成功させるんだ!」
「タロー様……。分かりました、やりましょう! この国を守るために!!」
俺は、もう一度ミャーの額にやさしく口づけをすると、すぐにみんなの元へ向かい、この作戦の実行を指揮した。
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